2026.08.19
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東京大学
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元発表:2026.08.18
東京大学、ブリッジRNAがゲノムから切り出される仕組みを解明
ニュース紹介
「鶏が先か、卵が先か~ブリッジRNAの生成メカニズムを解明~」
東京大学先端科学技術研究センターの西増弘志教授らの研究グループは、アーク研究所のPatrick D. Hsu博士らの研究グループとの共同研究により、IS110ファミリーに属する大腸菌由来のIS621転移因子がゲノムから切り出される分子メカニズムを明らかにしたと発表しました。研究グループは2024年に、IS621リコンビナーゼがブリッジRNAと協働し、環状DNA中間体であるドナーDNAをゲノム上のターゲットDNAに挿入する仕組みを報告しています。一方、ゲノムに存在するIS621因子が環状DNA中間体として切り出される仕組みは不明でした。ブリッジRNAは環状DNA中間体から産生されるため、最初の切り出しに必要なブリッジRNAがどのように供給されるのかという問題が残されていたとしています。本研究では、ゲノム上のIS621因子から少量のブリッジRNAが産生されており、IS621リコンビナーゼと複合体を形成して切り出し反応を促進することを明らかにしました。またクライオ電子顕微鏡による構造解析で、挿入反応では基質DNAがU字型に折れ曲がって複合体に結合するのに対し、切り出し反応では直線状のDNAがX字型に配置されることを示し、この違いが切り出しの抑制につながる一因であるとしています。成果は2026年8月12日(英国夏時間)に英国科学誌Natureに掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST)・東京大学 2026年8月18日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260818/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
ゲノム編集は、狙った場所のDNAを書き換える技術です。医療や農業、微生物によるものづくりで実用化が進んでいます。
近年注目されているのがブリッジRNAという分子です。DNAの配列を認識する部分を2か所持ち、「どのDNAを」「どこへ」入れるかを同時に指定できます。長いDNA配列をまとめて移すことができるため、既存の手法とは違う使い方が期待されています。
①切り出しの仕組みが分かっていなかった
研究グループは2024年に、リコンビナーゼという酵素がブリッジRNAと協働し、環状のDNAをゲノム上の狙った位置へ挿入する仕組みを報告していました。
一方で、ゲノムにある転移因子が環状DNAとして切り出される側の仕組みは不明でした。ブリッジRNAは環状DNAから作られるため、最初の切り出しに必要なRNAをどこから得るのかという順序の問題が残っていました。
②DNAの折れ曲がり方が向きを決める
今回、ゲノム上の転移因子から少量のブリッジRNAが作られており、それが酵素と複合体をつくって切り出しを促すことが分かりました。
クライオ電子顕微鏡による構造解析では、挿入反応で基質DNAがU字型に折れ曲がるのに対し、切り出し反応では直線状のDNAがX字型に配置されることが示されました。研究グループは、この立体構造の違いが、切り出しよりも挿入が効率よく進む一因だと説明しています。
編集部からひとこと
反応の向きが構造で決まるという結果は、技術として使う側にとって扱いやすい情報です。挿入が進みやすく切り出しが起きにくいという性質は、入れた配列がそのまま残ることを意味します。ゲノム改変の道具として設計するうえでの前提条件が1つ確定したことになります。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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