2026.07.23 栗田工業(PR TIMES) 元発表:2026.07.22

栗田工業、月の水から推薬をつくる水精製技術でJAXA公募採択(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「JAXAの「月面推薬生成プラントの実現」に係る公募型企画競争に3年連続で採択」

栗田工業株式会社は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募した「月面推薬生成プラントの実現に向けた地上実証プラントの詳細設計及び要素試作試験等」のうち、「水精製プロセスに関する要素試作試験等(テーマC)」に採択された。採択は2024年度から3年連続となる。月面推薬生成プラントは、月面の砂(レゴリス)に含まれる水を取り出し、そこから宇宙機の推進剤となる水素と酸素を製造する構想。同社は月レゴリス由来の水を模した原料水を用い、アンモニアやメタノールなどの不純物を除去する水精製技術の検証や、システムの性能劣化要因の評価を担う。成果報告書は2026年度内にJAXAへ提出する予定。

出典:栗田工業株式会社(PR TIMES) {DATE_JA} プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000132866.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

宇宙開発の大きな壁のひとつが「補給コスト」です。地球から月やその先へ物資を運ぶには莫大な費用がかかるため、必要な水や燃料を現地で調達するという発想が世界的に注目されています。これを宇宙資源の現地利用(ISRU:In-Situ Resource Utilization)と呼びます。

月には、極域のクレーターなどに氷の形で水が存在すると考えられています。この水を取り出して電気分解すれば、ロケットの推進剤となる水素と酸素をつくれます。月で燃料を「給油」できれば、地球から運ぶ燃料を大幅に減らせるため、月面探査や、月を中継地とした深宇宙探査の実現に直結する重要技術と位置づけられています。

①栗田工業は何を担うのか

今回栗田工業が採択されたのは、プラント全体のうち「水精製」の部分です。月の砂から取り出した水には、アンモニアやメタノールといった不純物が混ざっていると想定されます。こうした不純物が残ったまま電気分解装置に送ると、装置の性能が劣化したり、つくられる水素・酸素の純度が落ちたりします。同社は月の水を模した原料水を使い、不純物を除去する技術と、装置が長く安定して動くための劣化要因の評価を担当します。水処理を長年手がけてきた企業の技術を、宇宙という新しい現場に応用する取り組みです。

②なぜ注目されるのか

月面での水素・酸素の製造は、日本でも複数の企業が取り組む競争と協業の領域です。関連する動きとして、高砂熱学工業が月面用の水電解装置を開発し、月着陸を目指すispaceの機体への搭載を進めるなど、水を「精製する」「電気分解する」「運ぶ」といった役割を各社が分担する形が生まれつつあります。栗田工業が3年連続で採択された点は、水精製という地味だが不可欠な工程で継続的に技術を積み上げていることを示します。地上の水処理で培った知見が、宇宙補給コストの削減という課題に生かされようとしています。

編集部からひとこと

ロケットや宇宙船に注目が集まりがちな宇宙開発ですが、それを支えるのは「水をきれいにする」といった地道な技術です。地球のインフラを長年支えてきた水処理企業が、月面という新たな現場に挑む構図は象徴的だと感じます。実用化にはまだ多くの検証が必要ですが、地上の技術が宇宙で、そして宇宙の技術がまた地上で生きる循環に、FrontJournalは注目していきます。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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