2026.07.28 理化学研究所 元発表:2026.07.28

理研、遺伝子組換え植物の導入遺伝子を1回のPCRで解析する新手法を開発(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「遺伝子組換え植物の導入遺伝子構成を効率的に解析」

理化学研究所バイオリソース研究センターの研究グループは、遺伝子組換え植物に導入された遺伝子を効率的に解析する手法「外来遺伝子蛍光検出(fDET)解析系」を開発しました。複数の標的配列を同時に増幅して断片の長さを測り識別する方法で、実験植物のシロイヌナズナを材料に、15種類の外来遺伝子と3種類の内在性遺伝子を1回のPCR反応で検出できます。1%の混入率でも非組換え体への混入を検出でき、2023年9月から2026年3月の調査では297系統のうち25系統(8.4%)で寄託情報との不一致を検出しました。研究成果は学術誌 Plant and Cell Physiology のオンライン版に2026年7月28日付で掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年7月28日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260728_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

遺伝子組換え植物は、有用な性質を調べる研究や品種改良の基礎研究に欠かせないバイオリソース(研究資源)です。多くの研究機関では、こうした植物系統を保存し、必要とする研究者に配布しています。理化学研究所バイオリソース研究センターは、その国内の中核的な拠点の一つです。

研究資源として配布される植物には、どの遺伝子がどう導入されているかという情報が正確であることが求められます。取り違えや混入があれば、その系統を使った実験結果の信頼性が揺らぎます。しかし従来、多数の導入遺伝子を一つずつ確認する作業は手間がかかり、大量の系統を効率よく点検する方法が課題でした。

①複数の遺伝子を1回のPCRでまとめて確認

今回のfDET解析系は、複数の標的配列を同時に増幅し、増えたDNA断片の長さの違いで種類を見分けます。シロイヌナズナでは、15種類の外来遺伝子と3種類の内在性遺伝子を1回のPCR反応で検出できました。一つずつ確認していた作業を大幅に効率化でき、多数の系統をそろって点検できます。研究資源の品質管理を現実的な手間で回せるようにした、実務に直結する手法です。

②1%の混入も検出し、資源の信頼性を守る

この手法は、1%というわずかな混入率でも、組換え体でないものの混じり込みを検出できます。実際に2023年9月からの調査では、297系統のうち25系統(8.4%)で、登録されている情報と実物が一致しない例が見つかりました。こうした不一致を早く見つけて正すことは、配布される研究資源の信頼性を守り、その資源を使う研究の再現性を支えることにつながります。地味ですが、科学の土台を固める取り組みです。

編集部からひとこと

派手な新発見ではありませんが、研究の土台となるバイオリソースの品質を守る、堅実で重要な仕事です。実験結果の再現性が科学全体の課題として語られる中、配布される研究資源そのものの正確さを効率よく点検できる手法の価値は大きいと思います。8.4%で不一致が見つかったという事実も、こうした点検の必要性を静かに物語っています。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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