2026.07.09
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科学技術振興機構(JST)
京大が白血病1500例をエピゲノム解析、16分類の層別化治療へ(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「白血病の『個性』を決めるエピゲノムを解読~大規模クロマチン解析による新たな分類と層別化治療~」
京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座の小川誠司教授、越智陽太郎助教、スウェーデン・カロリンスカ研究所のソーレン・レーマン教授らの研究グループは、1,500例以上の急性骨髄性白血病(AML)患者検体を対象に大規模クロマチン解析によるエピゲノム解析を実施しました。従来のゲノム異常(DNA配列そのものの変化)だけでなく、遺伝子発現を制御する仕組みに着目し、AMLを16の異なるグループに分類。各グループが異なる分子機構・臨床予後・薬剤感受性を持つことを明らかにしています。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月9日 プレスリリース(掲載誌:Nature/DOI: 10.1038/s41586-026-10703-4)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260709/index.html
FrontJournalの解説
エピゲノムとは何か
今回のテーマである「エピゲノム」とは、DNAの配列そのものではなく、遺伝子がいつ・どの細胞で・どれだけ働くかを制御する仕組み(化学的な修飾パターンなど)を指します。同じDNA配列を持つ細胞でも、エピゲノムの状態によって遺伝子の働き方は大きく変わります。がんの研究では従来、DNA配列の変異(ゲノム異常)に注目が集まってきましたが、エピゲノムの異常もがんの性質を決める重要な要因であることが分かってきています。
①1,500例という大規模解析の意味
研究グループは、1,500例以上という大きな規模の急性骨髄性白血病(AML:血液のがんの一種)患者検体を対象に、大規模クロマチン解析(染色体を構成するDNAとタンパク質の複合体の状態を調べる手法)を実施しました。症例数が多いほど、患者ごとのばらつきの中から共通するパターンを統計的に見出しやすくなります。
②16グループへの新分類と層別化治療への意義
解析の結果、AMLはエピゲノムの違いによって16の異なるグループに分類できることが明らかになりました。それぞれのグループは、分子レベルの仕組み(分子機構)、患者の予後(臨床予後)、そして薬剤への反応しやすさ(薬剤感受性)が異なるとされています。がん治療の分野では、患者ごとの特徴に応じて治療法を選ぶ「層別化治療」(個別化医療)の重要性が高まっており、こうした精緻な分類は治療選択の判断材料になりうるものです。
編集部からひとこと
今回の成果は大規模な基礎データの構築であり、発表内容には具体的な治療薬や臨床応用の時期についての言及はありません。京都大学とカロリンスカ研究所という国際共同研究による大規模解析は、今後の白血病研究における基盤データとして参照される可能性があります。詳細な実験データ・論文情報はJST公式ページおよびNature誌掲載論文をご参照ください。