2026.07.20 理化学研究所 元発表:2026.07.15

理研と近畿大、卵巣明細胞がんで免疫療法が効くタイプをIL-17から特定(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「治療が難しい卵巣がんで免疫療法が「有効なタイプ」を発見」

理化学研究所生命医科学研究センターの高村史記チームディレクターと、近畿大学医学部産婦人科の村上幸祐講師、松村謙臣主任教授、同大学医学部免疫学教室らの共同研究グループは2026年7月15日、抗がん剤や免疫療法が効きにくいとされてきた卵巣明細胞がんの一部に、免疫療法が有効なタイプが存在することを明らかにしたと発表しました。

鍵となるのは、炎症に関わるタンパク質IL-17です。研究では、IL-17ががん細胞に直接作用し、免疫細胞を呼び込む環境をつくることが分かりました。ヒトとマウスの両面から検証したもので、IL-17を手がかりに患者ごとの免疫療法の有効性を予測でき、個別化医療の実現につながると期待されるとしています(DOI: 10.1186/s12943-026-02726-2)。

出典:理化学研究所 2026年7月15日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260715_2/index.html

FrontJournalの解説

卵巣明細胞がんと免疫療法

卵巣がんにはいくつかのタイプがあり、そのひとつ「明細胞がん」は抗がん剤が効きにくいことで知られています。近年注目される免疫療法(体に備わる免疫の力でがんを攻撃する治療)も、このタイプでは効果が限られるとされてきました。今回の研究は、その中にも「効くタイプ」が存在することを示した点に意味があります。

①IL-17が「効く・効かない」を分ける手がかりに

IL-17は炎症に関わるタンパク質です。研究では、これががん細胞に直接働きかけ、免疫細胞ががんに集まりやすい環境をつくることが分かりました。つまりIL-17の状態を調べれば、その患者に免疫療法が効きそうかどうかを見分けられる可能性があります。効かない治療を避けられることは、患者の負担と時間を減らすうえで大きな意味を持ちます。

②「個別化医療」に向けた一歩

同じ病名でも、患者ごとにがんの性質は異なります。あらかじめ効きそうな治療を見分ける考え方は個別化医療と呼ばれ、がん治療の大きな流れになっています。今回の成果は、その判断材料になりうる指標を見つけたものです。ヒトとマウスの両面から確かめている点も、研究の裏づけとして重要です。実際の診療に生かすには、さらに臨床での検証が必要になります。

編集部からひとこと

「効きにくいがん」とされてきた中に、効くタイプが隠れていた——この発見は、患者にとって新しい選択肢につながる可能性があります。同時に、治療の前に効くかどうかを見分けられれば、無駄な治療を避けられます。理研と大学が組み、基礎研究から臨床への橋渡しを進める取り組みとして、今後の展開が注目されます。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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