2026.08.24 理化学研究所ら 元発表:2026.08.21

理化学研究所ら、好熱菌が子牛の下痢を改善する仕組みを解明

ニュース紹介

「家畜における一過性腸内かく乱を改善する好熱菌」

理化学研究所生命医科学研究センター粘膜システム研究チームの大野博司チームディレクター、宮本浩邦客員主管研究員、共生微生物叢研究チームの須田亙チームディレクターらと、九州大学、千葉大学、金沢大学、広島大学、北里大学、慶應義塾大学先端生命科学研究所、国立健康危機管理研究機構による共同研究グループは、高温発酵飼料由来の好熱菌であるカルディファーメンティバシラス・ヒサシイ(C.hisashii)が、家畜モデルの子牛の下痢を改善(寛解)する仕組みの一端を、統合マルチオミクス解析によって明らかにしたと発表しました。発表では、薬剤耐性菌のまん延を防ぐために、抗生物質に頼らない畜産経営が世界的に求められている中で、本研究の成果は貴重なアプローチの一つであることが示唆されているとしています。畜産業界では家畜の下痢による消化不良が生産性に悪影響を及ぼし、死亡率を増加させますが、多くの場合、細菌やウイルス感染以外に可能性のある病因を特定することは困難だと説明されています。哺乳類の腸管には多様な微生物が生息しており、健康な腸内マイクロバイオームは腸管の上皮細胞を損傷から守ることが知られています。そのため近年は、乳酸菌を用いたプロバイオティクスや糞便マイクロバイオータ移植による下痢治療が試みられているとしています。成果は科学雑誌Microbiomeオンライン版に8月5日付で掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年8月21日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260821_3/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

家畜の下痢は、畜産の生産性を大きく左右します。消化不良により成長が遅れ、死亡率も上がるためです。とくに離乳期の子牛は腸内環境が変わりやすく、下痢が起きやすい時期にあたります。

従来は抗生物質による対処が中心でした。ただし世界的に薬剤耐性菌のまん延が問題となり、抗生物質に頼らない飼育方法が求められています。

①原因を特定しにくいという事情

家畜の下痢は、細菌やウイルスの感染以外に考えられる原因を特定することが多くの場合で難しいとされています。原因が分からなければ、狙った対処ができません。

そこで注目されているのが腸内の微生物です。健康な腸内マイクロバイオームは腸管の上皮細胞を損傷から守ることが知られており、乳酸菌によるプロバイオティクスや糞便移植による治療が試みられてきました。

②高温発酵飼料に由来する菌

研究グループが着目したのは、高温発酵飼料に由来する好熱菌「カルディファーメンティバシラス・ヒサシイ」です。高温で働く菌を使ったリサイクル技術の発酵産物が、植物の肥料や動物の飼料として有用であることが報告されてきました。

今回は、この菌が子牛の下痢を改善する仕組みの一端を、複数の解析手法を組み合わせた統合マルチオミクス解析によって明らかにしたとしています。

編集部からひとこと

抗生物質を減らす取り組みは、規制の要請であると同時に、輸出や取引条件にも関わる経営課題になりつつあります。今回は飼料の発酵に使われてきた菌の働きを分子のレベルまで追っており、経験則で使われてきたものに説明がついた形です。飼料という既存の投入物に乗せられる点も、現場に入りやすい要素です。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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