2026.07.23
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千葉大学・京都大学・奈良先端科学技術大学院大学・JST
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元発表:2026.07.22
千葉大らがCG映像の多重反射を効率計算する新しい数理モデルを開発(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「映画・ゲームのCG映像をより高品質に、より短時間で制作~粗い金属表面などの『多重反射』を効率的に計算する新たな数理モデル~」
千葉大学大学院情報学研究院の久保尋之准教授、京都大学の舩冨卓哉教授、奈良先端科学技術大学院大学の藤村友貴准教授・向川康博教授、および同大学院情報・データサイエンス学府の張思源氏らの研究グループは、コンピューターグラフィックス(CG)における物体表面の質感を物理的に正しく再現するため、ざらついた表面で光が何度も反射する「多重反射(Multiple Bounces Reflection)」を効率的に計算する新たな数理モデルを開発しました。従来手法に比べてノイズを抑えつつ高い精度で計算できるとされ、映画やゲーム、製品デザインなどのCG映像制作への応用が期待されます。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月22日 プレスリリース(研究発表:ACM SIGGRAPH 2026/2026年7月19日〜23日、米国ロサンゼルス)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260722/index.html
FrontJournalの解説
物理ベースレンダリング(PBR)とは
今回のテーマである「物理ベースレンダリング(PBR:Physically Based Rendering)」とは、光が物体の表面でどのように反射・散乱するかを物理法則に基づいて計算し、写実的な質感を再現するCGの手法です。金属・プラスチック・皮革などの見た目の違いは、表面の細かな凹凸で光がどう跳ね返るかで決まります。映画やゲーム、製品デザインの分野では、このPBRを高精度に行うことが、リアルな映像品質の根幹を支えています。
①ざらついた表面での「多重反射」という難題
ざらついた金属や布地では、光が表面の凹凸に入り込んで何度も跳ね返ってから外へ出てくることがあり、これを「多重反射」と呼びます。この多重反射をきちんと計算に入れないと、金属や粗い表面の見た目が不自然に暗くなったり、質感が失われたりする問題が知られてきました。一方で、多重反射は経路の組み合わせが膨大なため、素直に計算するとコストが跳ね上がり、実用的な時間で高品質な映像を得ることが難しい領域でした。
②Successive Height Preintegrationによる効率化
研究グループは、ざらついた表面のミクロな凹凸を統計的に扱うSmith Microfacet BRDF(双方向反射率分布関数)と呼ばれる枠組みに対し、Successive Height Preintegrationという新しい数理的アプローチを提案しました。光の反射経路を、面の高さ方向に依存する形に定式化し直したうえで、多重反射に必要な積分を効率よく計算できるようにしています。JSTの発表資料によれば、従来手法に比べてノイズを抑えつつ高い精度での計算が可能で、映画・ゲーム・製品デザインなど幅広いCG制作への応用が期待されるとされています。研究成果は2026年7月19日から23日にかけて米国ロサンゼルスで開かれるCG分野の国際会議「ACM SIGGRAPH 2026」で発表されます。
編集部からひとこと
今回の成果は、映画やゲームの映像品質を左右する物理ベースレンダリング領域の基礎技術であり、発表時点では具体的な製品への実装スケジュールは示されていません。CG制作パイプラインでの採用や、ゲームエンジン・レンダラーへの実装がどのように進むかは、今後の論文公開と各エンジンベンダーの対応を待つ必要があります。詳細な数式や条件はJST公式ページおよびSIGGRAPH 2026の論文をご参照ください。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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