2026.07.22
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NIMS・東京大学・JST
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元発表:2026.07.21
NIMS・東大、廃熱を電気に変える3次元ナノ界面の磁性体を開発(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「熱を電気に変える『ナノ界面』をマクロに3次元形成した磁性体を開発~熱エネルギーの有効活用に向けた新たな材料設計の指針~」
物質・材料研究機構(NIMS)、東京大学大学院新領域創成科学研究科、科学技術振興機構(JST)の研究グループは、磁性体の内部全体に3次元のナノ界面を分布させた複合材料を開発したと発表した。研究グループは、磁性絶縁体であるイットリウム鉄ガーネット(YIG)の粉末の表面を白金(Pt)で被覆し、低温・高圧で押し固めることでバルク(かたまり)状の複合体を作製。これにより、従来はナノスケールの薄膜界面に限られていたスピンゼーベック効果を、マクロなサイズの材料で実証した。研究グループはこれを、ナノスケールの界面をマクロスケールのエネルギー変換につなげる「トランススケール」スピンゼーベック効果の概念実証と位置づけ、熱エネルギーの有効活用に向けた新たな材料設計の指針になるとしている。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月21日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260721/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
工場やエンジン、電子機器からは大量の熱が使われないまま捨てられています。一次エネルギーの多くが最終的に廃熱として環境へ逃げているとされ、この熱を電気として回収できれば省エネルギーに直結します。熱を電気に変える「熱電変換」は古くから研究されていますが、実用化のハードルは高く、特に約150℃以下の低温の廃熱では効率が下がりやすいことが課題でした。
そこで注目されているのがスピンゼーベック効果です。これは、磁石の性質を持つ材料に温度差をつけると、電子が持つ「スピン」という磁気の流れが生じ、それを電気に変換できる現象です。電気を通さない絶縁体でも熱電変換できるのが特徴ですが、これまでは効果が生まれる場所がナノスケールの薄い界面に限られ、発電量を大きくしにくいという壁がありました。
①ナノの界面を材料の中に立体的に敷き詰める
今回の研究の要は、効果が生まれる界面を薄膜の表面だけでなく材料の内部全体に3次元で分布させた点にあります。研究グループは、磁性絶縁体YIGの粉末を白金で覆い、低温・高圧で押し固めることで、無数のナノ界面を含んだかたまり状の複合体を作りました。界面の数を体積的に増やすことで、ナノスケールの現象をマクロなサイズの発電へつなげる道筋を示しています。
②「トランススケール」という新しい設計の考え方
研究グループはこの成果を、ナノの世界の物理をマクロのエネルギー変換に橋渡しする「トランススケール」スピンゼーベック効果の概念実証と説明しています。今回はあくまで原理を示した段階で、実用的な発電デバイスの効率やコストはこれからの検証課題です。ただし、界面を立体的に作り込むという材料設計の指針は、廃熱発電の研究に新しい選択肢を加えるものといえます。
編集部からひとこと
廃熱の回収は、脱炭素とエネルギー効率の両面から関心が高まっているテーマです。スピンゼーベック効果は長く基礎研究が続いてきた分野で、今回のように「効果を大きくするための材料の作り方」に踏み込んだ研究は、実用化を見据える上で重要な一歩といえます。素材づくりに強い日本の研究機関から生まれた成果として、今後の発展を見守りたいところです。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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