2026.08.21
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静岡大学
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元発表:2026.08.21
静岡大学、プラスチック表面を認識するたんぱく質を人工進化で開発
ニュース紹介
「天然のキチン結合たんぱく質を人工進化させ、プラスチック表面認識たんぱく質を開発」
静岡大学大学院自然科学系教育部バイオサイエンス専攻の橋野嘉仁氏(博士課程2年)、静岡大学農学部・グリーン科学技術研究所の中村彰彦教授、東海大学の広瀬慎美子教授(現所属:国立科学博物館)は共同で、本来キチンを認識するたんぱく質「PfChBD2」を改変し、プラスチック表面を認識してマイクロプラスチックを蛍光染色できるたんぱく質を開発したと発表しました。研究では、PfChBD2の表面にランダムにアミノ酸変異を導入し、ファージディスプレイ法を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)に結合する変異体を選抜しました。最初の選抜では、野生型と比べてPET表面への最大結合量が約2倍となり、キチンへの結合が大きく低下した変異体を取得したとしています。さらに、キチン認識に重要なアミノ酸を追加で改変・選抜することで、PETへの結合性を維持しながらキチンやセルロースへの結合を大幅に低減した複数の変異体を得ました。なかでも「VFF」と名付けた変異体は、PETへの比較的高い結合性と、キチン・セルロースへの極めて低い結合性を示し、PET以外のプラスチックにも結合を示したとしています。VFFと赤色蛍光たんぱく質を融合させたたんぱく質を用いることで、駿河湾から採取したポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのマイクロプラスチックを蛍光染色できたと説明しています。成果は2026年8月17日(現地時間)付で国際学術誌ACS Synthetic Biologyに掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST)・静岡大学 2026年8月21日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260821-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
5ミリメートル以下に砕けたプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれ、海洋や河川での分布把握が各国で進められています。
ただし、採取した試料のなかからプラスチックだけを見分ける作業には手間がかかります。目視や赤外分光による判別が中心で、装置と時間を要します。簡単に見分ける方法が求められてきました。
①生物の持つ結合能力を作り替える
研究グループが出発点にしたのは、カニの殻などに含まれるキチンに結合するたんぱく質です。生物は特定の物質を見分けて結合する仕組みを持っています。
この結合先を、天然には存在しない人工の高分子であるプラスチックへ向け直せるか、という問いを立てました。たんぱく質の表面にランダムなアミノ酸変異を入れ、PETに結合するものを選び出す手法をとっています。
②余計な物質に付かないよう絞り込む
最初の選抜で、PET表面への最大結合量が野生型の約2倍になり、キチンへの結合が大きく下がった変異体を得ました。さらにキチン認識に重要なアミノ酸を改変し、PETへの結合を保ちながらキチンやセルロースへの結合を大幅に下げています。
「VFF」と名付けた変異体を赤色蛍光たんぱく質と融合させ、駿河湾で採取したポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレンのマイクロプラスチックを蛍光染色できたとしています。
編集部からひとこと
海の試料には貝殻や植物片が混じるため、プラスチック以外に付かないことが実用上の条件になります。今回はキチンとセルロースへの結合を意図的に下げる設計をしており、その課題を正面から扱っています。実際の海水試料で染色まで確かめている点も、実験室内の結果にとどまらない材料です。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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