2026.07.20 理化学研究所 元発表:2026.07.14

名大・理研ら、膜タンパク質の安定性と機能を両立させる品質管理機構を発見(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「膜タンパク質の折り畳みを補助する新しい品質管理機構を発見」

名古屋大学の小原圭介准教授を中心に、長岡技術科学大学、理化学研究所、北海道大学、東京大学、山形大学、京都大学アイセムス、トロント大学、ペンシルベニア大学、ローザンヌ大学が参加した国際共同研究グループは2026年7月14日、膜貫通タンパク質が安定した構造と機能を両立させるための新しい品質管理の仕組みを発見したと発表しました。

タンパク質は、正しい形に折り畳まれてはじめて働きます。一方で、構造を安定させることと、動きを伴う機能を発揮することの間にはジレンマがありました。研究グループは、このジレンマを解消する機構を明らかにしたとしています。成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました(DOI: 10.1073/pnas.2612792123)。

出典:理化学研究所 2026年7月14日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260714_1/index.html

FrontJournalの解説

膜タンパク質とは何か

細胞は「膜」という薄い仕切りで包まれています。その膜に埋め込まれて働くのが膜タンパク質です。栄養や情報を細胞の内と外でやり取りする出入口・センサーの役割を担っており、生命活動に欠かせません。医薬品の多くはこの膜タンパク質に作用するため、創薬の世界でも極めて重要な研究対象です。

①「安定させたい」と「動かしたい」のジレンマ

タンパク質は決まった形に折り畳まれることで働きます。しかし膜タンパク質の場合、物質を通したり信号を伝えたりするために形を変えて動く必要があります。つまり「がっちり安定させる」と動けず、「動きやすくする」と壊れやすい、という相反する要求があるわけです。今回の研究は、細胞がこの矛盾をどう解決しているかに迫ったものです。

②なぜ「品質管理」の仕組みが重要なのか

細胞の中では、正しく折り畳めなかったタンパク質を見つけて処理する品質管理の仕組みが働いています。この仕組みがうまく動かないと、異常なタンパク質がたまり、病気の原因になることが知られています。新しい品質管理機構が見つかったということは、そうした病気の理解や、医薬品の設計を考えるうえでの土台が一つ増えたことを意味します。国内外10機関が参加した国際共同研究である点も、この分野の広がりを示しています。

編集部からひとこと

すぐに薬になる成果ではありませんが、膜タンパク質は医薬品が狙う主要な標的であり、その折り畳みの仕組みを理解することは創薬の土台にあたります。「安定と機能の両立」という一見矛盾した問題に、細胞がどう答えを出しているのか——基礎研究ならではの問いです。国際共同研究として積み上げられた知見が、今後どう応用へつながるか注目されます。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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