2026.07.29
│
ヘキサ・エネルギーサービス合同会社
│
元発表:2026.07.28
ヘキサ、東京ガスと福島の系統用蓄電池で長期契約を締結(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「東京ガス株式会社との系統用蓄電池事業に関する長期オフテイク契約締結について」
ヘキサ・エネルギーサービス合同会社は2026年7月28日、東京ガス株式会社との間で、系統用蓄電池事業に関する長期オフテイク契約を締結したと発表しました。同社が開発・保有・維持管理を担当し、東京ガスが20年間にわたり運用権を取得する内容です。
対象となる系統用蓄電池は福島県に建設され、出力は49.7MW、定格容量は202.1MWhで、2029年度の稼働を予定しています。同社は再生可能エネルギーや蓄電池等を活用した電力事業全般を展開しており、グローバルなインフラ企業グループの日本事業会社として、脱炭素化に資するエネルギー事業を推進しているとしています。
出典:ヘキサ・エネルギーサービス合同会社 2026年7月28日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000173123.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
系統用蓄電池とは、家庭や工場ではなく送配電網(系統)に直接つないで運用する大型の蓄電池です。太陽光や風力は発電量が天候で変わるため、余ったときにためて、足りないときに放出する役割を担います。発電所と同じように電力市場で取引される対象でもあります。
国内では制度の整備が進み、需給調整市場・容量市場・卸電力取引所(JEPX)・長期脱炭素電源オークションなど複数の収益機会が本格化しました。その結果、電力会社への接続検討の申し込みが急増し、経済産業省の資料では接続検討の受付が全国で数千万kW規模に達しています。一方で系統への接続工事が18か月以上待ちになる例や、想定を上回る接続負担金が提示される例もあり、参入のハードルは年々上がっています。
①「オフテイク契約」が事業の前提になる理由
今回の契約で使われているオフテイク契約は、発電・蓄電設備が生み出す価値をあらかじめ買い手が長期で引き受ける取り決めを指します。今回はヘキサ・エネルギーサービスが開発・保有・維持管理を担い、東京ガスが20年間の運用権を取得する形です。
系統用蓄電池は、電力市場の価格差で収益を得る事業モデルです。裏を返せば、市場価格が想定より動かなければ収入が読めません。長期の引き受け手が決まっていることは、金融機関から資金を調達するうえで前提条件になります。稼働予定が2029年度と数年先であることを踏まえると、この段階で20年分の運用権の帰属が確定している意味は小さくありません。
②49.7MW・202.1MWhという規模の読み方
出力49.7MWは一度にどれだけの電力を出し入れできるかを示し、定格容量202.1MWhはどれだけためられるかを示します。この2つを割ると約4時間ぶんの放電時間になります。4時間級は、太陽光が発電しない夕方のピーク時間帯をまかなうことを想定した設計としてよく採られる比率です。
出力を50MW未満に収めている点も、系統への接続手続きや規制上の区分を意識した設計と読めます。立地が福島県である点は、再生可能エネルギーの導入が進み、送電網の混雑対策が課題となってきた地域という文脈で理解できます。発電所を新設するのではなく、既にある電気の時間をずらして使う設備が積み上がっていく段階に入ったことを示す案件です。
編集部からひとこと
系統用蓄電池は「電気をためる箱」というより、電力市場で値動きを引き受ける金融的な性格の強い設備です。だからこそ長期の引き受け手がいるかどうかが事業の成否を分けます。今回のように稼働の数年前に20年分の運用権が決まる案件が出てくることは、市場が投資対象として成熟してきた表れといえます。稼働は2029年度、続報を待ちたいところです。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
この企業の方へ
内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。
掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら