2026.08.25
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三菱電機・QunaSys
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元発表:2026.08.24
三菱電機・QunaSys、製造業向け量子CAEの基盤アルゴリズムを開発
ニュース紹介
「製造業での量子コンピューター活用に向けた基盤アルゴリズムを開発」
三菱電機株式会社は、量子コンピューター系スタートアップの株式会社QunaSysと共同で、製品の設計・開発において物理シミュレーションを行うComputer-Aided Engineering(CAE)への量子コンピューター活用に向けて、2つの基盤アルゴリズムを開発したと発表しました。1つ目は、大規模な行列データを量子コンピューターで扱いやすい形に整理する基盤アルゴリズムです。行列内の同じ値やその出現パターンを整理し、共通部分を再利用して差分だけを組み合わせる表現手法を採用することで、行列を量子回路に埋め込む際の正規化係数の増大を抑え、量子計算の実行コストを削減するとしています。2つ目は、量子信号処理で必要となる角度列パラメーターを安定的に求める基盤アルゴリズムです。従来手法で計算の途中に極端に小さい数を扱うことで生じていた丸め誤差や桁落ちの影響を、計算の向きを反転させた後に順序を戻すことで回避するとしています。数値実験では、行列反転、ハミルトニアンシミュレーション、位相推定、固有値フィルタリングに対して、角度列パラメーターをより安定に高い精度まで求められることを実証したとしています。開発成果の一部は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業(目標6)の成果で、2026年8月24日から開催される国際会議「AQIS 2026」で発表されます。両社は今後、流体解析、熱解析、構造解析、電磁界解析など具体的なCAE課題への適用検証を進め、量子CAEの実現を目指すとしています。
出典:三菱電機株式会社 2026年8月24日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000436.000120285.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
CAE(Computer-Aided Engineering)は、製品を作る前にコンピューター上で流体・熱・構造・電磁界の挙動を計算して、設計の探索や性能の評価に使う分野です。自動車や家電、モーターの設計で日常的に使われています。
製品の高性能化・高機能化にともない、扱う問題は大規模化・高精度化しています。従来のコンピューターでは計算時間が課題になる場面が増え、量子コンピューターの適用可能性が国際的に検討されています。
①行列データを扱いやすい形に整理
CAEで扱う物理シミュレーションの多くは、大規模な行列計算で表されます。行列をそのまま量子コンピューターに埋め込むと、埋め込み時の正規化係数が大きくなり、同じ精度を得るために必要な量子ゲート操作や回路実行の回数が膨大になるという課題がありました。
今回の1つ目のアルゴリズムは、行列内の同じ値や出現パターンを整理し、共通部分を再利用して差分だけを組み合わせる形に変換することで、量子回路に載せやすい入力形式にまとめ、量子計算の実行コストを削減するとしています。
②量子信号処理のパラメーターを安定して求める
量子計算で行列操作を行う代表的な手法である量子信号処理では、事前に多項式の係数から角度列パラメーターを計算し、それを量子回路の回転操作に設定します。従来手法では計算の途中で極端に小さい数を扱うため、丸め誤差や桁落ちの影響でパラメーターの精度が落ちる問題がありました。
2つ目のアルゴリズムは、計算の向きを反転させた後で順序を戻すことでこの影響を回避します。数値実験では、行列反転、ハミルトニアンシミュレーション、位相推定、固有値フィルタリングで、パラメーターをより安定に高い精度まで求められたと報告されています。
編集部からひとこと
量子コンピューターを製造業のCAEで使う話題は、抽象的な議論になりがちです。今回は、行列の埋め込みと角度列の計算という、実装まで進めるうえで詰まりやすい2箇所に具体的な手法を出してきた点が読みどころです。三菱電機はQuantinuumとも量子コンピューティングとCAEに関する連携を進めており、複数の系統で歩を進めています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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