2026.08.21
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北海道大学
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元発表:2026.08.20
北海道大学、ミトコンドリア成分を送るナノカプセルを開発
ニュース紹介
「ミトコンドリアを“薬”として届けるナノカプセルの開発に成功」
北海道大学大学院薬学研究院の山田勇磨教授らの研究グループは、同大学大学院工学研究院、大学院医学研究院、総合イノベーション創発機構ワクチン研究開発拠点との連携のもと、ケンブリッジ大学、東京農工大学大学院工学研究院生命工学部門および北海道医療センターとの国際共同研究により、ミトコンドリア成分を細胞内へ送達するナノカプセル「Trans MIT」を開発したと発表しました。ミトコンドリアは細胞のエネルギー産生を担う細胞小器官であり、その機能低下はさまざまな疾患や細胞機能異常と関連しています。ただし二重膜構造を持つため、外来分子を効率的に導入することは困難とされてきたとしています。本研究では、ミトコンドリア成分をナノカプセルに封入して細胞内へ送達する手法を構築しました。Trans MITを培養細胞に適用した結果、ミトコンドリア呼吸活性(酸素消費速度)の上昇および細胞内エネルギー代謝の活性化が確認されたとしています。代謝解析では、TCA回路やATP産生に関連する代謝経路の活性化が示唆され、ミトコンドリア機能の変化が細胞全体の代謝状態に影響を与えることが示されました。研究グループは、遺伝子導入による細胞改変とは異なる細胞機能改変技術の可能性を示すものであり、細胞機能制御や再生医療への応用が期待されると説明しています。成果は2026年8月19日(現地時間)付でMaterials Today Advances誌にオンライン掲載されました。
出典:科学技術振興機構(JST)・北海道大学 2026年8月20日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260820-6/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
細胞の中でエネルギーを作る器官がミトコンドリアです。その働きが落ちることは、さまざまな疾患や細胞の機能異常と関連することが分かってきています。
ここに外から分子を届けられれば、細胞の状態を変えられる可能性があります。ただしミトコンドリアは膜が二重になっており、内部へ物質を入れることが難しいという事情がありました。
①遺伝子を書き換えずに機能を変える
細胞の働きを変える方法としては、遺伝子を導入する手法が広く使われています。今回はそれとは別の道筋として、ミトコンドリアの成分そのものを届ける方法をとっています。
研究グループは、ミトコンドリア成分をナノカプセルに封入して細胞内へ送る技術「Trans MIT」を構築しました。マイクロ流路を使って作製する脂質ナノカプセルです。
②呼吸活性と代謝の上昇を確認
Trans MITを培養細胞に適用したところ、ミトコンドリアの呼吸活性(酸素消費速度)の上昇と、細胞内エネルギー代謝の活性化が確認されました。
代謝解析では、TCA回路やATP産生に関連する経路の活性化が示唆されたとしています。研究グループは「ミトコンドリアを薬として利用する」という考え方を示し、細胞機能制御や再生医療への応用を挙げています。
編集部からひとこと
遺伝子を書き換える手法は効果が大きい一方、規制と安全性の検討に時間がかかります。細胞の部品を届けて働きを変えるという方向は、その負担が異なる可能性があります。今回は培養細胞での結果であり、生体でどうなるかは次の段階の課題として残ります。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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