2026.08.25 九州大学・理化学研究所 元発表:2026.08.21

九州大学ら、プラスチック汚染が海辺のフナムシに及ぶことを確認

ニュース紹介

「プラスチック汚染の影響が「海辺の掃除屋」フナムシにまで~消化管のマルチオミクス解析に基づく推察~」

九州大学大学院生物資源環境科学府のSeokhyun Lee氏(当時)、九州大学の大嶋雄治名誉教授、島崎洋平准教授、高井優生助教、理化学研究所生命医科学研究センターの大野博司チームディレクター、須田亙チームディレクター、宮本浩邦客員主管研究員らの共同研究グループは、海辺の掃除役として知られる甲殻類のフナムシ(Ligia属)に発泡ポリスチレン(EPS)を給餌したモデル試験系で、消化管のマルチオミクス解析を行い、消化器系に生理的な変化が生じうることを確認したと発表しました。解析では、EPS摂取群と絶食対照群を比較し、シトクロムP450、UDP-グルクロン酸転移酵素、スルホトランスフェラーゼなど、異物代謝に関わる酵素の遺伝子発現がEPS摂取群で上昇していたと報告されています。一方、腸内微生物叢のα・β多様性や全体構造には大きな変化が見られなかったものの、Methanospirillumなどのメタン生成古細菌や一部のDNAウイルスがEPS摂取群で検出されたとしています。研究グループは、プラスチック汚染の生態影響を評価するには、個体数や群集構造だけでなく、生物の消化器系に生じる分子レベルの変化も捉える必要性が示唆されると説明しています。成果は国際科学誌『Marine Pollution Bulletin』に掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年8月21日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260821_4/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

フナムシは磯や砂浜で藻類や動物の死骸を食べる、海辺の掃除役の甲殻類です。波打ち際の生態系で分解者の一端を担っています。

海の漂着ごみには、波や紫外線で細かく砕けたマイクロプラスチックが多く含まれます。こうしたごみが海辺の生き物にどう作用するかは、種ごとに実測する必要があります。

①発泡ポリスチレンを与えて調べる

研究グループはフナムシに発泡ポリスチレンを給餌し、絶食対照群と比較しました。調べたのは消化管の遺伝子・微生物・ウイルスをまとめて見るマルチオミクス解析です。

発泡ポリスチレンは、海岸で最もよく見つかるプラスチックごみのひとつです。実際の環境で口にしうる形で与え、体の中で何が起きるかを分子レベルで追いました。

②異物を代謝する酵素の遺伝子が上昇

EPS摂取群では、シトクロムP450、UDP-グルクロン酸転移酵素、スルホトランスフェラーゼといった異物代謝に関わる酵素の遺伝子発現が上昇していました。

腸内微生物のα・β多様性や全体構造には大きな変化はありませんでしたが、メタン生成古細菌のMethanospirillumや一部のDNAウイルスがEPS摂取群で検出されたとしています。個体の数や群集の構造では見えない変化が、消化管の中で起きうるということです。

編集部からひとこと

プラスチックごみの影響は、死ぬかどうか・数が減るかどうかで語られがちです。今回の結果は、その手前で生き物の体がどう応答しているかを見た報告になります。掃除役が受ける負荷は、海辺で分解を担う生態系全体の循環に影響しうる論点です。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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