2026.07.16 科学技術振興機構(JST)

理研らがヘイムダル古細菌に細胞骨格の"祖先"を発見、微小管進化の謎に新知見(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「ヒト細胞骨格の"祖先"を古細菌で発見~微小管の進化の謎に新知見~」

理化学研究所、名古屋大学、ウィタヤシリメティー科学技術大学院大学、岡山大学、科学技術振興機構(JST)の共同発表によると、約27億年前に誕生したとされるアスガルド古細菌が持つたんぱく質を分析し、真核生物の細胞骨格の祖先と考えられる「原始的な微小管」を発見しました。ヘイムダル古細菌が持つチューブリン様たんぱく質は、真核生物の微小管に特徴的な4つの性質を持ちながらも、より細くて単純な構造をしていたと発表されています。

この成果は微小管の進化過程を理解する上で重要であり、真核生物誕生の謎の解明に貢献すると期待されると発表されています。研究成果は米科学誌『Science Advances』(オンライン版)に、論文「Structure and dynamics of a four-protofilament microtubule from Heimdallarchaeales α/β-tubulin」(DOI: 10.1126/sciadv.aeh4305)として掲載されました。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月16日 共同発表
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260716-2/index.html

FrontJournalの解説

微小管とアスガルド古細菌

微小管(マイクロチューブル)は、細胞の形を支え、分裂や物質輸送を担う細胞骨格の一種で、真核生物(動植物・菌類など)に広く備わる構造です。一方、アスガルド古細菌は、深海堆積物などから見つかった古細菌のグループで、遺伝子解析から真核生物に最も近縁と考えられている系統として近年注目されています。今回の発表は、その系統の一つであるヘイムダル古細菌が、真核生物の細胞骨格の起源をたどる手がかりを持っていたことを示すものです。

①"ミニマル微小管"の特徴

研究グループは、ヘイムダル古細菌が持つチューブリン様たんぱく質を分析し、真核生物の微小管に特徴的な4つの性質を持ちながらも、より細くて単純な構造の"ミニマル微小管"であることを解明したと発表しています。原始的でシンプルな構造を保ちつつ、真核生物型の微小管に共通する骨格としての基本機能をすでに備えていたことがポイントです。

②真核生物誕生の謎への手がかり

真核生物がどのようにして複雑な細胞構造を獲得したのかは、生命進化の大きな謎とされてきました。真核生物に最も近縁とされるアスガルド古細菌に、真核生物の微小管の"祖先"と位置づけられる構造が見つかったことは、細胞骨格の起源と真核生物誕生の過程を理解するうえで重要な手がかりになると期待されると発表されています。

編集部からひとこと

今回の成果は基礎生物学の分野で、応用製品や実用化に直接つながるものではありません。ただ、生命がどう複雑さを獲得したのかというテーマは、合成生物学や創薬の基盤にも関わる根本的な問いです。詳細な実験データ・論文情報はJSTの共同発表ページおよびScience Advances掲載論文をご参照ください。

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