2026.07.24 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)・大成建設・住友大阪セメント 元発表:2026.07.23

NEDO・大成建設・住友大阪セメントが人工石灰石でCO2固定コンクリートの現場実証を完了(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「人工石灰石を用いた製造時固定量110kg CO2/m3のCO2固定コンクリート製品の現場実証を完了しました」

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、大成建設株式会社、住友大阪セメント株式会社は、NEDOグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」の一環として、人工石灰石を用いたCO2固定コンクリート製品の現場実証を完了したと発表しました。廃棄物とセメント工場排ガスのCO2から製造した人工石灰石を活用し、コンクリート1立方メートルあたり最大約110kgのCO2を鉱物として長期間固定できることを確認しています。実証は環境の異なる国土交通省直轄工事の2現場(秋田県「成瀬ダム原石山採取工事」および福井県「荒島第二トンネル工事」)で約3年間にわたり実施され、寒冷地やトンネル坑内という条件でも、ひび割れや表面剥離、強度低下、鉄筋腐食が生じないことが確認されました。成果の一部は、2026年3月23日付で改正されたセメントのJIS(JIS R 5210、5211、5212、5213)に反映され、人工石灰石など石灰石と同等の品質を持つ材料の使用が可能となりました。

出典:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 2026年7月23日 プレスリリース
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101955.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

セメント・コンクリートは、社会インフラを支える基幹材料であると同時に、その製造工程は日本の産業由来CO2排出の中でも大きな比重を占めています。原料の石灰石を高温で焼成する過程で、石灰石中の炭酸カルシウムが分解されCO2が放出されるためです。国内外で「排出したCO2をコンクリートに固定する」カーボンリサイクル型コンクリートの研究が進められており、大成建設の「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」など、既存の建設現場に導入可能な技術が段階的に商用化されています。

一方で、既存の道路や建築物と同等の耐久性・強度・施工性を長期間にわたって維持できるかは、実際の現場で確かめないと分からない部分が残ります。今回の実証は、寒冷地とトンネル坑内という条件が厳しい環境下で約3年間の追跡調査を行い、環境性能と構造性能の両立を実地で検証した点に意義があります。

①人工石灰石を用いた「CO2の鉱物固定」の仕組み

今回用いられた人工石灰石は、カルシウムを含む廃棄物(産業副産物)と、セメント工場から排出されるCO2を反応させて炭酸カルシウムを合成したものです。この人工石灰石をコンクリート製品の原料に組み込むことで、大気中に放出されるはずだったCO2を鉱物として長期間閉じ込めることができます。今回の実証では、コンクリート1立方メートルあたり最大約110kgのCO2固定量が確認されました。既存のセメント工場やコンクリート製造設備に大きな設備改修を必要とせずに導入できる点が、社会実装のうえでは大きな要素です。

②寒冷地・トンネル坑内で約3年間の耐久性を確認

実証は、秋田県「成瀬ダム原石山採取工事」(寒冷地)と福井県「荒島第二トンネル工事」(トンネル坑内)の2現場で行われました。寒冷地では凍結融解の繰り返しによる材料劣化、トンネル坑内では湿潤環境や換気条件の違いによる劣化が懸念事項となります。約3年間のモニタリングの結果、ひび割れや表面剥離、強度低下、鉄筋腐食が生じないことが確認されました。あわせて、今回の成果は2026年3月23日に改正されたセメントのJIS(JIS R 5210「ポルトランドセメント」など4規格)にも反映され、人工石灰石を含む「石灰石と同等の品質を持つ材料」の使用が正式に位置づけられました。

編集部からひとこと

コンクリート分野の脱炭素は、単一の魔法の材料ではなく、混合セメントの利用拡大・CO2の鉱物固定・原料代替・製造工程の低炭素化といった複数の技術を積み上げる作業になります。今回の実証は、そのうち「原料段階でCO2を鉱物として閉じ込める」ルートを、公共工事という現場条件で検証し、JIS改正まで結び付けた事例です。今後は、他の工事種別への適用範囲拡大、設計指針の整備、コスト評価などが焦点になりそうです。詳細はNEDO・大成建設・住友大阪セメント各社のプレスリリースをご参照ください。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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