2026.09.08 理化学研究所・慶應義塾大学 元発表:2026.09.02

理化学研究所ら、自己免疫疾患の原因変異を見極める技術を開発

ニュース紹介

「自己免疫疾患の「原因変異」を見極める新技術を開発」

理化学研究所生命医科学研究センターのヒト免疫遺伝研究チーム(石垣和慶チームディレクター)、自己免疫疾患研究チーム(山本一彦チームディレクター)と、慶應義塾大学医学部の河野通大助教、波多野裕明助教らの共同研究グループは、標的とするゲノム領域のクロマチンの開き具合を高精度かつ効率的に定量する手法「UNIChro-seq(ユニクロシーク)」を開発しました。

本手法はバーコード配列と固有分子識別子(UMI)を活用し、選択的PCR増幅により標的領域由来のDNAを濃縮します。標的領域を従来法と比べて約3,800倍に濃縮でき、わずか10分子程度の微量なDNAも正確に検出できます。

研究グループは、全身性エリテマトーデスおよび関節リウマチに関連するリスク変異を対象に、B細胞またはCD4陽性T細胞を活性化刺激した後0〜72時間で解析し、特にrs58107865変異について詳細に分析しました。成果は科学雑誌『Nature Communications』オンライン版に8月21日付で掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年9月2日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260902_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

関節リウマチ全身性エリテマトーデスは、体を守るはたらきをする免疫が、自分自身の組織を攻撃してしまう病気です。まとめて自己免疫疾患と呼ばれます。

これらの病気のかかりやすさには、生まれ持った遺伝子個人差が関わることが分かっています。ただし一つ一つの影響は小さく、しかも関係のありそうな変異はゲノム上の近い場所に並んでいます。研究者が目指しているのは、その中から本当に働いている変異を絞り込み、診断や治療の手がかりにすることです。

①候補は挙がっても、どれが効いているか確かめにくい

ゲノム全体見渡して病気との関係を調べる解析では、病気に関わる場所は見つかっても、そこに並ぶ多くの変異のうちどれが働いているかまでは分かりません。

手がかりの一つが、ゲノムが巻き取られた状態であるクロマチンの開き具合です。開いているほど、その場所の遺伝子が読み取られやすくなります。ただし狙った場所だけを高い精度で測るのは難しく、時間を追って変化を調べるには手間がかかっていました。

②狙った場所を約3,800倍に濃縮して測る

開発した「UNIChro-seqユニクロシーク)」は、バーコード配列と固有分子識別子(UMI=DNAの分子一つ一つに付ける目印)を使い、狙った場所に由来するDNAだけを選んで増やします。発表によれば、標的とする領域を従来の方法と比べて約3,800倍に濃縮でき、10分子程度の微量なDNAでも正確に検出できます。

研究では、B細胞やCD4陽性T細胞を刺激したあと0〜72時間の範囲で解析し、変異がクロマチンの開き具合に与える影響を時間を追って調べました。全身性エリテマトーデスと関節リウマチに関わる変異のうち、rs58107865という変異について詳しく分析しています。

編集部からひとこと

病気に関わるゲノム場所数多く見つかってきましたが、そこから先の「どれが効いているか」を確かめる工程が積み残しになりやすい分野です。今回は測る対象を狙った場所に絞り、量を増やして測れるようにした点が要点です。発表では、患者由来細胞に当てはめることで、病気の勢いや薬の効き方を示す指標づくりにつながると期待されています。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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