2026.08.31
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琉球大学・東京大学ほか
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元発表:2026.08.26
琉球大学ら、2024年の海洋熱波で沖縄から本州までサンゴ白化
ニュース紹介
「2024年度の記録的海洋熱波、沖縄から本州まで全国的なサンゴ白化を引き起こす~北上しているサンゴにも深刻な影響~」
琉球大学理学部の栗原晴子教授、東京大学大学院理学系研究科の山野博哉教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の安田仁奈教授、東北大学大学院理学研究科の安中さやか教授、東海大学海洋学部の中村雅子教授、和歌山県立南紀熊野ジオパークセンターの本郷宙軌主査研究員らの共同研究グループは、2024年に日本沿岸を襲った記録的な海洋熱波が、夏の平均海水温を1〜3℃上昇させ、沖縄の亜熱帯サンゴ礁から本州沿岸の温帯サンゴ群集まで、広範囲に深刻なサンゴ白化を引き起こしたことを解明したと発表しました。
研究グループは、黒潮流域の沿岸8地点で海水温の熱ストレスとサンゴ白化状況を解析しました。その結果、2024年には全調査地点で過去約40年間で最も高い熱ストレス環境が記録され、多くの地点でサンゴの大規模な白化と死滅が確認されました。近年、温暖化に伴い分布域を北へ広げているミドリイシ属(Acropora)サンゴの多くも白化しており、温帯域が熱帯性サンゴの将来の「気候避難地」となり得る可能性についても注意を促す内容となっています。
本研究成果は2026年8月25日付で英科学誌Scientific Reportsにオンライン掲載されました(論文タイトル:Widespread coral bleaching across subtropical and temperate Japan under record marine heat stress、DOI: 10.1038/s41598-026-65095-2)。
出典:科学技術振興機構(JST) 2026年8月26日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260826-2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
海洋熱波(Marine Heatwave)は、ある海域の海面水温が平年より極端に高い状態が数日から数か月にわたり続く現象を指します。気候変動に関する国際的な報告では、海洋熱波の発生頻度・強度・持続時間はいずれも過去数十年で増加しており、沿岸の生態系や漁業への影響が世界的な関心事となっています。
サンゴは体内に褐虫藻と呼ばれる藻類を共生させており、褐虫藻が光合成で作る栄養に大きく依存しています。海水温が高い状態が続くと、この共生関係が崩れて褐虫藻がサンゴから抜け出し、骨格の白さが透けて見える「サンゴ白化」が起きます。白化が長引くとサンゴは栄養を得られず死滅につながるため、水温上昇の影響を最も受けやすい生物の一つとして注目されています。
①調査8地点で過去約40年間で最高の熱ストレスを記録
研究グループは、黒潮流域の沿岸8地点で2024年夏の海水温データを解析しました。その結果、いずれの地点でも過去約40年間の観測で最も高い熱ストレス環境が記録されました。
平均海水温は例年より1〜3℃高い状態が続き、沖縄・石垣島などの亜熱帯サンゴ礁海域だけでなく、本州沿岸の温帯海域に生息するサンゴ群集でも大規模な白化と死滅が確認されました。全国規模で同時に高水温が長く続いたことが、広域の白化を引き起こした直接の原因と位置付けられています。
②北上するミドリイシ属サンゴも白化し「気候避難地」に注意
これまで、温暖化により海水温が上がると熱帯性サンゴの分布域は北へ広がり、温帯海域が将来の「気候避難地(climate refugia)」として機能する可能性が指摘されてきました。今回の調査では、実際に分布域を北へ広げつつあるミドリイシ属(Acropora)サンゴの多くも、温帯側の調査地点で白化していたことが確認されました。
研究グループは、海の温暖化が進むスピードがサンゴの北上や環境適応のスピードを上回れば、温帯域も避難地として十分に機能しない可能性があると指摘しています。北上先の温帯海域でも高い水温が長く続けば、白化・死滅を免れられないためです。
編集部からひとこと
今回の研究は、2024年に日本沿岸で観測された記録的な高水温が、沖縄だけでなく本州沿岸まで含めた広い範囲でサンゴ白化を同時に引き起こした事実を、8地点の観測データで示したものです。温暖化のもとで期待されてきた温帯海域への「北上」と「避難」というシナリオが、水温上昇の速度次第では成立しなくなる可能性を、実測データに基づき指摘した点が要点と言えます。詳細な観測データや解析手法はScientific Reports掲載論文および琉球大学・東京大学・JSTの公式ページをご参照ください。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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