2026.08.28 千葉工業大学 元発表:2026.08.27

千葉工業大学、電池電極の反応のむらをナノ単位で可視化

ニュース紹介

リチウムイオン電池の複合電極に潜む「不均一な反応」をナノ技術で捉えることに成功」

千葉工業大学の熊谷明哉教授(東北大学材料科学高等研究所 特任教授 兼任)らの研究グループは、ナノ電気化学セル顕微鏡(SECCM)を用いて、シリコン-グラファイト複合負極の局所的な電気化学反応を調べました。

直径約100ナノメートルの開口径を持つナノピペット先端に形成される微小な電解液メニスカスを電極表面に接触させ、その場所だけの電気化学反応を測定しています。実際のリチウムイオン電池の特性評価に近い環境で測るため、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で有機電解液とリチウム金属電極を用い、さらに電解液をナノピペット内でゲル化することで安定した局所測定を実現しました。

その結果、同じ複合電極上でも、グラファイト、シリコン、両者の混合領域の3つに反応を識別でき、電極内部の反応の不均一性を明らかにしました。電解液の分解により形成されるSEI被膜の分布も局所的に検出され、その反応が電極表面で一様ではなく空間的に不均一に分布していることを示しています。

出典:PR TIMES 2026年8月27日 プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000042635.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

リチウムイオン電池の電極は、活物質導電助剤バインダーなど複数の材料でできた複合電極です。そのため電極の内部では、材料の種類や分布、界面の状態が場所ごとに違います。

電池の寿命を左右する要素の一つに、負極の表面にできるSEI被膜があります。電解液が分解してできる膜で、厚くなりすぎると抵抗が増えて出力が下がります。研究者が目指しているのは、この膜がどこにどうできるのかを、場所ごとに捉えることです。

①一般的な測定では平均に埋もれてしまう

一般的電気化学測定は、電極の間を移動するリチウムイオンによる電流を測ります。この方法では、電極全体の合計が測定値になります。

そのため、場所ごとの反応の違いは平均化され、見えにくくなります。実際の電極では反応が均一に進むとは限らないにもかかわらず、電極を一つの平均的な材料として評価することになっていました。

②100ナノメートルの管で3種類の反応を見分けた

研究グループはナノ電気化学セル顕微鏡(SECCM)を使い、直径約100ナノメートルナノピペットの先にできる微小な電解液のかたまりを電極に触れさせ、その場所だけを測りました。

その結果、同じ電極上でグラファイト、シリコン、両者の混合領域の3つに反応を見分けています。SEI被膜の形成に関わる反応も場所によって異なり、空間的に不均一に分布していることを示しました。

編集部からひとこと

電池材料開発では、性能を1つの数値で比べる場面が多くあります。今回は、その数値の内側で何が起きているかを場所ごとに見ています。シリコングラファイトより多くのリチウムを蓄えられる一方、充放電で大きく膨らむ材料です。両者を混ぜた電極のどこで何が起きているかが見えると、混ぜ方そのものを設計する手がかりになります。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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