2026.08.11
│
九州大学・名古屋大学
│
元発表:2026.08.10
九大・名大、微小液滴でDNA金ナノ粒子結晶を均一に生成
ニュース紹介
「微小液滴を利用したDNA修飾金ナノ粒子結晶の均一生成に成功」
九州大学大学院工学研究院の鳥取直友助教、佐久間臣耶准教授、山西陽子教授、名古屋大学未来材料・システム研究所の田川美穂教授らの研究グループは、熱制御型液滴マイクロ流体システムを構築し、DNA修飾金ナノ粒子を均一な微小液滴内で結晶化させることで、結晶サイズのばらつきを大幅に低減することに成功したと発表しました。本手法では、高温条件下のマイクロ流路内で均一サイズの液滴を生成した後、超低速で冷却することで結晶化を制御します。高温状態(65℃)から35℃まで毎分0.01℃の速度で冷却したとしています。液滴サイズによる結晶化への影響を評価した結果、液滴サイズが小さくなるほど単一結晶体が形成されやすくなることが明らかになり、特に液滴径23μm以下の条件では主に単一結晶体が形成されることを確認したとしています。さらに、従来のバッチ法と比較して結晶サイズのばらつきを約9分の1に低減したと報告しています。成果は2026年8月10日に国際学術誌 Small に掲載されました。
出典:九州大学 2026年8月10日 プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/67085/26_0810_02.pdf
FrontJournalの解説
この研究分野について
金ナノ粒子は、ナノメートル単位の金の微粒子です。粒子の大きさや並び方によって光の反射や吸収の性質が変わるため、光学材料やセンサーの材料として研究されています。この粒子にDNAを結合させると、DNAの塩基配列の組み合わせによって粒子どうしが規則的に並び、超格子と呼ばれる三次元の結晶構造をつくります。
設計した配列どおりに材料を組み上げられる点が特徴ですが、性能は結晶のサイズと均一性に左右されます。狙った特性を安定して引き出すには、同じ大きさの結晶を再現性よくつくる製造技術が求められてきました。
①従来のバッチ法ではばらつきが残った
従来の結晶化は、容器の中でまとめて反応させるバッチ法で行われてきました。容器内では場所によって温度や濃度がわずかに異なるため、結晶ごとにサイズや構造がばらつきやすく、超格子の特性を安定して引き出すことが難しかったと発表では説明されています。
今回の手法では、マイクロ流路で生成した均一サイズの微小液滴を一つひとつ独立した結晶化の場として使います。従来のバッチ法と比べて結晶サイズのばらつきを約9分の1に低減したことが、発表された主要な成果です。
②液滴を小さくすると単一結晶になりやすい
研究グループは、液滴のサイズが結晶化に与える影響を評価しました。その結果、液滴が小さいほど単一の結晶体が形成されやすくなり、特に液滴径23μm以下の条件では主に単一結晶体が形成されることを確認したとしています。液滴が小さいと、その中で生じる結晶の核の数が抑えられ、一つの結晶が優先して成長するためと説明されています。
冷却は65℃から35℃まで毎分0.01℃という速度で行われました。また、小角X線散乱(SAXS)による評価で、得られた超格子は従来法と同様の結晶構造を持つことが示されたとしています。
編集部からひとこと
ナノ材料の研究は新しい構造の発見に注目が集まりますが、産業で使うには同じものを繰り返しつくれることが前提になります。ばらつきを約9分の1という具体的な数値で示している点が、この発表の要点です。発表では、他のナノ粒子材料への展開や製造のスケールアップが今後の課題として挙げられています。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
この企業の方へ
内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。
掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら