2026.07.27
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理化学研究所・京都大学 ほか
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元発表:2026.07.24
理研・京大ら、iPS細胞から作った心筋を「圧力」で短期間に成熟させる製造法を開発(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「“圧力で鍛える”次世代のiPS人工心筋製造法」
理化学研究所、京都大学、東京大学、関西医科大学の共同研究グループ(升本英利客員主管研究員、木村航チームディレクター、野村征太郎特任准教授ら)は、ヒトiPS細胞由来の三次元人工心筋組織(ECT)に高圧・短時間・間欠的な圧力刺激を加えることで、成人の心臓に近い成熟状態へ導く技術を開発したと発表した。2週間培養したECTに対して50キロパスカル(kPa)の圧力を1日1時間、3日間加える方法で、この圧力は通常培養時の1,000〜2,500倍に相当する。従来は電気刺激や引き伸ばす刺激で数週間の長期培養が必要だったのに対し、「圧力」という力学的な刺激によって短期間での成熟化を実現した。移植用心筋の機能向上、実際のヒト心臓に近い薬剤評価系の開発、心疾患モデルの構築、心不全治療への応用が期待されるとしている。研究成果は科学誌「Stem Cell Reports」のオンライン版(7月23日付)に掲載された。
出典:理化学研究所 2026年7月24日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260724_1/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
iPS細胞(人工多能性幹細胞)は、体のさまざまな細胞に変化できる能力を持つ細胞で、心筋(心臓の筋肉)などをつくり出す再生医療の材料として研究が進んでいます。心臓は自分で再生する力が弱い臓器のため、iPS細胞から作った心筋を移植する治療や、薬の効果・副作用を試す評価系への応用が期待されています。
ただし、iPS細胞から作ったばかりの心筋は「未熟」で、実際の大人の心臓の心筋とは性質が異なります。実用に近づけるには、この未熟な心筋をどうやって成人の心臓に近い状態まで成熟させるかが課題でした。今回の研究は、その成熟に「圧力」を使うという新しいアプローチを示したものです。
①「圧力」で心筋を鍛えるという発想
研究グループは、iPS細胞から作った三次元の人工心筋組織(ECT)に対し、50キロパスカルの圧力を1日1時間、3日間にわたって間欠的に加えました。この圧力は、通常の培養時にかかる圧力の1,000〜2,500倍に相当します。従来の成熟化の方法は、電気で刺激したり組織を引き伸ばしたりして数週間かけて培養する必要がありましたが、今回は「圧力」という力学的な刺激を短時間加えるだけで、成人の心臓に近い成熟状態へ導けることを示しました。体を鍛えるトレーニングのように、強い負荷を短くかけて心筋を成熟させるイメージです。
②移植や薬の評価への応用
成熟した人工心筋は、実際のヒトの心臓により近い性質を持つため、応用の幅が広がります。研究グループは、移植用心筋の機能向上や、薬の効果・副作用をヒトの心臓に近い状態で調べる評価系の開発、心臓の病気を再現する疾患モデルの構築、さらには心不全治療への応用が期待できるとしています。短期間で成熟化できれば、研究や製造にかかる時間の短縮にもつながると考えられます。
編集部からひとこと
再生医療というと「細胞をどう作るか」に注目が集まりがちですが、作った細胞を実際の臓器に近い状態まで「育てる・鍛える」工程も同じくらい重要だと気づかされる成果でした。電気や伸展ではなく「圧力」で、しかも数週間ではなく3日間という短さで成熟させられる点は、製造の現実味を高める工夫だと感じます。移植医療や創薬の評価系など応用先が広く、今後の検証の進み方に注目したいテーマです。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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