2026.08.13
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東北大学・太陽ホールディングス株式会社
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元発表:2026.08.05
東北大ら、高周波基板向けポリマーの耐溶剤性の仕組みを解明
ニュース紹介
「高周波電子基板向けポリマーの耐溶剤性向上の仕組みを解明」
東北大学大学院工学研究科の三島翔子助教、同大学グリーンクロステック研究センターの川越吉晃准教授らは、太陽ホールディングス株式会社と共同で、反応性ポリフェニレンエーテル(PPE)が硬化後に高い耐溶剤性を示す仕組みを明らかにしたと発表しました。PPEは低誘電特性に優れる一方、加工性と硬化後の耐溶剤性の両立が課題でした。研究グループは、実験評価と熱硬化系のシミュレーション技術を組み合わせ、硬化反応中の三次元ネットワークの形成過程をコンピュータ上で可視化しました。その結果、PPEに導入された反応性アリル基がトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と反応して三次元ネットワークを形成し、溶媒中でも形状が保持されることを実証したとしています。応用先として高周波電子基板用材料が挙げられています。成果は英国王立化学会が刊行する学術誌 Polymer Chemistry に2026年7月28日に公開されました。
出典:東北大学 2026年8月5日 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/08/press20260805-02-dpds.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
スマートフォンの通信や車載レーダー、データセンターの高速伝送では、高い周波数の信号を扱います。周波数が高くなるほど、信号は基板の材料そのものによって失われやすくなります。
この損失を抑える指標が低誘電特性です。電気を通しにくく、信号のエネルギーを熱に変えにくい材料ほど、高周波の伝送に向いています。ポリフェニレンエーテル(PPE)はこの特性に優れた樹脂として、高周波向けの基板材料に使われています。
①加工しやすさと溶剤への強さは両立しにくい
基板をつくる工程では、樹脂を溶剤に溶かして塗り、加熱して固めます。この段階では溶剤に溶けやすいほど扱いやすくなります。ところが固めた後は、洗浄やめっきなどの工程で溶剤にさらされるため、今度は溶けないことが求められます。
発表では、PPEについて加工性と硬化後の耐溶剤性の両立が課題だったと説明されています。相反する要求を同じ材料で満たす必要があるためです。
②硬化中のネットワーク形成を計算で可視化
研究グループは、実験による評価と熱硬化系のシミュレーション技術を組み合わせ、硬化反応の最中に三次元ネットワークが形成されていく過程をコンピュータ上で可視化しました。
その結果、PPEに導入された反応性アリル基がトリアリルイソシアヌレート(TAIC)と反応して網目状の構造をつくり、溶媒の中でも形状が保持されることを実証したとしています。仕組みが分かれば、どの官能基をどれだけ入れるかという材料設計に指針が生まれます。
編集部からひとこと
材料の性能は経験的な配合の積み重ねで詰められることが多く、なぜ効くのかが後から解明される例は少なくありません。今回は企業との共同研究で、シミュレーションを設計の道具として使っている点が実務的です。学術誌に公開された成果であり、製品への反映時期は示されていません。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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