2026.08.18 九州大学 元発表:2026.08.04

九州大学、高分子粒子で光を閉じ込める光触媒反応器を開発

ニュース紹介

「安価な高分子粒子を用いて光触媒反応を加速する反応器」

九州大学大学院工学府の西村和也氏(博士前期課程修了)、大学院工学研究院の松本光助教、矢野武尊助教、長尾匡憲助教、三浦佳子教授らの研究グループは、安価かつ簡便に作製できる高分子の粒子を反応器に充填し、粒子のすき間で光が繰り返し反射される「光閉じ込め効果」を見出したと発表しました。光触媒反応では、反応器を通過した光が外へ逃げるため、投入したエネルギーを十分に活用できず反応効率やエネルギー効率が低いことが課題でした。研究グループは粒子のモデリングと光の通過シミュレーションを行い、粒子のすき間で光が繰り返し反射し、反応器内に長く留まっていることを明らかにしたとしています。これにより微弱な照射でも光触媒反応を加速でき、医薬や染料の原料となるアントラキノン類の合成に成功したと説明しています。光触媒自体を改変することなく光閉じ込め効果を発現する反応器は例がないとしています。成果はElsevier社の国際誌Chemical Engineering Journalに2026年6月1日に公開されました。

出典:九州大学 2026年8月4日 プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/67069/26_0804_01.pdf

FrontJournalの解説

この研究分野について

光触媒は、光のエネルギーを受けて化学反応を進める材料です。太陽光やLEDの可視光を使って反応を起こせるため、化石燃料に頼らない製造方法として研究が進んでいます。

これまでの研究は、光触媒そのものを分子や材料のレベルで設計し、性能を高める方向が中心でした。一方で、光をどう当てるかという装置側の設計は課題として残っていました。

①当てた光の多くが外へ逃げる

光触媒反応では、光は反応液を通過しながら吸収され、最後は外部へ透過・散乱します。そのため入射した光を使い切ることができず、エネルギーの無駄が生じます。

結果として、強い光源で反応を進める必要があり、実用化のボトルネックになっていました。研究グループは光触媒ではなく反応器の側を設計対象にしています。

②粒子のすき間で光を反射させる

反応器に安価な高分子の粒子を充填すると、粒子のすき間で光が繰り返し反射し、反応器内に長く留まることが分かりました。研究グループはこれを光閉じ込め効果と呼んでいます。粒子のモデリングと光の通過シミュレーションによって、この挙動を確認したとしています。

これにより微弱な照射でも反応を加速でき、医薬や染料の原料となるアントラキノン類の合成に用いています。光触媒自体を改変せずに効果を得る反応器は例がないと説明されています。

編集部からひとこと

光触媒の研究は材料そのものの性能を競う流れが中心でしたが、今回は装置の形で効率を上げています。使う材料が安価な高分子粒子であるため、既存の反応設備に後から組み込む余地がある点も実務的です。弱い光でも反応が進むという結果は、光源の電力を抑える方向の設計につながります。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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