岡山大学発スタートアップ10選|地域医療と研究成果から生まれる新産業

岡山大学発スタートアップ10選|地域医療と研究成果から生まれる新産業

岡山大学発スタートアップは、医療、AI、ロボット、エネルギー、素材、教育など、地域医療と工学系研究の社会実装に広がっています。

岡山大学は岡大発ベンチャーの称号付与企業一覧を公開し、称号付与に限らず50社を超える岡山大学発ベンチャーが活動しているとしています。

大学発スタートアップの面白さは、単に大学名が付いていることではありません。研究室や研究者、学生、卒業生、大学周辺の支援機関が持つ知見が、医療、ものづくり、AI、環境、教育、社会インフラの課題と結びつき、事業として社会へ出ていくところにあります。

この記事では、岡山大学発の10社を、領域別に紹介します。

岡山大学発スタートアップを見るポイント

1つ目は、母子保健、医療機器の管理、薬剤師の教育など、医療現場に近い事業が多いことです。

2つ目は、外観検査AIや複眼カメラによる計測、導電性ナノインクなど、工学系の研究成果を製造や農業の現場へつなげる企業があることです。

3つ目は、水流発電や機能性繊維など、エネルギーや素材の研究成果を事業にする企業があることです。

岡山大学発スタートアップ10社のカオスマップ。AI・ロボット・エレクトロニクス:TechSword、ビジュアルサーボ、C-INK/素材・エネルギー・キャリア:フルエリア、ハイドロヴィーナス、ABABA/医療・ヘルスケア:そなえ、JAPAN MAGGOT COMPANY、Redge、Medswell

岡山大学発スタートアップ10選

ここからは、領域別に10社を紹介します。

資金調達、提携、製品リリースなどの最新情報は、各社の公式発表もあわせて確認してください。

医療・ヘルスケア

1. そなえ|母子健康手帳のデータ化を支える

そなえは、2020年9月に設立された岡山大学発の医療ITベンチャーです。岡山大学で開発された妊産婦緊急搬送補助システム「iPicss」などを広く普及させることを目的に創業し、その普及を担いました。iPicssの事業は現在終了しています。

現在は、冊子の母子健康手帳を残したまま、手帳のページをスマートフォンで撮影するだけで記録をデータにできるハイブリッド母子健康手帳「ウィラバ」を、自治体や医療機関向けに提供しています。2022年9月には、岡山県吉備中央町がウィラバを導入しました。

企業ページそなえ株式会社

2. JAPAN MAGGOT COMPANY|受粉用ハエを農家へ届ける

JAPAN MAGGOT COMPANY(ジャパンマゴットカンパニー)は、2005年4月に設立された岡山大学医学部発のベンチャー企業です。ハエの幼虫である医療用の無菌マゴットを製造・販売する事業から始まりました。

この無菌マゴットを増やす技術を応用して受粉用のヒロズキンバエを国内で飼育し、「ビーフライ」としてイチゴやマンゴーの農家、試験場、種苗会社へ提供しています。ビーフライの導入先は、2023年度時点で全国45都道府県に及びます。

企業ページ株式会社JAPAN MAGGOT COMPANY

3. Redge|医療機器の管理と教育を支える

Redge(レッジ)は、2022年5月に設立された、神奈川県立保健福祉大学・岡山大学発の企業です。代表取締役の稲垣大輔氏は、医療機器の管理を担う臨床工学技士です。

医療機器の管理状況とメンテナンス履歴をクラウドで一元管理し、教育も一体で進める医療機器管理教育システム「CeTrax」を開発しており、一部の医療機関で試験導入を始めています。2024年1月には、厚生労働省の事業の一つとして行われた、ベトナムでの医療機器管理の事業に参加しました。

企業ページ株式会社Redge

4. Medswell|薬剤師の教育アプリを開発する

Medswell(メズウェル)は、岡山大学病院薬剤部の薬剤師である木村郁哉氏が、2023年4月に設立した企業です。岡山大学から「岡山大学発ベンチャー」の称号を付与されています。

処方せんへの対応など臨床現場の場面を再現し、薬剤師が判断を練習できるWebアプリ「KimBen Pharma」を提供しています。VR教材「KimBen Pharma VR」や、災害時の医薬品在庫管理アプリ「MedStock」も開発しています。

企業ページ株式会社Medswell

AI・ロボット・エレクトロニクス

5. TechSword|外観検査AIをノーコードで提供する

TechSword(テックソード)は、岡山大学工学部を卒業した長島慶樹氏が、大学院に在学中の2021年5月に設立した企業です。岡山大学が「岡大発ベンチャー」の称号を付与した企業の一覧に掲載されています。

製造ラインの外観検査AIを、現場の担当者がプログラミングなしで開発できるプラットフォーム「TechSword Vision」を、自動車業界を中心に、食品業界などの製造現場へ提供しています。2025年9月には、数枚の不良データから不良画像を作る機能「不良画像生成AI」の提供を始めました。

企業ページ株式会社TechSword

6. ビジュアルサーボ|複眼カメラで位置と寸法を測る

ビジュアルサーボは、岡山大学の見浪護特命教授が中心となって2016年に設立した岡山大学発ベンチャーです。左右2台のカメラを並べた複眼カメラで、対象物の位置・姿勢・寸法を計測する技術を事業にしています。

果物・野菜収穫用の「全天候型空間センサーAWSS」や、泳ぐ魚の寸法を測る計測装置を、製品として販売しています。2024年9月には、岡山市半田山植物園の協力を得て、立木に実る果実の位置と寸法を屋外で計測できることを確かめました。

企業ページ株式会社ビジュアルサーボ

7. C-INK|導電性ナノインクで回路を印刷する

C-INK(シーインク)は、2012年8月に「株式会社コロイダル・インク」として設立された岡山大学発の企業です。創業者で代表取締役社長の金原正幸氏は、岡山大学で研究室を運営しながら起業しました。

銀のナノ粒子を水に分散させた導電性ナノインク「DryCure」を製造し、電子回路の配線をデジタルデータから直接インクジェットで印刷できるようにしています。GPS機器大手のGarminが航空機向けタッチパネルの配線にDryCureを採用し、2023年10月に量産が始まりました。

企業ページ株式会社C-INK

素材・エネルギー・キャリア

8. フルエリア|機能性繊維・素材を開発する

フルエリアは、岡山大学でマイクロ流路デバイスの研究を重ねた小野努氏が、2022年1月に設立した企業です。2023年9月に、岡山大学から「岡山大学発ベンチャー」の称号を授与されています。

微細な流路で原料の溶液を繊維にする「マイクロ湿式紡糸法」を使い、熱に弱い原料も常温で繊維にできます。製品として魚由来のコラーゲン繊維を提供し、導電性高分子を原料にした導電性繊維も提供可能としています。

企業ページ株式会社フルエリア

9. ハイドロヴィーナス|振り子式水流発電を実用化する

ハイドロヴィーナスは、岡山大学教授の比江島慎二氏が発明した振り子式水流発電を実用化するために、2015年1月に設立された岡山大学発のベンチャーです。

水の流れで振り子を揺らして発電し、その電力で水位や流量を計測する装置「Hydro-VENUS」を開発しています。岡山大学とともに香川用水で水路の水位と流量の把握を検証し、2024年9月に発表しました。2026年6月には、総務省が主宰する「ICTスタートアップリーグ」の採択企業に選ばれています。

企業ページ株式会社ハイドロヴィーナス

10. ABABA|最終面接の経験を次の選考につなぐ

ABABA(アババ)は、久保駿貴氏が岡山大学理学部に在学中の2020年に創業した企業で、同大学から岡山大学発ベンチャーの称号を授与されています。2024年3月には、岡山大学発ベンチャーとして初めて経団連に入会しました。

最終面接で採用できなかった学生を企業どうしで推薦し合う、新卒向けスカウト型サービス「ABABA」を運営しています。2024年11月には、AI面接で就活生の能力を点数化する就活版全国共通模試「REALME」を正式にリリースしました。

企業ページ株式会社ABABA

岡山大学発スタートアップに多い注目領域

岡山大学発スタートアップでは、そなえ、JAPAN MAGGOT COMPANY、Redge、Medswellのような医療・ヘルスケア系、TechSword、ビジュアルサーボ、C-INKのようなAI・ロボット・エレクトロニクス系、フルエリア、ハイドロヴィーナス、ABABAのような素材・エネルギー・キャリア系が目立ちます。JAPAN MAGGOT COMPANYのように医療用の技術を農業へ応用した企業もあります。

まとめ

岡山大学発スタートアップは、医療、工学、素材・エネルギー、農業などの研究成果を、社会で使える製品やサービスへ変えていく企業群として見ることができます。大学病院の中に拠点を置く企業から、研究室で生まれたインクが航空機向けタッチパネルの量産に採用された企業まで、事業化の形もさまざまです。

この記事の作者

ショクレキ代行

ショクレキでは、ヒアリングをもとに職務経歴書を一緒に作成するサービスを提供しています。「大学発スタートアップに応募したいが、研究経験をどう書けばいいかわからない」「書類選考が通らない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

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