2026.07.23
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理化学研究所・京都大学
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元発表:2026.07.09
京大・理研ら、原子核の深い構造を観察する新手法「パリティ移行核反応」を実証(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「原子核の深い構造を「のぞき窓」から観察する新手法を実証」
京都大学の堂園昌伯助教、理化学研究所の上坂友洋部長、道正新一郎チームリーダー、東京大学の矢向謙太郎准教授、大阪大学の大田晋輔教授らの研究グループは、「パリティ移行核反応」と呼ぶ新しい核反応を用いて、原子核の0マイナス(0⁻)励起状態を選択的に観測することに成功したと発表した。原子核の深い構造を「のぞき窓」から観察する新しいアプローチであり、パイ中間子やニュートリノの謎に迫る研究への応用が期待されるとしている。研究成果は、Progress of Theoretical and Experimental Physics(PTEP)に掲載された(DOI: 10.1093/ptep/ptag121)。
出典:理化学研究所 2026年7月9日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260709_1/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
原子の中心にある原子核は、陽子と中性子が集まってできています。原子核は静かに止まっているわけではなく、エネルギーを受け取るとさまざまな「励起状態」と呼ばれる状態に変化します。どんな励起状態を取りやすいかを調べることは、原子核の内部構造や、それを支配する力を理解する手がかりになります。
励起状態にはいくつかの種類(対称性)があり、その中でも観測が難しいものがあります。今回研究グループが注目したのは「0⁻状態」と呼ばれるタイプで、これを選んで観測できれば、これまで見えにくかった原子核の性質に光を当てられると考えられてきました。
①見えにくい「0マイナス状態」を選んで観測
今回の成果の中心は、原子核の0⁻励起状態を選び出して観測できたことです。研究グループは「パリティ移行核反応」という新しい反応を使いました。パリティとは、粒子や状態が持つ空間反転(鏡に映したような操作)に対する性質のことで、この反応では特定のパリティを持つ状態だけを狙って引き出せる点が特徴とされます。多くの励起状態が混ざって観測される中から、目的の0⁻状態だけを「のぞき窓」のように選び取れることを実証したものです。
②パイ中間子やニュートリノの研究への応用
研究グループは、この手法がパイ中間子(原子核の中で陽子や中性子を結びつける力に関わる粒子)やニュートリノに関わる物理の解明に応用できると見込んでいます。0⁻状態は、こうした素粒子と原子核の関わりを調べるうえで重要な情報を含むと考えられており、これを選択的に観測できる手段が加わったことになります。基礎物理の測定手法として、今後さまざまな原子核への適用が期待されます。
編集部からひとこと
原子核物理は私たちの日常から遠いテーマに感じられますが、物質を形づくる最も基本的な部分を扱う分野です。今回の「特定の状態だけを選んで観測する」という発想は、雑多な情報の中から見たいものだけを取り出す新しい観測の窓を用意した、という点で意義があると感じました。パイ中間子やニュートリノという素粒子物理の大きな問いにつながる基礎技術であり、地道な測定手法の進歩が将来の発見を支えていくのだと改めて思わされる成果です。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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