2026.08.04
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愛媛大学・理化学研究所
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元発表:2026.08.03
愛媛大・理研ら、機械学習で金属ナノ粒子の色を分類し抗体タンパク質を高精度検出(FrontJournal解説)
ニュース紹介
「機械学習でナノ粒子の「色」を見分け、タンパク質を高精度に検出」
愛媛大学大学院理工学研究科と理化学研究所光量子工学研究センターの研究グループは、色の異なる2種類の金属ナノ粒子を暗視野顕微鏡で観察し、機械学習で像を分類することで、従来法では検出が難しかった抗体タンパク質などの大きな分子を1粒子レベルで見分けられる新しい生体分子検出法を開発した。金属ナノ粒子はサイズや形状に応じた特有の色(局在表面プラズモン共鳴による散乱光)を持ち、両者を組み合わせて標的分子を挟み込む「サンドイッチアッセイ」を構築、機械学習で像を分類することで大きな分子でも1粒子ずつ検出できる。研究成果はRSC Advances誌に掲載され、DOIは10.1039/d6ra03733j。
出典:理化学研究所 2026年8月3日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260803_2/index.html
FrontJournalの解説
この研究分野について
病気の早期発見や創薬では、血液や尿にごくわずかに含まれるタンパク質を高い感度で見分ける必要があります。従来の抗原抗体反応を使った検査(ELISA法など)は蛍光や発色を集団として測るため、検出感度に下限があり、少量の検体から微量の分子を捉えるのは容易ではありません。近年は金属ナノ粒子が示す局在表面プラズモン共鳴(金属表面の電子が光と共鳴して強く散乱する現象)を利用し、粒子1個ずつを暗視野顕微鏡で観察する「1分子計測」の研究が進んでいます。1粒子ごとに信号を数えられるため、集団測定より原理的に高感度で、少量の検体でも扱えるという利点があります。一方で、標的が抗体のように大きな分子になると粒子同士の距離や向きが揃わず、色の見分けが難しくなるという課題が残っていました。
①2色の金属ナノ粒子+機械学習で「大きな分子」も見分ける
研究グループは、色の異なる2種類の金属ナノ粒子で標的分子を両側から挟み込むサンドイッチ型の検出系を組み、暗視野顕微鏡で得られる粒子の像を機械学習で分類しました。散乱色そのもの、粒子同士の位置関係、明るさなど複数の特徴を機械が同時に学ぶことで、人の目や単純な閾値では区別できない微妙な違いも切り分けられるようになります。これにより、抗体のようにサイズが大きく従来法では色の判別が乱れがちだった標的でも1粒子ごとに検出できるようになった、というのが今回の中身です。感度の高さと検体量の少なさを両立できる方向に踏み込んだ点が特徴です。
②在宅検査・少量血液からの多項目診断へ
この方式は原理上、専用の大型装置を必要とせず、暗視野顕微鏡と画像解析の組み合わせで動きます。少量の検体で高感度な検出ができれば、指先の少量の血液から複数のタンパク質を測る多項目診断や、医療機関に頻繁に通えない在宅検査への応用が視野に入ります。実用化にはナノ粒子製造の均質性、検体前処理、機械学習モデルの安定性など段階的な検証が必要ですが、光学と機械学習を組み合わせて感度の頭打ちを超える一つの方向として、日本発の成果として注目に値します。
編集部からひとこと
機械学習は画像診断や創薬支援など「大きな装置と大量データ」の話が多いですが、今回は暗視野顕微鏡という比較的シンプルな観測系に組み合わせて成果を出しています。ナノ粒子の色という物理現象を「特徴量」として機械に読み取らせる発想は、他の1分子計測にも応用が広そうです。読者の研究室や事業でも、光学系にAIを組み合わせて感度の壁を越えるアプローチは検討する価値があるかもしれません。
本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。
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