使い捨て容器を海藻由来包装へ置きかえる Notpla(イギリス)

使い捨て容器を代替する「海藻由来包装」を開発【Notpla|英国発】

テイクアウトの容器や調味料の小袋など、使い捨てプラスチックの包装は世界で増え続けています。この課題に海藻で挑むのが、英インペリアル・カレッジ・ロンドン発のノットプラ(Notpla)です。紙容器の内側を海藻由来の膜で覆う製品と、容器ごと食べられるカプセル「Ooho」を開発しています。2022年には環境分野の国際賞Earthshot Prizeを受賞し、母校の学食にも製品が導入されました。2024年9月には2,000万ポンド(約38億円)の調達を発表し、北米への展開を進めています。

使い捨てプラスチック包装の課題

Notplaの紹介と、プラスチックの最大用途が包装であること、紙容器の内側にも樹脂が残ることを示す図

プラスチックの最大用途は包装

弁当の容器やペットボトル、菓子の袋など、プラスチックの用途で最も多くを占めるのが包装です。OECD(経済協力開発機構)によると、世界全体の生産量は2020年に約4億3,500万トンでした。各国の対策が進まなければ、2040年には約7億3,600万トンまで増える見通しです。

紙容器の内側にも樹脂

紙製に見えるテイクアウト容器の多くは、中身がしみ出さないよう内側が樹脂の膜で覆われています。この膜には、油や水をはじく力を高めるPFAS(有機フッ素化合物)が使われることもあります。分別しても分解しにくく、使用後は細かな破片となって自然界に長く残り続ける素材です。

FrontJournalの解説
  • PFAS水や油をはじく性質をもつ有機フッ素化合物の総称。自然界で分解しにくく長期間残るため、各国が食品用の包装での使用規制を進めている。
  • OECD経済協力開発機構。日本・欧米を中心とする加盟国が、経済や環境に関する統計の整備と政策提言を行う国際機関。

Notplaが海藻由来の包装材を開発

Notplaが海藻由来の包装材を開発することを示す図。海藻の膜が紙容器を覆い、容器ごと食べられるカプセルOohoも開発している

課題解決に挑むNotpla

Notplaは、海藻と植物を原料とする包装材を開発する英国のスタートアップです。2014年にインペリアル・カレッジ・ロンドンの大学院生2人が創業し、いまもロンドンに拠点を置いています。

海藻由来のコーティング

紙容器の内側を海藻由来の膜で覆うことで、石油由来の樹脂の被膜を代替できます。原料は世界の海で育つ褐藻類で、日本の食卓にもある昆布やワカメの仲間です。陸の作物と違い、農地も肥料も真水も使わずに、海のなかで育つ点が特徴です。使い終えた容器は家庭の堆肥で分解でき、細かな破片が残りにくくなります。

容器ごと食べるOoho

Ooho」は、飲み物を海藻の膜で包んだ、ひと口で飲みきれるカプセル型の製品です。膜ごと口に入れて食べられるため、飲んだ後の容器ごみを減らせます。創業のきっかけは、2人が大学院の卒業制作で発表したこの試作品でした。用途は調味料やドレッシングの小分け用のほか、スポーツ大会の給水にも広がってきました。

FrontJournalの解説
  • 褐藻類昆布・ワカメ・ヒバマタなどを含む海藻の分類群。光合成に使う色素の違いによって、緑藻類・紅藻類と区別される。
  • インペリアル・カレッジ・ロンドン英国ロンドンにある理工系・医学系の総合大学。研究成果を事業化するスピンアウト企業を多数生み出している。

海藻由来包装の未来

海藻由来包装の未来を示す図。大学の学食で日常利用が可能になり、年1億個の置きかえを目指し、約38億円を調達した

学食で日常利用が可能に

大学の学食で、海藻由来の容器がテイクアウトの日常の場面で使われはじめました。母校インペリアル・カレッジ・ロンドンは、2026年1月に全キャンパスへの展開を発表しました。学内の飲食店だけで、1年間に45万個以上の使い捨て容器を置きかえる計画です。削減量はプラスチックが約1.2トン、CO2は約13.3トンにあたる見込みです。

年1億個の置きかえを目指す

Notplaは2年以内に、年1億個を超える使い捨てプラスチック製品の置きかえを目指しています。これまでに置きかえた実績は、累計で約1,600万個にのぼります。製品はテイクアウト容器のほか、飲料や調味料の小分け用にも広がっています。フードデリバリー大手のJust Eat Takeaway.com向けには、100万個を超える容器を供給しています。

約38億円を調達

Notplaは2024年9月、2,000万ポンド(約38億円)のシリーズA+ラウンドを実施しました。フィンランドの林業系ファンドUB Forest Industry Green Growth Fundが主導しました。調達額は当初の目標額の2倍にあたり、想定を上回る規模になっています。この資金で北米への展開と次世代の素材開発を進め、供給量の拡大を図ります。

FrontJournalの解説
  • シリーズA創業初期の企業が、製品や販路を広げる段階で受ける出資。同じ段階で追加の出資を受けた場合は「A+」と呼ぶ。

海藻由来包装の課題と将来性

使い捨てプラスチックの包装は、暮らしに欠かせない一方で自然界に長く残り続けています。Notplaは海藻という身近な原料で、この課題に実用できる水準で応えはじめました。大学の学食やフードデリバリーなど、日常の場面で置きかえが着実に進んでいます。日本にも昆布やワカメを食べる文化と、海藻を加工する技術が長く根づいてきました。FrontJournal編集部は、海藻由来包装が日本の包装産業でも選択肢に加わることに期待しています。

※ 本記事は各社の公式発表・主要報道をもとに、FrontJournal編集部が再構成したものです。数値は各社・各媒体の公表値です。ポンドの円換算は1ポンド=約190円で概算しています。
主な出典:Notpla 公式(ニュースリリース)、OECD「Policy Scenarios for Eliminating Plastic Pollution by 2040」、Imperial College London 公式。

この記事の作者

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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