2026.07.28 京都大学・科学技術振興機構(JST) 元発表:2026.07.27

京都大、「習慣」を決める2つの神経回路を発見 強迫症の理解へ(FrontJournal解説)

ニュース紹介

「どんな習慣ができるかを決める2つの神経回路を発見~強迫症などの理解へ前進~」

京都大学大学院医学研究科の淺岡希美助教、林康紀教授らの研究グループは、「行動が習慣になるかどうか」と「習慣になった後の頻度や量」は、脳内の別々の神経回路によって決まることを発見しました。実験では、「頻度や量」を決める神経回路の働きが弱いマウスでも習慣化そのものは可能でしたが、習慣化した後の行動の頻度や量は元より減少しました。従来の「繰り返した行動がそのまま習慣になる」という考え方よりも複雑なしくみで習慣が形成されていることが示され、強迫症など病的な習慣行動の理解と制御法の開発につながる可能性があります。

出典:科学技術振興機構(JST) 2026年7月27日 プレスリリース
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20260727-3/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

習慣は、意識してがんばらなくても自動的に行える行動として、私たちの生活の多くを支えています。その一方で、行動が過剰に繰り返される強迫症のように、習慣のしくみが病的に働いてしまう状態もあります。脳が習慣をどう作り、どう調整しているのかを知ることは、こうした病態の理解に欠かせません。

これまで習慣の形成は、「行動を繰り返すことでそれがそのまま習慣になる」という比較的単純な考え方で説明されることが多くありました。しかし、習慣ができるかどうかと、できた習慣がどれくらいの頻度・量で現れるかが、同じしくみで決まっているのかは、はっきりしていませんでした。

①「習慣化」と「その頻度・量」は別の回路

研究グループはマウスの実験で、行動が習慣になるかどうかを決める神経回路と、習慣になった後の頻度や量を決める神経回路が別であることを示しました。頻度や量を決める回路の働きが弱いマウスでも、習慣化そのものは起こりました。ただし、その場合は習慣化した後の行動の頻度や量が元より減っていました。習慣という一つの現象が、複数の回路の組み合わせで成り立っていることを明らかにした点が新しい成果です。

②強迫症など病的な習慣の理解へ

「繰り返せば習慣になる」という従来の見方よりも、習慣の形成は複雑なメカニズムで成り立っていることが分かりました。行動が過剰に繰り返される強迫症のような病態では、この2つの回路のどこに異常があるのかを切り分けて考えられるようになります。習慣の「できやすさ」と「強さ」を別々にとらえる視点は、病的な習慣行動の理解や、その制御法を考えるうえでの手がかりになると期待されます。

編集部からひとこと

「習慣ができること」と「その習慣がどれだけ強く出るか」を脳が別々に制御している——この切り分けは、私たちの日常の実感とも符合するように思えます。強迫症のような病態を考えるとき、どちらの回路の問題なのかを分けて論じられるようになる意義は小さくありません。基礎的な神経科学の発見が、将来の治療の考え方を少しずつ形づくっていくのだと感じます。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら