2026.08.21 東京大学・理化学研究所・東北大学 元発表:2026.08.20

東京大学ら、ニッケル酸化物薄膜で超伝導転移温度73Kを確認

ニュース紹介

「常圧と高圧で現れる高温超伝導のつながりを解明」

東京大学大学院工学系研究科の長田礎助教、塚﨑敦教授、同大学の十倉好紀卓越教授、理化学研究所創発物性科学研究センターの寺倉千恵子上級技師、Jean-Baptiste Morée研究員、吉川明子上級技師、中島正道上級研究員、東京大学大学院新領域創成科学研究科の今城周作准教授、東北大学金属材料研究所のHsiao-Yi Chen助教、野村悠祐教授、東京大学物性研究所の金道浩一教授、同大学大学院理学系研究科の有田亮太郎教授らの研究グループは、常圧で超伝導を示す格子の歪んだ二層ニッケル酸化物薄膜を作製し、強磁場測定と高圧測定を通じてその超伝導特性を調べたと発表しました。研究では、常圧で約40Kであった超伝導転移温度が、16GPa(ギガパスカル)で最大73Kまで上昇することを明らかにしています。これにより、従来はそれぞれ独立に研究されてきた高圧超伝導と常圧超伝導を、同一の物質系の薄膜試料で実現したとしています。研究グループは、高温超伝導の発現機構の理解と、新たな高温超伝導材料の設計につながることが期待されると説明しています。成果は学術誌Nature Materialsに掲載されました(DOI:10.1038/s41563-026-02695-3)。

出典:理化学研究所・東京大学 2026年8月20日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260820_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

電気抵抗がゼロになる超伝導は、送電や強力な磁石に使われています。ただし多くの材料は極めて低い温度でしか超伝導にならず、冷却の設備と費用が普及の壁になっています。

そのため、より高い温度で超伝導になる材料の探索が続いています。近年はニッケルを含む酸化物が候補として注目されています。

①常圧と高圧で別々に研究されてきた

ニッケル酸化物の超伝導には、強い圧力をかけたときに現れるものと、常圧で現れるものがありました。

この2つは別々の現象として研究されてきたため、同じ仕組みでつながっているのかが分かっていませんでした。研究グループは、格子の歪んだ二層ニッケル酸化物の薄膜を作り、この問いに取り組んでいます。

②圧力をかけて40Kから73Kへ

作製した薄膜に強磁場測定と高圧測定を行いました。その結果、常圧で約40Kだった超伝導転移温度が、16GPaで最大73Kまで上昇することが分かりました。

これにより、これまで独立に扱われてきた高圧超伝導と常圧超伝導を、同一の物質系の薄膜試料でつなげたとしています。研究グループは、高温超伝導が起こる仕組みの理解と、新しい材料の設計につながると説明しています。

編集部からひとこと

73Kという温度は液体窒素の沸点77Kに近い値で、冷却の手段が変わる境目にあたります。ただしこれは16GPaという高圧下での数値で、そのまま製品になるわけではありません。2つの超伝導が同じ物質でつながったという事実が、常圧で高い温度を狙う設計の手がかりになります。

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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