2026.09.11 東京大学 元発表:2026.09.10

東京大学ら、多発性硬化症の遺伝的背景を多様な人種集団から解明

ニュース紹介

「多発性硬化症の遺伝的背景を多様な人種集団とオミクスから解明」

東京大学大学院医学系研究科の藤本凜太郎氏、岡田随象教授、大阪大学大学院医学系研究科の小河浩太郎助教、九州大学大学院医学研究院の奥野龍禎准教授、理化学研究所の磯部紀子教授らの研究グループは、多発性硬化症の遺伝的背景を多様な人種集団にわたって解析したと発表しました。

研究グループは、日本MS/NMOSD Biobank、バイオバンク・ジャパン、UKバイオバンクという国内外の複数のバイオバンクのゲノムデータを用いて解析を行いました。その結果、日本人集団に特有のリスク領域を同定し、さらに脳病変の内部でリスクが集積している部位を特定しました。本成果は国際学術誌『Nature Genetics』に掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年9月10日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260910_2/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

多発性硬化症は、脳や脊髄を覆う神経の膜が自分の免疫によって攻撃されてしまう病気です。手足のしびれや視力の低下などの症状が、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進みます。

発症のしやすさには遺伝的な要因が関わっているとされ、どの遺伝子領域リスクに関わるかを調べる研究が世界各地で進められてきました。

①欧米中心の研究では日本人に合わない

これまでの多発性硬化症遺伝子研究は、欧米の集団を中心に行われてきました。遺伝的リスク領域は人種集団によって異なることがあるため、欧米で見つかった知見がそのまま日本人にも当てはまるとは限りません。

日本人集団を対象にした大規模な解析が少ないままでは、日本人に特有のリスクを見落とす可能性があります。診断や治療の精度を上げるには、対象となる集団自体のデータを積み上げる必要がありました。

②3つのバイオバンクを組み合わせて解析

研究グループは、日本MS/NMOSD Biobank、バイオバンク・ジャパンUKバイオバンクという、国内外の複数のバイオバンクが持つゲノムデータを組み合わせて解析しました。異なる人種集団のデータを横並びで比較することで、集団ごとの違いを浮き彫りにする狙いです。

解析の結果、日本人集団に特有のリスク領域が見つかりました。さらに、遺伝子の情報だけでなく脳病変そのものの解析オミクス解析)も組み合わせ、リスクが脳病変のどの部位に集積しているかまで特定しています。

編集部からひとこと

病気のかかりやすさを決める遺伝的な要因は、集団によって同じとは限りません。日本人特有リスク領域が見つかったことは、日本人の患者に合わせた研究や治療法の検討を進める土台になります。複数のバイオバンクを横断して使う手法自体も、他の病気の研究に広がっていく可能性があります。

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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