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株式会社リプロム

リプロム「ケルセチン」を研究

企業紹介|株式会社リプロムとは?

植物に含まれるフラボノイド(植物の色素などの成分の総称)の一種で、精子との関係が研究されている「ケルセチン」。株式会社リプロムは、その社会実装を目指す、長崎国際大学発のバイオ・ヘルスケア系ディープテック企業です。同社は、健康食品「ゆりかご2」を販売し、代表の田中宏光氏はケルセチンの作用をマウスで調べています。

キーワード「ケルセチン」

「ケルセチン」は、植物に広く含まれるフラボノイドの一種です。リプロムが注目するのは、ケルセチンと、そこに糖が結合したルチンが、精子や妊娠の成績にどう関わるかという点です。2025年1月に公開された論文では、マウスの体外受精(体の外で卵子と精子を合わせる方法)で受精率が改善し、EubioQuercetinの経口投与で妊娠の成績が改善したと報告されています。

市場課題|不妊は多くの人に関わり、原因も一様でない

現状の不妊対策の課題

不妊は世界で6人に1人

世界保健機関(WHO)は2023年4月、成人のおよそ6人に1人(約17.5%)が生涯のうちに不妊を経験するとの報告をまとめました。生涯有病率は、高所得国で17.8%、低所得国と中所得国で16.5%と、地域による差は小さい水準です。頻度が高いため、不妊に悩む人は身近にも一定数いることになり、社会全体で向き合う課題です。

原因が多様で対処が分かれる

男性の不妊は原因が多様で、原因ごとに対処が分かれます。精子を産生する精巣の働きの不全や、射精に関わる問題などが、WHOの挙げる原因です。ひとつの方法ですべてに対応するのは困難なため、原因に応じた不妊対策を探る研究が進められています。

他にも、精子の数の少なさ、精子の形の異常、精子の動きの低下、精子の機能や質の低下、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 生涯有病率ある集団のうち、一生のうちに一度でもその状態を経験する人の割合を指す。WHOの不妊の推計では、この指標が用いられている。

リプロムの強み|「ケルセチン」を研究

リプロムが「ケルセチン」を研究

培地への添加で受精率向上

体外受精では、精子を前培養用の培地(細胞を育てる液)に入れてから卵子と合わせます。精子は、培地中の活性酸素(細胞を傷める酸素の化合物)の影響を受けやすいと、論文は述べています。

同社代表の田中宏光氏らの研究は、抗酸化作用(活性酸素による傷みを抑える働き)を持つフラボノイドのルチンとケルセチンを、精子の前培養用の培地に加える方法です。マウスの体外受精で、両者を培地に加えると、受精率2倍超の改善が確認されました。アルプス薬品工業の製剤EubioQuercetinを加えた場合に、受精率は最も高くなりました。培地に加えるだけの手順である点が特徴で、ヒトの体外受精での有効性と安全性は、別に検証が必要です。

製剤の経口投与で妊娠成績が改善

培地に加える方法は、体外受精の場面でしか使えず、体の中で起きる妊娠の過程には及びません。体内で妊娠に至る過程への影響は、別に調べる必要があります。

田中氏らは、高齢の雄マウスまたは雌マウスと若いマウスの組に、ルチンやケルセチンなどを混ぜた餌を2か月間、口から与えました(経口投与)。各条件は10組です。高齢の雌の組で妊娠が確認された割合は、通常の餌の10%に対し、ルチンで20%、EubioQuercetinで30%、ケルセチンで10%でした。論文は、EubioQuercetinで妊娠の成績が改善したと報告していますが、ケルセチンは通常の餌と同じ10%です。組数が少なく、ヒトでの効果は示されていません。

FrontJournalの解説
  • ルチンケルセチンにルチノースという二糖(糖が2つつながったもの)が結合した配糖体(糖が結合した化合物)である。ケルセチンと同様に、フラボノイドの一種に分類される。

ケルセチンの未来|健康食品の販売と家畜への応用研究

ケルセチン研究が変える未来

健康食品「ゆりかご2」を販売

リプロムは、ユビオケルセチンを配合した健康食品「ゆりかご2」を販売しています。摂取の目安は1日2カプセルで、購入は、BASE(ネットショップ作成サービス)上のオンラインストアで受け付けています。「ゆりかご2」は健康食品であり、医薬品ではありません。論文の結果はマウスの実験によるもので、製品の効果を示すものではありません。

家畜の受精率改善の手がかり

日本の乳牛と肉牛は、ほぼすべてが凍結精液を使った人工授精で繁殖しており、近年は受精率の低下が課題と、論文は述べています。ルチンとケルセチンは、牛などの家畜の受精率を改善する手がかりとして、調べられています。受精率の改善は、家畜の生産性の維持と貴重な系統の保存に欠かせない課題です。牛などの家畜で同じ結果が得られるかは、今後の確認事項です。

研究成果の事業化を目指す

リプロムは、健康食品の開発・販売を事業としています。連携先は、長崎国際大学です。論文の研究費には、科研費のほか、EubioQuercetinを製造するアルプス薬品工業の資金も使われました。アルプス薬品工業は研究の設計や解析に関与していないと記されています。ケルセチン研究の成果の事業化を目指します。

会社概要|リプロムの事業内容・設立背景

2016年に設立

株式会社リプロムは、2016年3月24日に設立されました。代表取締役は、長崎国際大学薬学部の准教授を務める田中宏光氏です。本社は長崎県佐世保市にあります。田中氏は、長崎国際大学の公式サイトでも、同大学薬学部の教員として紹介されています。

長崎国際大学発ベンチャー

長崎国際大学は、2025年3月の公式トピックスで、リプロムを同大学発のベンチャー企業と紹介しました。経済産業省の大学発ベンチャーデータベースでは、関連大学が長崎国際大学、大学との関係が共同研究ベンチャーです。論文は同大学薬学部で行われ、動物実験は同大学の委員会の承認を受けています。同トピックスによると、論文の内容は2025年2月20日付の健康産業流通新聞の8〜9面でも紹介されました。

所在地と事業内容

本社は長崎県佐世保市有福町にあり、資本金は200万円です。事業は、健康食品の開発・販売です。論文の責任著者は田中氏で、所属は同大学薬学部と記されています。

会社情報

会社名株式会社リプロム(ReproM, Inc.)
所在地長崎県佐世保市有福町536番地63
設立2016年3月24日
代表代表取締役 田中宏光
資本金200万円
事業健康食品の開発・販売
技術領域ケルセチン・ルチン(フラボノイド)の研究
連携長崎国際大学
URLhttps://www1.niu.ac.jp/reprom/

編集後記|FrontJournal編集部より

リプロムの取り組みで注目したのは、研究成果と製品の位置づけを分けて確認できる点です。論文はマウスの結果であり、「ゆりかご2」は健康食品として販売されています。両者を混同せず、研究の積み重ねを見守る姿勢が欠かせません。

とくに、培地に加える方法と、経口で与える方法の2つを、体外と個体という2段階で調べている点は、研究の筋道として分かりやすいといえます。家畜での確認など、今後の動向を見守りたい取り組みです。論文の著者に代表の田中氏が含まれる点も、記事を読む際に押さえておきたい事実です。研究の段階と製品の位置づけを分けて伝えることが、読者の誤解を防ぐ第一歩になると考えます。

FrontJournal編集部

出典:長崎国際大学 トピックス(2025年3月4日)

出典:Tanaka H, Ichihara S. Frontiers in Veterinary Science(2025)

出典:WHO「1 in 6 people globally affected by infertility」(2023年4月)

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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