2026.09.29 │ 理研 │ 元発表:2026.09.29

理研、6種の遺伝子組換えを1系統で可視化する万能マウスを開発

ニュース紹介

「6種の遺伝子組換えを可視化する万能マウスを開発-全身の神経線維や脳組織の微細構造の可視化に成功-」

理化学研究所(理研)バイオリソース研究センター 実験動物開発室の仲柴俊昭専任研究員、吉木淳室長らの共同研究グループは、6種類の異なる部位特異的組換え酵素(SSR)のいずれかが働いても、ゲノム上の同じ場所で反応して強力な赤色蛍光タンパク質(tdTomato)を発現する万能レポーターマウス「ROSA26-6R」を開発しました。

これまで6種類のSSRごとに個別維持が必要だったレポーターマウスの系統を1系統に集約し、研究現場でのコロニー維持負担を大幅に軽減させました。複数のSSRを組み合わせた多重遺伝子操作を可能にする新しい「VikaおよびVCreシステム」が、世界標準である「Cre/loxPシステム」に匹敵する高い組換え能力を持つことも生体内で証明しました。

本研究成果は、複雑な神経回路の解明や高機能な疾患モデルの開発・解析を加速する標準的ツールとして期待されます。論文は科学雑誌「Cell Reports Methods」オンライン版(9月28日付:日本時間9月29日)に掲載されました。

出典:理化学研究所 2026年9月29日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260929_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

マウスの特定の細胞だけで遺伝子を働かせたり止めたりする技術は、脳や病気の研究に欠かせません。その中心にあるのが、DNA上の目印を見つけて切り貼りする部位特異的組換え酵素です。代表例のCre/loxPシステムは、世界中の研究室で使われています。

酵素が狙いどおりに働いたかを確かめるには、組換えが起きると光るレポーターマウスを交配させます。ただし、これまでは酵素の種類ごとに別々のレポーターマウスが必要でした。6種類を使うには6系統を飼い続けなければならず、飼育スペースと手間が研究現場の負担になっていました。

①6種類の酵素に1系統で応える

研究チームは、6種類の酵素が認識する目印をすべて並べた人工のDNA断片を、ゲノム上のROSA26という位置に組み込みました。組換え前は緑色の蛍光タンパク質が光り、6種類のうちどの酵素が働いても、赤色の蛍光に切り替わる仕組みです。

6種類の酵素を持つマウスとそれぞれ交配させたところ、すべての組み合わせで期待どおりの色の変化を確認しました。同じゲノム環境で比べられるため、新しいVikaとVCreがCre/loxPに匹敵する組換え効率と特異性を持つことも、生体内で直接評価できたとしています。

②染色なしで神経の細部まで見える

このマウスは明るい赤色蛍光タンパク質tdTomatoを強く発現するよう設計されています。そのため、従来必要だった抗体染色を行わずに観察できます。

研究チームは、組織を透明にする技術を使い、マウスの胎児の神経線維を丸ごと3次元で観察しました。成体マウスの小脳では、プルキンエ細胞の樹状突起にある無数のスパイン(情報を受け取る小さな突起)まで写し出しています。

編集部からひとこと

研究用マウスの系統を減らせることは、飼育の費用や手間の削減に直結します。本系統は理研バイオリソース研究センターを通じて、国内外の研究者に順次提供される予定です。神経回路やがんの研究で、標準的な道具としてどこまで広まるかに注目します。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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