2026.10.15 │ 東北大学ら │ 元発表:2026.10.14

東北大学ら、X線検出用の新規ガーネット型シンチレータを開発

ニュース紹介

「明るく素早く応答するX線検出用 新規ガーネット型シンチレータの開発に成功」

東北大学未来科学技術共同研究センター(NICHe)の鎌田圭教授、金属材料研究所の吉川彰教授、大学院工学研究科の末積尚人大学院生らは、株式会社C&A、チェコ科学アカデミー物理学研究所(FZU)、ドイツ電子シンクロトロン(DESY)、ラトビア大学固体物理学研究所などとの国際共同研究により、セリウムとマグネシウムを添加したYAGG結晶の発光特性を大幅に改善した。小魚や電子部品の内部構造をX線撮影で可視化することにも成功した。

出典:東北大学 2026年10月14日 プレスリリース(掲載誌:Laser & Photonics Reviews(e71959)/2026年10月3日掲載/DOI: 10.1002/lpor.71959)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261014-01-garnet.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

医療の画像診断や工業製品の検査には、X線を使った撮影技術が広く使われています。この技術で重要な部品がシンチレータです。放射線を吸収し、そのエネルギーを可視光などに変換する材料で、光センサやカメラと組み合わせて放射線を検出します。

シンチレータには、高い発光量、高速な応答、照射後に残る光(残光)の低減が求められます。しかし、応答を速めると発光量が低下するなど、これらを同時に満たすことは課題でした。今回の研究は、この課題に対して結晶の組成から取り組んだものです。

①セリウムの価数を制御し、発光性能を高めた

研究グループが用いたのは、ガーネット構造の酸化物であるYAGG(Y3(Al,Ga)5O12)の結晶です。ここにセリウム(Ce)だけを添加した結晶と、セリウムとマグネシウム(Mg)を共添加した結晶を比べました。Mg2+を共添加すると、結晶の電気的中性を保つ電荷補償によってCe4+が安定化します。これを価数制御(イオンの電荷状態を調整すること)と呼びます。

X線吸収分光スペクトルでは、Mgを共添加した試料でCe3+に加えてCe4+の存在が確認されました。研究グループは、結晶組成とセリウムの価数制御が発光性能を高めたと報告しています。

②小魚や電子部品の内部構造をX線で可視化

材料開発から発光機構の検証、画像での実証までを国際連携で進めた点も特徴です。開発した結晶を使って、小魚や電子部品の内部構造をX線撮影で可視化することに成功しました。

研究グループは、高精細・高速なX線イメージングや、高エネルギー物理学の検出器への応用が期待されるとしています。

編集部からひとこと

今回の成果は、X線を光に変える材料の組成と電荷状態を調整することで、発光量と応答速度の両立に近づけたことを示す材料研究です。日本、チェコ、ドイツ、ラトビアの研究機関と企業が連携し、材料の作製から発光機構の検証、撮影までを一続きで行った点も特徴といえます。具体的な発光量や応答時間の数値、量産性、製品化の時期は、原文の発表本文で確認する必要があります。応用先として挙げられた医療画像や非破壊検査での性能が、既存の検出材料と比べてどうなるかが今後の注目点です。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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