セッション概要:Glydwaysとスズキの次世代新交通システム
セミナー概要・登壇者
| タイトル | ユニコーンセッション「Design by Silicon Valley, Made by Japanの次世代新交通システム」 |
| 日時・会場 | 2026年10月7日 13:25〜14:10/コングレスクエア グラングリーン大阪 |
| 登壇者 | Nick Gibson氏(Glydways President, Asia-Pacific)、藤谷 旬生氏(スズキ株式会社 次世代事業本部 本部長)、松田 一敬氏(合同会社SARR) |
出典:Global Startup EXPO 2026 公式セッションページ
内容
セッションは2026年10月7日、大阪のコングレスクエア グラングリーン大阪で行われました。GlydwaysのNick Gibson氏とスズキの藤谷 旬生氏が、合同会社SARRの松田 一敬氏とともに、パネルディスカッションの形で語り合いました。
出発点は、大都市で深刻になっている渋滞と、公共交通の整備の遅れです。地下鉄やLRT(次世代型路面電車)は、建設費と採算が課題になり、なかなか実現しません。Glydwaysは、この課題に対して、AIを活用したPOD型の自動運転システムを考案しました。交通やまちづくりに関わる人、スタートアップと大企業の協業を考える人にとって、具体的な手がかりの多い内容でした。
【POINT①】専用の走行路を走る小型EVと、御堂筋線と同等レベルの輸送能力
Glydwaysの交通システムは、専用の走行路を走る小型の自動運転EVです。輸送能力は御堂筋線と同等レベルで、建設費も運用費用も従来の1/5です。個室の車両が利用者の呼び出しに応じて走るため、乗客は渋滞を避けて移動できます。
Nick Gibson氏は、自動運転の段階を次のように説明しました。既存の道路を走るロボタクシーは「AV 1.0」で、渋滞の影響を受けやすいという課題があります。そこでGlydwaysは、専用の走行路を走る仕組みを「AV 2.0」と名づけました。AVはAutonomous Vehicle(自動運転車)の略です。
走行路の造りにも工夫があります。乗降場所を本線から離して設けているため、ほかの車両が乗り降りしていても、本線の車両は止まらずに走り続けられます。
【POINT②】ソフトウェアはGlydways、車両開発・生産はスズキ、米国での建設は大林組
Glydwaysの強みは、多数の車両を安全に動かす管制ソフトウェアです。車両や走行路などのハードウェアは日本のパートナー企業が担い、車両の開発と生産はスズキが、米国での建設は大林組が受け持ちます。公式ページはこの体制を「Designed by Silicon Valley, made by Japan, constructed by Japan」と表しています。Nick Gibson氏は、量産は大企業の生産と品質管理の力が生きる領域だと語りました。
両社の出会いは2018年です。藤谷 旬生氏は、小型車を得意とするスズキの方針と、小型で美しいというGlydwaysの考え方が重なったことを、協業の決め手に挙げました。両社は5年かけて話し合いを重ね、出資と協業に進みました。現在、スズキは量産設計などの面でGlydwaysを支えています。
【POINT③】人とモノの輸送、自治体の収益、世界展開
このシステムは、人に加えてモノも運びます。公共交通は、これまで赤字を自治体が負担するのが一般的でした。セッションでは、それを自治体の収益につながる交通へ変えるという目標が掲げられました。京都や大阪の交通を変える可能性にも話が及びました。
導入先には、公共交通のほか、大学のキャンパスや空港が挙がりました。ドバイでは実証システムがすでに稼働中です。日本でも、国際空港や半導体工場の周辺で導入への関心が高まっています。Glydwaysは、アジア太平洋、欧州、アフリカなど世界での展開を目指しています。
【POINT④】スタートアップと大企業の対等なパートナーシップ
協業を進める鍵として、登壇者は、スタートアップのCEOと大企業のトップが対等に議論できる関係を挙げました。藤谷氏は、日本のものづくり技術は世界で通用すると語り、日本のスタートアップにも世界を目指してほしいと期待を寄せました。