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株式会社ナフィアス

株式会社ナフィアス「ナノファイバー」を開発

企業紹介|株式会社ナフィアスとは?

直径が約100ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)と細い、繊維の「ナノファイバー」。株式会社ナフィアスは、信州大学発の素材系ディープテック企業です。同社は、この繊維の不織布を使ったマスクやフィルター、レインウェアなどを製造・販売しています。

キーワード「ナノファイバー」

ナフィアスの「ナノファイバー」は、ポリマー(高分子)の溶液に約10キロボルトの高電圧をかけ、引き伸ばして製造する極細の繊維です。この製法は、一般に「エレクトロスピニング法」と呼ばれます。同社の素材「NafiaS」は、体積の80%が空気層です。

市場課題|高性能マスクの息のしにくさ

現状のメルトブローン不織布の課題

高性能マスクの息のしにくさ

高性能なマスクは、着けたときに息がしにくいという課題があるとされています。フィルターには、ポリプロピレン製のメルトブローン不織布が使われてきました。信州大学の資料は、この課題への対応として、ナノファイバー不織布の開発を紹介しています。

帯電への依存で性能が落ちる

メルトブローン不織布のフィルターは、帯電量が下がると性能も下がります。エレクトレット(繊維に電気を帯びさせる加工)の静電気で、微粒子を捕集するためです。この課題も、信州大学の資料に挙げられています。

他にも、声の通りにくさ、熱や湿気のこもり、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • メルトブローン不織布溶かした樹脂を熱風で細い繊維にして吹き付け、布状に積み重ねた不織布である。マスクやフィルターの素材に使われる。

株式会社ナフィアスの強み|「ナノファイバー」を開発

株式会社ナフィアスが「ナノファイバー」を開発

繊維を約100nmまで細くする

従来のポリプロピレン製メルトブローン不織布の例では、目付(1平方メートルあたりの重さ)が20グラム、厚さが0.2mmです。

同社の「NafiaS」は、エレクトロスピニング法で製造する、直径約100ナノメートルのナノファイバーです。この比較例の従来品に対し、繊維の直径は約10分の1、目付は20グラムから100分の1の0.2グラム、厚さは0.2mmから約400分の1の0.0005mmになります。体積の80%が空気層という、薄く軽い不織布です。この比較例では、従来品と同等のフィルター性能のまま、不織布を薄く軽くできるようになります。

洗浄後の効率維持

従来のメルトブローン不織布は、帯電を利用して微粒子を捕集します。

同社のフィルター製品「earthplus nano FILTER」は、信州セラミックスの抗菌・抗ウイルス材料とNafiaSを組み合わせた3層です。捕集効率(微粒子を捕まえる割合)は99%で、約0.1マイクロメートルの微粒子を遮断するとされています。信州大学の資料では、ナノファイバー不織布のフィルターは、エタノールで洗浄しても高い捕集効率を維持できると実証されています。ただし、設計は製品ごとに異なり、すべての製品での実証ではありません。洗浄後も効率を保てる設計を、生かせるようになります。

FrontJournalの解説
  • エレクトロスピニング法ポリマーの溶液に高電圧をかけ、静電気の反発で液を分裂させながら引き伸ばし、極細の繊維を製造する方法である。ナノファイバーの代表的な製法の1つである。

ナノファイバーの未来|マスクから衣料、研究へ

ナノファイバーが変える未来

マスクで息のしやすさを示す

同社のマスク「AIR M1」は、息の通しにくさを表す圧力損失が、20パスカル以下です。日本産業規格(JIS)の基準は、60パスカル以下とされています。AIR M1は、2022年5月30日に販売が始まりました。カケンテストセンター(繊維製品の試験機関)での試験では、粒子の捕集効率(PFE)が99%以上、ウイルスの捕集効率(VFE)が98%でした。

レインウェアのブランドを展開

同社は、ナノファイバーを使ったレインウェアのブランド「QURULIFABRIC」を展開しています。ブランドサイトは、2026年3月16日にグランドオープンしました。最初のプロジェクトは「Rain, reconsidered」です。共同開発の実績分野には、エアフィルターや自動車用フィルター、セパレータ、フェイシャルシート、衣料向けの通気防水メンブレンが挙がっています。

微粒子の直接捕捉を目指す

ナノファイバーのフィルターにポルフィリン系分子性ナノシート(ナノメートル級の厚さの薄い膜)を複合化すると、直径100ナノメートルの微粒子を直接捕捉できたとされています。この成果は、2025年5月に、東京大学生産技術研究所の石井和之教授、青山学院大学の長谷川美貴教授らの研究グループが発表し、学術誌『Materials Advances』に掲載されました。研究グループには、ナフィアスの渡邊圭代表取締役も加わっています。ナノファイバーフィルターの機能を高める、共同研究の成果です。

会社概要|株式会社ナフィアスの事業内容・設立背景

信州大学発ベンチャーの認定企業

株式会社ナフィアスは、信州大学の認定企業の一覧(2022年10月14日現在)に載っている、長野県上田市の企業です。設立は2015年8月で、一覧には設立日が8月5日と記載されています。経済産業省の大学発ベンチャーデータベース2026でも、関連大学は信州大学です。本社は、信州大学繊維学部内にあります。

事業と製品

事業は、高機能繊維素材の研究開発と、製造、販売です。公式サイトの製品一覧には、マスクやフィルター、フェイシャルシート、エレクトロスピニング装置などのカテゴリがあります。マスクの製品は、プリーツ型の「aerumask」、N95規格の「NafiaS-N95マスク」、「AIR M1」などです。信州大学の発表資料では、ナノファイバーマスクの研究開発は2007年に始まり、2015年から2018年には米国N95規格のマスクの研究開発と製品化が行われたとされています。

表彰と役職

渡邊圭代表取締役と大澤道取締役は、信州大学の金翼水教授、朱春紅准教授とともに、令和4年度の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。業績名は「高性能ナノファイバーマスクの開発」です。2025年5月の発表資料では、渡邊圭と大澤道は、信州大学繊維科学研究所の特任准教授を兼任しています。

会社情報

会社名株式会社ナフィアス(NafiaS Inc.)
所在地長野県上田市常田3丁目15番1号 信州大学繊維学部内
設立2015年8月
資本金269万6000円
事業高機能繊維素材の研究開発、製造、販売
技術領域ナノファイバー(エレクトロスピニング法)
連携信州大学(2022年10月14日現在の認定企業一覧に記載)
URLhttps://nafias.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

同社のNafiaSは、比較例の従来品に対し、繊維の直径を約10分の1、目付を100分の1、厚さを約400分の1にしながら、同等のフィルター性能とされる点が特徴です。素材そのものの細さを変えて、マスクの課題に向き合う姿勢といえます。ナノファイバーという素材から、複数の製品が生まれている点も、特徴といえます。

とくに注目したのは、マスクやフィルターに加えて、レインウェアのブランドや、共同研究によるフィルターの研究にも関わっている点です。公式サイトでは、事業は高機能繊維素材の研究開発と、製造、販売とされています。研究開発から製造、販売まで手がける取り組みを、見守りたいと思います。

FrontJournal編集部

出典:信州大学発ベンチャー認定企業一覧(PDF)、信州大学「令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」発表資料(PDF)、株式会社ナフィアス 公式サイト、共同通信PRワイヤー(AIR M1、2022年5月28日)、同社お知らせ(QURULIFABRIC、2026年3月16日)、研究成果のプレスリリース(2025年5月20日)

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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