ジェネセンス「高速DNAシーケンサ」を開発

株式会社ジェネセンス

ジェネセンス「高速DNAシーケンサ」を開発|研究領域=細菌のDNAを・高速で読み取る/強み=マイクロ流路で・増幅を高速化/将来性=現場で使える・検査を目指す

企業紹介|株式会社ジェネセンスとは?

細菌の遺伝子の配列を読み取り、菌種を短時間で特定する装置「高速DNAシーケンサ」。株式会社ジェネセンスは、その社会実装を目指す、ディープテック企業です。マイクロ流路で、遺伝子を増やす核酸増幅(PCR)を高速化し、細菌の同定を1時間以内に行う技術を開発しています。

キーワード「高速DNAシーケンサ」

「高速DNAシーケンサ」は、DNAの塩基配列(A・T・G・Cの並び)を短時間で読み取り、細菌の種類を特定する装置です。細菌が共通して持つ16S rRNA遺伝子の配列は、菌種ごとに少しずつ異なるため、読み取った配列から菌種が分かります。培養の結果を待たずに、遺伝子から菌種を調べられる点が特徴です。

市場課題|細菌の同定に残る、時間の壁

現状の細菌検査の課題|現状は、培養に数日かかり原因菌の特定が遅れる|培養は結果まで・数日かかる/PCRは菌種ごとに・試薬が必要

培養は結果まで数日かかる

細菌の同定で標準とされる培養法は、結果が出るまでに数日以上かかり、増殖の遅い結核菌では約1か月に及ぶこともあります。敗血症は診断後1時間以内の抗菌薬投与が有効とされ、2017年の世界では死者の約5人に1人が敗血症に関連するという推計も報告されています。結果を待つ間は、原因菌に合わせた治療を始めにくい状況が続くことが課題です。

PCRは菌種ごとの試薬が必要

迅速な核酸検査として広く知られるPCR法で菌種を特定するには、想定する菌種ごとに試薬を用意しなければなりません。PCR法は標的とする遺伝子の有無を調べる手法のため、不特定の細菌を現場で素早く同定する用途には、使いにくい方法です。

他にも、既存のDNAシーケンサは分析に6時間以上かかること、食品の製造現場で細菌検査を素早く行いにくいこと、医療の細菌検査でも結果待ちの時間が生じること、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 敗血症細菌やウイルスなどの感染をきっかけに、全身で過剰な反応が起こり、臓器の働きが低下する状態である。死亡率は約30%とされ、診断後1時間以内の適切な抗菌薬投与が有効とされる。

ジェネセンスの強み|「高速DNAシーケンサ」を開発

ジェネセンスが「高速DNAシーケンサ」を開発|今後は、マイクロ流路で迅速な同定が可能に|1時間以内に・菌種を同定/共通遺伝子で・菌種を特定

1時間以内に菌種を同定

培養法では、菌を増やす時間が必要になり、結果は数日後になります。

同社は、DNAを増やす核酸増幅の工程を、マイクロ流路で高速に行います。流路内に気泡が発生する問題が、この方式の最大の弱点でしたが、同社はこの問題を克服したと、公式サイトは説明しています。増幅の工程で蛍光検出に使う高額な部材が不要な点も、公式サイトが挙げる特徴です。既存のDNAシーケンサが6時間以上を要するのに対し、同社は公式サイトの比較表で1時間以内を示しています。原因菌を早く特定できれば、抗菌薬の選択を、早い段階で検討できるようになります。

共通遺伝子で菌種を特定

PCR法は標的の遺伝子ごとに試薬が必要で、不特定の菌種の判別には向きません。

同社は、細菌が共通して持つ16S rRNA遺伝子を増幅し、その塩基配列を読み取ります。菌種ごとに試薬を用意する必要はなく、既知の細菌の配列との違いが、菌種を決める手がかりです。真菌ではITS1領域、薬剤耐性菌では耐性遺伝子の配列を読むことで、公式サイトは、同じ方式で配列解析にも展開できるとしています。菌種ごとに試薬を用意する必要がなくなるため、不特定の細菌を調べる検査の準備を簡素にできるようになります。

FrontJournalの解説
  • 16S rRNA遺伝子細菌が共通して持つ遺伝子の1つである。配列が菌種ごとに少しずつ異なるため、読み取った配列を既知の配列と照らし合わせると、菌種を特定できる。

高速DNAシーケンサの未来|細菌検査を現場へ

迅速な細菌同定が変える未来|結果を待つ時間を縮め現場の判断を支える|気泡問題を・克服した方式/装置化と・試薬キット化/食品や医療へ・用途拡大を目指す

気泡問題を克服した方式

同社は公式サイトで、核酸増幅を流路内で行う際の最大の弱点だった気泡の問題を、克服したとしています。核酸増幅で蛍光検出などの高額な部材が不要な点も、公式サイトが挙げる特徴です。公式サイトの比較表では、培養法が結果まで数日かかるのに対し、同社の検出時間は1時間以内と示されています。装置は、製品化に向けた開発の段階です。

装置化と試薬キット化を計画

同社は今後、高速DNAシーケンサの製品化に向けた装置開発を進めます。活用場面を絞り込み、さまざまな企業やユーザーとの事業提携体制を構築する計画です。あわせて、試薬キットなどの開発と販売も計画しています。測定開始から結果表示まで40分程度で、敗血症などの感染症の原因菌を同定することが目標です。

食品や医療へ用途拡大を目指す

高速小型PCRの製品と技術は、食品、環境、農畜水産、産業、ヘルスケア・医療の分野へ広げることを目指しています。想定する用途は、食品衛生、院内感染制御、呼気検査、薬剤耐性の確認などです。同社は、真菌の検査や薬剤耐性遺伝子の解析にも展開できるとしています。感染症や食中毒の原因を現場で素早く確かめられる検査体制が整えば、対応の判断を早められます。

会社概要|ジェネセンスの事業内容・設立背景

産総研の技術の社会実装

同社は、産業技術総合研究所(産総研)で開発された高速DNAシーケンサ技術の、速やかな社会実装を目指して、2023年7月19日に設立されました。役員を務める2名は、産総研で長年にわたり、同社の中核であるマイクロ流路技術の開発に携わってきました。代表取締役は塩野谷通です。

細菌検査向けの事業内容

同社の事業内容は、医療および産業の研究・検査機器の製造と販売です。主に細菌検査を対象として、食品、農畜水産、医療などの産業で使える遺伝子検査システムの開発、製造、販売を行います。感染症のリスクが高まる社会で、安心と安全を支える社会インフラの構築を目指しています。

神戸の拠点と会社の規模

本社は兵庫県神戸市中央区に置かれています。資本金は2024年9月時点で420万円で、決算期は3月です。装置は現在、製品化に向けた開発の段階にあります。

会社情報

会社名株式会社ジェネセンス(GeneSens Inc.)
所在地兵庫県神戸市中央区
設立2023年7月
代表代表取締役 塩野谷 通
資本金420万円(2024年9月時点)
事業医療および産業の研究・検査機器の製造・販売
技術領域マイクロ流路による高速核酸増幅(PCR)。高速DNAシーケンサ
URLhttps://genesens.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

細菌検査は、結果を待つ時間が、そのまま治療や対応の開始を左右する要素です。培養を待たずに遺伝子から菌種を特定できれば、その待ち時間を大きく縮められます。敗血症では、診断後1時間以内の適切な抗菌薬投与が有効とされ、原因菌の特定の早さが重要な点です。

ジェネセンスの特徴は、核酸増幅を高速化するマイクロ流路と、配列を読み取って菌種を特定する方式を組み合わせている点です。増幅の速さと、菌種ごとに試薬を用意しなくてよい汎用性を、1つの装置で両立させようとしています。この両立が実現すれば、検査の対象を細菌の種類で絞り込む必要が薄れます。

製品化に向けた装置開発は、これから進む段階です。検査の現場に届くまでには、装置の製品化と、活用場面の見極めが欠かせません。食品の製造現場や医療の検査現場に、素早く菌種を確かめられる装置が届く日を期待します。現在は公式サイトの記述が主な情報であるため、今後の測定データの公開にも注目します。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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