かえる計測「3次元計測」を研究

かえる計測株式会社

かえる計測「3次元計測」を研究|研究領域=光と画像で・形や動きを測る/強み=試作用の部品と・ソフトウェアを供給/将来性=橋の点検や・製品検査へ応用

企業紹介|かえる計測株式会社とは?

製品の検査から橋の点検まで、形や動きを光と画像で数値にできる技術「3次元計測」。かえる計測株式会社は、その社会実装を目指す、福井大学発の光計測系ディープテック企業です。3次元形状計測装置や3次元変位計測装置の試作用の部品とソフトウェアを、大学等の研究機関やライセンス契約を結ぶ企業などへ提供しています。

キーワード「3次元計測」

「3次元計測」は、物体の形や動きを、光と画像から縦・横・奥行きの座標として求める技術です。同社が扱う方式の特徴は、縞模様の格子を使い、撮影した縞の位相(明暗の波のどの位置にあるかを表す値)の変化から、座標や変位(位置のずれ)を求める点にあります。製品検査や人体計測、橋の点検などへの応用が見込まれ、形や変位を数値として求めます。

市場課題|3次元計測に残る、レンズの歪みと足場の負担

現状の3次元計測の課題|現状は、レンズの歪みと足場の負担で計測が難しい|レンズの歪みが・形状の誤差に/橋の点検は・足場の設置が負担

レンズの歪みが形状の誤差に

レンズの歪曲収差(レンズが像をゆがめる性質)のような光学系の性質は、3次元形状計測の誤差の要因になります。格子の明るさの分布が理想の波形からずれる点も、数式でのモデル化が難しい誤差の要因です。製造業や医療、服飾など多くの分野が高速化と高精度化を求めるなか、両立が難しい状況が続きます。

橋の点検は足場の設置が負担

橋などのインフラ構造物の点検では、足場の設置などのコスト負担が課題です。微小変位の測定は、従来、人が現場に測定機器を取り付けるなどして行ってきたため、人の手が届く箇所でなければ作業しにくい面もあります。建設後50年以上の道路橋は、2023年3月の約37%から2030年3月に約54%へ増える見込みで、人材不足とコスト増大が社会課題とされています。

他にも、通行規制を伴う測定作業、橋の真下など機器を置きにくい場所での計測、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 歪曲収差レンズの収差の一つで、像の周辺部ほど直線が曲がって写る現象である。樽型や糸巻き型があり、ゆがみ方は光学系ごとに異なる。

かえる計測の強み|「3次元計測」を研究

かえる計測が「3次元計測」を研究|現在は、試作用の部品とソフトウェアを提供|対応表の参照で・3次元座標を取得/離れた位置から・橋の変位を測定

対応表の参照で3次元座標を取得

従来の多くの3次元形状計測は、校正で求めたカメラと物体の座標の関係式から座標を計算するため、誤差を減らそうとモデルを複雑にするほど計算時間が増えます。

代表の藤垣元治らが提案した「全空間テーブル化手法」は、カメラの画素(画像を構成する点)ごとに、投影した格子の位相と3次元座標の対応表を作成し、計測時は座標を計算せず表を参照する方式です。基準となる平らな板を平行移動して撮影し、画素ごとに独立して校正するため、レンズの歪曲収差の影響を受けにくい方式です。座標を計算する手順が表の参照に置き換わるため、座標を求める時間を短縮できます。同社は、位相解析や3次元計測の計算手順のソースコードを含むソフトウェアを供給し、試作を短期間で行えるようにしています。

離れた位置から橋の変位を測定

従来のセンサ等を使う変位測定は、測定機器の取り付けや配線の作業が必要で、機器を置きにくい場所では作業しにくい方式でした。

同社が試作を支援する3次元変位計測装置は、微小変位や微小な回転角(構造物の傾き)を、離れた位置からリアルタイムで測る装置です。格子画像の位相を解析する方式では、対象に貼った格子シートを離れた位置から撮影して変位を求め、測定機器は取り付けません。センサの取り付けや配線の作業が要らなくなり、橋の真下のようにアクセスしにくい場所でも変位を測れる点が利点です。同社は、変位計測の計算手順を記したソースコードを含むソフトウェアと、微調整機構付きのカメラ固定治具を供給し、試作を短期間で行えるようにしています。

FrontJournalの解説
  • 全空間テーブル化手法画素ごとの校正で、位相と3次元座標の対応表を作成する3次元形状計測の手法である。投影格子の波形が正弦波でなくても使え、形状計測装置の設計が簡単になる。

3次元計測の未来|小型化と高速化が広げる応用先

高速な3次元計測が変える未来|小型化と高速化で、安全な社会を目指す|小型ユニットで・リアルタイム計測/縞模様を明るくし・計測時間を短縮/安全で安心な・社会を目指す

小型ユニットでリアルタイム計測

ハンディ型のフルカラー3次元計測ユニットが試作され、リアルタイム計測が実現しています。このユニットは福井大学の光計測システム研究室が製作し、格子を投影するラインLEDデバイス(細長い帯状の光源)を用い、解析用のパソコン以外はユニット内に収まります。1000fps(1秒間に1000枚の撮影)で位相シフト(格子の位置をずらす撮影方法)を行うフルカラーのリアルタイム3次元計測装置も、開発可能な装置の例です。3次元形状計測は、製品検査や人体計測などへの応用が見込まれる研究テーマです。

縞模様を明るくし計測時間を短縮

福井大学の光計測システム研究室では、3次元計測装置に適したシリンドリカルレンズアレイ(円筒状のレンズを並べた光学部品)を製作できるようになりました。このレンズアレイを使うと、投影する縞模様が明るくなり、露光時間(撮影で光を受ける時間)を短縮できます。従来のロンキールーリング(縞模様を刻んだ格子板)に置き換えた場合の光量は、約2倍です。光量が増えると、計測時間の短縮、計測精度の向上、装置の小型化などが可能になります。

安全で安心な社会を目指す

同社は、新しい計測手法によって、住みやすくて安全・安心な社会を目指しています。インフラ構造物の変位計測は、遠隔・非接触のモニタリングで作業時間の短縮や通行規制の抑制が期待される分野です。同社は、部品とソフトウェアの供給で、試作を短期間で行えるようにしています。これまでできなかった計測ができるようになることも、同社が掲げる姿です。

会社概要|かえる計測の事業内容・設立背景

福井大学の光計測研究から設立

同社は、2022年2月2日に設立されました。代表取締役社長の藤垣元治は福井大学の教授で、2015年3月の着任後に光計測システム研究室を立ち上げました。研究室は、3次元形状計測や構造物の変位・ひずみ分布の計測を、高速化と高精度化する研究に取り組んでいます。同社は、この研究室で試作・開発した3次元計測装置や変位計測装置に関連する部品とソフトウェアを提供しています。

称号の授与と供給先の範囲

2022年3月24日に福井大学から「福井大学発ベンチャー」の称号が授与されました。称号は2022年4月1日から有効で、同社は同日に福井大学発ベンチャー認定企業となりました。供給先は当面の間、大学等の研究機関、ライセンス契約を結ぶ企業、福井大学の研究室と共同研究等を実施する企業です。

試作を支える供給とライセンス

同社は、ハードウェア、ソフトウェア、ライセンス、コンサルティング等で、試作を支えます。ハードウェアには、ラインLEDデバイスの格子投影装置やカメラ固定治具があり、格子パターン投影ユニットのLEDは約9mm×27mmです。ソフトウェアには、汎用画像計測ソフトウェアや、位相解析、3次元計測、変位計測などのアルゴリズム部分のソースがあります。

2024年10月1日にはライセンス方針を決め、コンソーシアム(複数の企業や機関が加わる共同体)の枠組みを設けました。ライセンスは、使う技術の数にかかわらず料率が同じで、コンソーシアムに加入すると大幅に減額され、複数の技術を組み合わせても、ひとつの契約で実施や評価ができます。コンサルティングは、光計測の普及・啓蒙活動のサポートも含みます。

会社情報

会社名かえる計測株式会社(Kaeru Keisoku Co., Ltd.)
所在地福井県福井市新田塚二丁目9番7号
設立2022年2月2日
代表代表取締役社長 藤垣 元治
資本金200万円
事業光計測に関するデバイス、部品、ソフトウェアの企画、開発、製造及び販売と技術コンサルタント等
技術領域3次元形状計測。3次元変位計測
連携福井大学(2022年3月24日に「福井大学発ベンチャー」の称号を授与)
URLhttps://kaeru-k.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

ものの形や動きを数値で測れると、検査や点検の判断に共通の物差しが生まれます。測定の条件がそろえば、担当者が変わっても同じ基準で結果を比べられます。3次元計測は、その物差しを製品の検査から橋の点検まで広げる技術です。

かえる計測の特徴は、装置の試作に要る部品とソフトウェア、ライセンス、コンサルティングを、まとめて提供する点です。部品とソフトウェアは、福井大学の光計測システム研究室で試作・開発した装置に関連するものです。計測装置を開発する側の手間を減らす役割は目立ちにくいものの、新しい計測手法が現場へ届くまでの時間を左右します。

供給先は当面、研究機関や契約企業などに限られますが、試作を重ねる研究者や企業が増えるほど、3次元計測が使える現場も広がります。試作の選択肢が増えることは、製品検査や構造物の点検の将来にも関わる変化です。新しい計測手法が現場に根づき、安全・安心な社会の土台になる日を期待しています。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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