リベロセラ「GPCR創薬」を研究

リベロセラ株式会社

リベロセラ「GPCR創薬」を研究

企業紹介|リベロセラ株式会社とは?

細胞の表面にある受容体を狙って、新しい薬を生み出す技術「GPCR創薬」。リベロセラ株式会社は、その社会実装を目指す、理化学研究所の研究者らの技術をもとに設立された創薬ベンチャーです。Gタンパク質共役受容体(GPCR)を標的とする抗体医薬などの医薬品候補を、製薬企業との導出や共同開発を通じて届けることを目指しています。

キーワード「GPCR創薬」

「GPCR創薬」は、細胞膜にある受容体のGPCRを標的に、新しい薬を生み出す創薬の手法です。特徴は、細胞の外からの信号を受け取る受容体に作用して、薬の効果を狙う点にあります。がんの免疫に関わるCCR8のような受容体も、標的の一つです。

市場課題|膜タンパク質を標的にした創薬の難しさ

現状の膜タンパク質創薬の課題

標的にしにくい膜タンパク質

GPCRをはじめとする膜タンパク質は、創薬の標的として有望と認識されてきました。しかし従来の方法では、細胞内で大量につくらせること(高発現)が難しく、創薬の標的にしにくい状況が続いてきました。この調製の難しさが、膜タンパク質創薬で標的にしにくい理由です。

他にも、細胞内での高発現、水に溶かす可溶化、精製、といった課題があるといわれています。

抗体を得るのが難しいGPCR

GPCRは、細胞膜を7回貫く構造をもつ膜タンパク質です。細胞の外に出ている部分が小さく、受容体どうしで似た部分も多いため、特定の働きだけに作用する抗体を得るのは著しく難しいと考えられてきました。2022年7月の共同発表でも、GPCRに対する抗体の取得は著しく困難と考えられてきたと説明されています。

FrontJournalの解説
  • 膜タンパク質細胞膜に埋め込まれたり、細胞膜を貫いたりしているタンパク質の総称である。細胞の内外の信号の受け渡しなどを担い、GPCRもその一種である。

リベロセラの強み|「GPCR創薬」を研究

リベロセラが「GPCR創薬」を研究

機能構造を保つ膜タンパク質調製

従来の方法では、膜タンパク質の高発現や可溶化、精製が難しいことが課題でした。

同社は、理化学研究所の横山茂之特別招聘研究員らが開発した「膜タンパク質調製技術」を活用しています。界面活性剤(水と油をなじませる物質)と脂質を共存させた無細胞タンパク質合成系では、合成した膜タンパク質に脂質と界面活性剤の混合ミセルが結合し、正しく折りたたまれた集合体ができる仕組みです。天然型の膜タンパク質を、熱安定化変異を入れずに、機能構造を保った膜タンパク・脂質複合体として高純度で調製できる点が特徴です。同社は、これで標的にしにくかった膜タンパク質を創薬研究に使えるようになるとしています。

非天然型アミノ酸を狙って導入

標的とするタンパク質には、合成されたあとに化学的な修飾(翻訳後修飾)を受けるものがあります。

同社は、標的タンパク質の狙った部位に、非天然型のアミノ酸を高効率で入れる技術を保有しています。この技術を応用すると、翻訳後修飾などに対応した標的タンパク質を、高純度で調製できます。調製したタンパク質は、機能構造を保った状態です。同社は、膜タンパク質の調製技術と合わせた創薬プラットフォームを、GPCRなどの膜タンパク質を標的とした抗体医薬の創薬研究に使っています。標的に合わせて部位を選べる点が、この技術の特徴です。

FrontJournalの解説
  • 無細胞タンパク質合成細胞そのものを使わず、細胞から取り出した合成に必要な成分を試験管内で働かせて、タンパク質をつくる方法である。

GPCR創薬の未来|抗体医薬とADCへの広がり

GPCR創薬が変える抗体医薬の未来

AMED採択でADCを開発

固形がんに高発現するGPCRを標的とした抗体・薬物複合体(ADC:抗体に薬物を結合させて、標的の細胞へ届ける医薬品)による新規がん治療薬の開発が、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬ベンチャーエコシステム強化事業に採択されました。採択は2025年3月で、リード認定VC(ベンチャーキャピタル)は東京大学協創プラットフォーム開発です。同社は、AMEDの支援を受けて、現在この研究開発に取り組んでいます。他の研究も並行しています。

抗CCR8抗体の研究を進める

Biocytogen(バイオサイトジェン)との共同研究で、腫瘍関連GPCRのCCR8に対する完全ヒト抗体を取得し、2022年7月に公表しています。この取り組みは、2021年1月22日付で結んだ戦略的共同研究契約に基づきます。CCR8は、腫瘍に入り込む抑制性T細胞に選択的に発現することが知られているGPCRです。2024年4月には、米国癌学会(AACR)の年次総会で、抗CCR8抗体のデータを発表すると公表しました。

導出と共同開発を目指す

抗体医薬などの医薬品候補を、製薬企業などへ導出(ライセンスアウト)するか、共同開発する事業が、同社の事業モデルの1つです。あわせて、製薬企業との共同研究の中で、膜タンパク質調製技術を提供する事業も掲げています。連携を希望する相手は、製薬企業やアカデミアなどです。実現すれば、標的にしにくかった膜タンパク質に向けた新薬候補を増やし、患者へ薬を届ける道が広がります。

会社概要|リベロセラの事業内容・設立背景

2018年に設立

リベロセラ株式会社は、2018年4月に設立され、東京都中央区日本橋堀留町に本社を置いています。創業科学者は、理化学研究所の横山茂之博士です。同氏らが開発した技術を、医薬品開発として社会実装することを目的に設立されました。2020年6月に菅家徹氏が代表取締役に就任し、2026年4月に奥村洋一氏が新たに代表取締役へ就任しました。

採択・連携

同社は、2018年7月にNEDOの研究開発型ベンチャー支援事業(NEDO-STS)に採択され、2022年7月に国立がん研究センター等のベンチャー支援プログラム「NCC Venture Incubation Program」の2022年度支援チームに選ばれました。2025年3月にはAMEDの創薬ベンチャーエコシステム強化事業に採択されています。共同研究では、Biocytogenと抗GPCR抗体を開発してきました。

複数回の資金調達を実施

同社は、2021年5月に追加出資ラウンドで総額5.4億円、同年8月にTaiho Ventures, LLCから約3億円の資金調達を実施しました。2024年8月には、既存投資家のTaiho Ventures、MP Healthcare Venture Management、東京大学協創プラットフォーム開発の3社を引受先とする総額7.2億円の調達に合意しています。使途は、医薬品候補の検証と、非臨床開発から初期臨床開発までの体制の充実です。

会社情報

会社名リベロセラ株式会社
所在地東京都中央区日本橋堀留町1丁目9番10号 日本橋ライフサイエンスビルディング7階、8階
設立2018年4月3日
代表代表取締役 奥村洋一(2026年4月1日就任)
資本金1,000万円(2025年4月1日時点)
調達2021年5月 総額5.4億円(追加出資ラウンド)。2021年8月 Taiho Ventures, LLCから約3億円。2024年8月 Taiho Ventures、MP Healthcare Venture Management、東京大学協創プラットフォーム開発から総額7.2億円(合意)
事業GPCRを中心とした膜タンパク質を標的とする創薬及び関連サービスの提供
技術領域無細胞膜タンパク質調製技術、非天然型アミノ酸導入技術
連携技術導入元(実施許諾):理化学研究所。共同研究:Biocytogen Pharmaceuticals(Beijing)
採択NEDO 研究開発型ベンチャー支援事業(2018年7月)、NCC Venture Incubation Program 2022年度支援チーム(2022年7月)、AMED 創薬ベンチャーエコシステム強化事業(2025年3月)
URLhttps://www.liberothera.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

細胞の表面にあるGPCRは、創薬の標的として有望とされながら、扱いにくさが壁になってきました。リベロセラの取り組みは、膜タンパク質を機能構造を保ったまま高純度で調製する技術によって、その壁を研究の入り口から下げようとする発想といえます。調製の技術を創薬に結び付ける点が印象的です。

パイプラインは研究開発の途中にあり、抗体やADCが医薬品として届くまでには、非臨床から臨床までの工程が続きます。導出や共同開発に向けた提携がどう広がるのか、今後の展開を見守りたい取り組みです。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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