AGREEBIT「AIファシリテーション」を開発

AGREEBIT株式会社(アグリービット)

AGREEBIT「AIファシリテーション」を開発

企業紹介|AGREEBIT株式会社とは?

大人数の意見を整理し、合意形成(みんなが納得できる結論をまとめること)を支える技術である「AIファシリテーション」。AGREEBIT株式会社は、その社会実装を進める、京都大学・名古屋工業大学発のAI系ディープテック企業です。AIが議論の進行役を務めるオンライン議論の基盤「D-Agree」を、自治体や学校、企業へ提供しています。

キーワード「AIファシリテーション」

「AIファシリテーション」は、AIが議論の進行役(ファシリテーター)を務め、参加者の発言を促す技術です。特徴は、発言をアイデアや課題などに自動で構造化し、議論の全体像が一目で分かる点です。自治体の住民参加や学校の授業、会議の場で、大人数の意見を集めて整理できます。

市場課題|大人数のオンライン議論が抱える、整理と安全の壁

現状の大人数議論の課題

大人数の議論は整理が難しい

オンライン上の大人数議論では、投稿が増えるほど、どの意見が何について述べたものかを把握しにくくなります。議論の規模が大きくなるほど、人間のファシリテーターが全体を見渡して進めることも難しくなるとされています。論点が整理されないままでは、意見が結論に結びつかず、活かしにくい状態です。

炎上の懸念で意見が出にくい

不特定多数が参加する議論では、不適切な発言や炎上(批判や不適切な投稿が集中すること)への懸念が、意見募集の壁になります。荒れた議論になるおそれがあれば、運営側は炎上対応のため発言を常に監視する必要があり、広く意見を募ることに慎重になりがちです。その結果、意見を募る範囲が限られ、議論の土台となる意見の幅が狭まります。

他にも、議論の途中経過を参加者に分かりやすく共有すること、議論の過程を記録として残すこと、匿名で意見を出しやすい環境を整えること、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • ファシリテーター会議や議論が円滑に進むように、発言を促して論点を整理する進行役である。参加者の意見を引き出し、議論を結論へ導く役割を担う。

AGREEBITの強み|「AIファシリテーション」を開発

AGREEBITが「AIファシリテーション」を開発

AI進行役で議論を活性化

人間の進行役だけでは、大人数の発言を整理しながら議論を進めることが難しくなります。

同社の「D-Agree」は、AIが進行役を務めるオンライン議論のプラットフォームです。AIが参加者の発言を読み取り、意見の活性化や議論の深掘りを促す投稿を自動で行います。発言はアイデアや課題、問題提起などの種類に自動で分けられ、IBIS(議論の要素を関係づけて整理する方式)の関係図で可視化される仕組みです。オンライン上で議論できるため、参加者は場所や時間を合わせずに議論へ加われます。AIが投稿の整理を担うので、人間の進行役の負担が減り、大人数の意見を一つの議論にまとめやすくなります。

炎上抑制と匿名参加を両立

誰でも発言できる場では、不適切な発言への対応に、運営側の人手がかかりやすくなります。

「D-Agree」には、不適切な発言や炎上を抑えるフィルターが備わっており、使うかどうかを切り替えられます。整理された発言には賛成・反対の投票ができ、賛否の票数から、合意の度合いを読み取れます。支持を集めた意見は、後から投票結果で確認できる仕組みです。フィルターを使えば、運営側は発言の監視にかける手間を抑えられ、広く意見を募ることができます。利用の前には、30日間の体験版で機能を確かめることができます。

FrontJournalの解説
  • IBIS議論を論点・アイデア・賛成・反対といった要素に分け、それらの関係を線でつないで整理する方式である。Issue-Based Information Systemの略である。

AIファシリテーションの未来|自治体から市場調査までの広がり

大規模な合意形成が変える未来

自治体と学校で活用

「D-Agree」は、自治体の住民参加の場や学校の授業で、すでに使われています。2022年10月19日から11月18日には、名古屋市が「どんなまちにしたい?自由に話そう、なごやのミライ」をテーマにオンラインディスカッションを実施しました。2025年6月13日までの港区のオンラインディスカッションでも、新たな総合計画「MINATOビジョン」の策定に向けた意見募集に「D-Agree」が使われています。2021年10月27日から11月12日には、愛知県立春日井商業高校の3年生が、課題研究の授業で春日井市の魅力を議論しました。

AIペルソナで市場調査へ

2026年6月、AGREEBITは、リサーチサービス「D-Persona」を正式にリリースしました。質問の相手は、日本人10万人規模のAIペルソナ(AIが再現する想定上の生活者像)で、年代・性別・職業・居住地などで絞り込める設計です。質問の入力から集計・分析までは、最短1分とされています。企業の商品開発や調査では、仮説を素早く試せるようになります。

大規模な合意形成を目指す

「D-Agree」は、インターネット上での大規模な意見集約と合意形成を目指しています。発言が構造として記録されるため、どの意見が賛成や反対を集めたかを、後から確認できます。想定される活用例は、大規模な意見収集と、会議の活性化・効率化です。発言が構造として残るため、住民や従業員の声を、意思決定の材料として整理しやすくなります。

会社概要|AGREEBITの事業内容・設立背景

大学の研究を事業化

AGREEBIT株式会社は、2019年3月5日に設立されました。京都大学・名古屋工業大学発のスタートアップで、「D-Agree」は伊藤孝行氏が開発者を務めています。伊藤氏は取締役CTOを務め、京都大学大学院情報学研究科の教授と、名古屋工業大学大学院の客員教授を兼ねています。代表取締役CEOは桑原英人氏です。

選定と受賞の実績

地域版のスタートアップ支援プログラム「J-Startup CENTRAL」に選定されています。ほかに、内閣府の「グローバルアクセラレーションプログラム」に選ばれ、「The JSSA MeetUp」のアクセラ部門で最優秀賞を受賞しました。2021年には自治体や学校での実証が始まっています。

製品とビジネスモデル

事業の中心は、AIによる議論支援のSaaS(インターネット経由で使うソフトウェア)「D-Agree」です。体験版は30日間です。ほかに、AIペルソナを使うリサーチの「D-Persona」と、AIが音声で個別インタビューを行う「d-interview」を提供しています。

会社情報

会社名AGREEBIT株式会社(AGREEBIT Inc.)
所在地愛知県名古屋市西区那古野2丁目14番1号
設立2019年3月5日
代表桑原 英人(代表取締役CEO)
事業AI議論支援SaaS「D-Agree」。AIペルソナリサーチ「D-Persona」。AI音声インタビュー「d-interview」
技術領域AIファシリテーション。議論の構造化(IBIS)
連携京都大学、名古屋工業大学
採択J-Startup CENTRAL。内閣府グローバルアクセラレーションプログラム
URLhttps://www.agreebit.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

オンライン上で大人数が話し合うとき、意見をどう整理し、どう合意へ近づけるかは、自治体や企業に共通する課題です。AGREEBIT株式会社の「D-Agree」は、AIが進行役を務めることで、この課題に取り組むサービスです。特徴は、単なる意見の収集でなく、議論の構造と合意の度合いまで見える形にする点にあります。

自治体や学校での実証を重ね、AIペルソナを使った調査へ領域を広げた点も特徴です。大学の研究から生まれた議論支援の技術が、住民や従業員の声を意思決定へ届ける仕組みになることを期待しています。今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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