市場課題|患者ごとに作る細胞医薬品の制約

患者ごとの製造で投与が遅れる
細胞医薬品の多くは患者本人の細胞を原料とするため、採取から投与までに時間と費用がかかります。患者ごとに製造ラインを立て、品質を確かめる工程を一人分ずつ繰り返すからです。病状の進行が速い患者ほど、製造を待つあいだに投与の機会を逃しやすくなります。
固形がんは免疫細胞が届きにくい
血液のがんで成果を上げてきた細胞医薬品も、胃や膵臓などの固形がんでは適応が限られ、効果が現れにくいとされています。固形がんは塊を形成し、周囲を線維や免疫を抑える物質で覆うため、投与した細胞が腫瘍の内部まで入り込みにくいからです。そのため、腫瘍へたどり着く力と、内部で働き続ける力の両方を備えた細胞が求められています。
他にも、採取時の体調に左右される細胞の品質、遺伝子改変に伴う設備と規制対応の負担、製造に失敗したときの投与機会の逸失、といった課題があるといわれています。
- 細胞医薬品生きた細胞そのものを有効成分とする医薬品。化学合成した低分子薬と異なり、原料の採取から培養、品質確認までを製造工程に含む。
- NK細胞生まれつき備わった免疫の一種で、異物やがん細胞を見つけて直接攻撃する細胞。自然に殺す細胞を意味する Natural Killer の頭文字からNKと呼ぶ。
- 固形がん胃や膵臓、肺などの臓器で塊をつくるがんの総称。血液のがんと違い、薬剤や免疫細胞が塊の内部まで到達しにくいという特徴を持つ。


