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株式会社リタニアルバイオサイエンス

リタニアルバイオサイエンス「ポストバイオティクス」を開発

企業紹介|株式会社リタニアルバイオサイエンスとは?

生きた菌(生菌)ではなく、死んだ菌(死菌)とその成分を素材に使う「ポストバイオティクス」。株式会社リタニアルバイオサイエンスは、その社会実装を目指す、神戸大学発のバイオ・ヘルスケア系ディープテック企業です。同社は、土壌由来の微生物と乳酸菌・納豆菌・酵母を同時に培養した発酵素材を、食品や飼料の原料として供給しています。

キーワード「ポストバイオティクス」

「ポストバイオティクス」は、生きていない微生物やその成分を素材に使い、健康上の利益を狙う考え方です。2021年にISAPP(国際プロバイオティクス・プレバイオティクス科学協会)が、定義を合意声明として示しました。同社は、自社の発酵産物(死菌とその代謝産物を含む)を、この区分の素材と位置づけています。

市場課題|生菌を使う素材は管理が難しい

現状の生菌の課題

生菌は管理が難しい

生菌は、温度や湿度、酸素濃度の管理に高い技術を要すると、同社は公式サイトで説明しています。腸内環境を整える素材では、乳酸菌などの生菌を摂る「プロバイオティクス」(生きた菌を摂る考え方)が長く主流でした。一方、食品や飼料に使うときは、保管の条件が増えます。

生菌は賞味期限や安定性に制約

公式サイトによると、生菌を使う素材は賞味期限や安定性の確保が課題になる一方、死菌(加熱などで増殖できなくした菌)は品質の再現性や保存安定性に優れます。そのため、生きていない微生物を使う素材は、機能性食品の分野で応用が広がっていると説明されています。LBS(同社の素材の呼称)は、生菌ではなく死菌と発酵産物を素材にしたものです。

他にも、品質の再現性、保管条件の管理、使用期限の管理、といった課題があるといわれています。

出典:リタニアルバイオサイエンス「新世代バイオジェニック」

FrontJournalの解説
  • ポストバイオティクス不活化した微生物(加熱などで増殖できなくした微生物)やその成分を素材に使い、摂取する人や動物の健康上の利益を狙う考え方である。2021年に国際的な定義が示された。

リタニアルバイオサイエンスの強み|「ポストバイオティクス」素材を開発

リタニアルバイオサイエンスが「ポストバイオティクス」を開発

共生発酵で多様な成分を作る

乳酸菌や酵母を単独で発酵させる方法では、得られる成分が菌の種類に限られます。

同社は、土壌由来微生物(SBO)に乳酸菌・納豆菌・酵母などを組み合わせ、米ぬかを培地(栄養源)にして同時に培養する共生発酵を行います。SBOは、自然環境に適応してきた土壌由来の微生物です。複数の菌が発酵する過程で、酵素や代謝物が作用し合い、単独の発酵では得にくい複合的な成分が生まれるとされています。できた素材は、生菌ではなく死菌と発酵で生じた代謝産物(菌の産物)を含む「LBS」です。生きた菌を管理する手間が少ないため、食品や飼料のメーカーは、原料として検討できるようになります。

加熱後も保たれる性質

発酵素材は、180℃で10分間の加熱後も、免疫活性が保たれたとされています。

神戸大学の試験では、マウスの脾細胞(免疫に関わる細胞)で、LBS液(LBSカルチャーの培養液)の免疫活性(免疫細胞を働かせる力)が、180℃・10分の加熱後も保たれました。200℃では低下したものの、公式資料は、コントロールと比べて活性が認められたとしています。DPPH法(抗酸化力を測る試験管内の方法)では、LBS液は米ぬか培地の3.7倍のラジカル(不安定な分子)捕捉活性を示しました。食品での効果は別の確認が要りますが、加熱工程のある食品でも、素材の使い道を検討できるようになります。

FrontJournalの解説
  • SBO土壌から分離された微生物の総称である。同社の説明では、環境に適応してきた性質をもつ。同社の共生発酵では、発酵の土台になる。

ポストバイオティクスの未来|用途の拡大へ

発酵素材のポストバイオティクスが変える未来

神戸大学発ベンチャーに認定

同社は2021年11月に、神戸大学から「神戸大学発ベンチャー」に認定されました。共同研究先は神戸大学など。耐熱性試験や抗酸化試験の結果も公開済みです。大学との連携が、素材の性質を試験で繰り返し確かめる土台になり得ます。

培養設備を増設

設立の2004年から13年後の2017年11月に、加古川研究所の共生培養設備が増設されました。2024年3月には、同研究所にベンチ規模の共生培養設備が導入されました。2025年4月は、製造・加工業としての食品衛生責任者(加古川市)取得で、同社の沿革に記載があります。研究から製造まで、体制は段階的に広がっています。

用途の拡大を目指す

2021年の認定を機に、同社は免疫賦活剤の普及(免疫の働きを高める素材を広めること)を進める方針です。展開先は、機能性食品、ペット関連製品、畜産・養殖向け飼料、化粧品原料です。2020年10月には、鶴見大学が口臭の減少効果を調べた試験が、報道で紹介されました。兵庫県立農林水産技術総合センターの淡路農業技術センターが、牛の乳質改善や乳房炎(乳腺の炎症)の予防に関する成果を示した報告も、公式サイトで紹介されています。こうした検証を一つずつ重ねながら、食品や飼料など複数の分野での用途の拡大を目指します。

会社概要|リタニアルバイオサイエンスの事業内容・設立背景

共生菌の発見と技術の確立

株式会社リタニアルバイオサイエンスは、2021年に神戸大学発ベンチャーの認定を受けた企業です。設立前の1990年に、LBS共生菌(同社が見いだした、土壌由来の微生物と乳酸菌・納豆菌・酵母の組み合わせ)を発見し、共生培養による発酵物の製造技術を確立したとしています。代表取締役は栂瀬英夫氏、技術顧問は児玉洋氏です。本社は兵庫県加古川市です。

認定・許認可

食品製造業として神戸市保健所の許認可を受けています。2008年8月には、飼料安全法に基づく飼料製造の認可を農林水産省から受けました。食品と飼料の両分野の許認可を持つことで、原料を食品向けにも飼料向けにも供給できます。2024年4月には事業継続力強化計画の認定を取得しました。事業継続力強化計画は、災害などの緊急時にも事業を続けるための取り組みを、国が認定する制度です。

事業と製品

事業は、LBS共生発酵物(LBS共生菌を共生培養して作る発酵物)の研究開発と、原料の製造販売です。原料は、乳酸菌・納豆菌・2種の酵母による「LBSカルチャー」と、乳酸菌・2種の酵母による「LBSピサラ」の2種で、推奨摂取量は1日100mg、賞味期限は製造日から3年間です。

会社情報

会社名株式会社リタニアルバイオサイエンス(Litanial Bio Science Co.,Ltd.)
所在地兵庫県加古川市別府町新野辺北町2-26
設立2004年
代表代表取締役 栂瀬英夫。技術顧問 児玉洋
事業LBS共生発酵物の研究開発、製造販売。原料「LBSカルチャー」「LBSピサラ」
技術領域土壌由来微生物と米ぬかによる共生発酵(ポストバイオティクス素材)
連携神戸大学
採択神戸大学発ベンチャー認定(2021年11月)。事業継続力強化計画認定(2024年4月)
URLhttps://litanial.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

生菌ではなく、発酵で生まれた成分と死菌を素材にする発想は、加工や保存の面で扱いやすい点が特徴です。土壌から選んだ菌を米ぬかで同時に培養する工程は、設立前の1990年に確立されたとされています。長い年月をかけて、原料の形に仕上げてきた取り組みといえます。

とくに注目したのは、加熱後の免疫活性や抗酸化の性質を試験で確かめている点です。用途ごとの根拠がどこまで積み上がるかを、見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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