2026.10.04 │ 東北大学・NIMSほか │ 元発表:2026.10.02

東北大学ら、金属材料の熱処理から評価までを全自動化

ニュース紹介

「構造用金属材料の実験を一気通貫で自動化 ―熱処理から構造・力学特性評価まで、AI自律探索に道―」

東北大学金属材料研究所の謝玉麟助教、関田さやか学術研究員、宮本吾郎教授、物質・材料研究機構(NIMS)の田村亮グループリーダー、株式会社LaboRoboの稲川雅也代表取締役らの研究チームは、高周波誘導加熱炉、X線回折装置、微小衝撃試験機をロボットアームで統合し、バルク金属試料の熱処理・構造解析・力学特性評価を連続して行う自動実験システムを開発しました。

従来の人による実験に比べ10倍以上の速度で一連の処理・評価を行い、同等の精度で力学特性を評価できます。システムの小型化も実現しました。今後、次の条件を提案するAIと組み合わせることで、革新的な構造用金属材料の自動自律探索への発展が期待されます。

成果は2026年9月18日に、総合科学誌「Science and Technology of Advanced Materials: Methods」にオンライン掲載されました。

出典:東北大学 2026年10月2日 プレスリリース
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/press20261002-03-AI.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

鉄鋼のような金属材料は、同じ成分でも熱処理の温度や時間で内部の構造が変わり、強さや粘り強さも大きく変わります。最適な条件を見つけるには、膨大な組み合わせを試さなければなりません。

薄膜や粉末と違い、厚みのあるバルク金属は試料の扱いに大掛かりな装置が要るため、自動実験が難しく、世界的にも遅れているとされます。

①炉・解析・試験をロボットアームでつなぐ

研究チームは、熱処理炉、X線回折装置、微小衝撃試験機の3つをロボットアームでつなぎました。試料は40×4×1.5mmの板状で、熱処理から構造の解析、衝撃試験までを人の手を介さずに続けて行います。

今回の研究では、炉のPID制御(温度を目標に近づける制御)を最適化しました。将来は結果を見て次の条件を決める閉ループの自律探索に広げるとしています。

②人の実験より10倍以上速く、精度は同等

評価の結果、一連の処理と評価は人が行う場合の10倍以上の速度で、力学特性は同等の精度で測れました。システムが小さくなったことも成果に挙げています。

熱処理・構造・特性のデータを高い効率でそろえられることが、AIが条件を提案して探索するための土台になります。

編集部からひとこと

今回は自動実験の仕組みづくりが中心で、AIによる自律探索そのものはこれからの課題です。次条件提案AIとつないだとき、新しい構造用金属材料の発見にどこまで近づくかに注目します。

FrontJournal編集部

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