テイクプラス「竹プラスチック」を研究|過熱水蒸気で竹を短い繊維に変える工程を描いたイラスト

合同会社テイクプラス

テイクプラス「竹プラスチック」を研究|研究領域=竹の繊維を/樹脂に混ぜる/強み=過熱水蒸気で/繊維と竹酢液/将来性=建材や家電の/部品へ広がる

企業紹介|合同会社テイクプラスとは?

手入れの止まった竹林の竹を工業材料に変える技術として、注目を集める「竹プラスチック」。合同会社テイクプラスは、その社会実装を目指す、九州工業大学発の素材系ディープテック企業です。竹の短い繊維を混ぜた樹脂材料と、同じ工程で生まれる竹酢液(竹を加熱したときに出る液体)を、成形メーカーや農業の現場へ提供しています。

キーワード「竹プラスチック」

「竹プラスチック」は、竹を細かくほぐした繊維をプラスチックに練り込んだ複合材料です。従来は竹の繊維を長いまま使うため、成形の自由度が下がる難点がありました。竹プラスチックは繊維を短くそろえることで、射出成形や押出成形といった一般的な加工機にそのままかけられます。

市場課題|手入れの止まった竹林は広がる一方で、竹は工業材料にしにくい

現状の竹の利用の課題|現状は、竹の需要が減り竹林の手入れが止まる|竹林が広がり/森林の働きが低下/竹は硬く/繊維化に手間と費用

竹林が広がり森林の働きが低下

竹材の需要が減って手入れの止まった竹林が広がり、森林の働きが弱まる恐れがあります。林野庁の資料では、国内の竹林面積は平成24(2012)年時点で約16万ヘクタール、竹林と竹が25%以上入り込んだ森林を合わせると約42万ヘクタールの推計です。竹は地下茎(地中を横に伸びる茎)で周囲の樹林へ入り込み、森林の水源涵養(雨水をためる働き)や土砂災害を防ぐ機能を損なうと懸念されます。

竹は硬く繊維化に手間と費用

竹を工業材料に変えるには粉砕に手間がかかり、費用がかさみます。従来は高圧の水蒸気で組織を破裂させる爆砕法や、薬品で成分を溶かす化学処理が使われてきました。どちらも乾燥や薬品の後処理といった後工程を伴い、取り出した繊維も長いため成形の自由度が限られます。

他にも、高齢化する伐採の担い手の不足、山から運び出すコストの高さ竹材の輸入の増加、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 爆砕法高圧の水蒸気で植物を加熱したのち、圧力を一気に下げて組織を破裂させ、繊維をほぐす方法である。耐圧容器が要り、処理は一回ごとの区切りになるため、大量処理には向きにくい。

テイクプラスの強み|「竹プラスチック」を開発

テイクプラスが「竹プラスチック」を開発|今後は、過熱水蒸気で丸ごと利用が可能に|繊維と竹酢液を/同時に取り出す/短い繊維で/一般の成形機へ

竹を丸ごと使い切る工程設計

竹の主な使い道だった竹炭づくりには、難点があります。乾留(空気を断って加熱する方法)で副生する竹酢液は発がん性のベンゾ[a]ピレン類を含み、数か月から1年ほど静置して沈殿を待つ必要があります。

テイクプラスは、常圧の過熱水蒸気(大気圧のまま100℃を超えて加熱した水蒸気)で竹を処理し、繊維と竹酢液を同時に取り出します。基になるのは、竹を180〜320℃で加熱したのち解繊(繊維をほぐす処理)する方法です。この温度帯では竹のヘミセルロース(細胞壁をつなぐ多糖)が先に分解し、竹は衝撃粉砕とふるい分けだけで粉末になります。副生する竹酢液は180〜210℃でベンゾ[a]ピレン類が検出限界を下回るため、沈殿を待つ数か月から1年の静置が要らなくなります。

短い繊維で一般の成形機に対応

繊維強化プラスチックは、長い繊維をそのまま残して強度を高めます。繊維が長いぶん、型に溶けた樹脂を流し込む射出成形にはかけにくく、作れる形が限られます。

テイクプラスの竹粉末の特徴は、粒の大きさが150マイクロメートル以下にそろい、短い繊維を多く含むことです。ポリプロピレンと二軸の押出機で混ぜると、この短い繊維が強化材として働き、樹脂単体と比べて引張強度と曲げ強度が高まります。変形しにくさと熱に対する寸法の安定をさらに高めるのが、樹脂と繊維の境目をなじませる無水マレイン酸変性ポリプロピレンの少量添加です。竹の粉末は帯電防止の働きを持ち、難燃剤と併用できるため、静電気と燃えにくさの両方が要る部品を、竹を混ぜた材料で作れるようになります。

FrontJournalの解説
  • 過熱水蒸気沸点を超えて加熱し、水滴を含まない状態にした水蒸気である。大気圧のまま高温にできるので耐圧容器が要らず、酸素の少ない雰囲気で材料を内部まで均一に加熱できる点が特徴である。

竹プラスチックの未来|建材から家電・農業への応用

竹プラスチックが変える未来|建材から家電、そして農業へ用途が広がる|屋外の建材や/物流の容器/家電やIT機器の/外装部品へ/竹林と地域産業の/循環を目指す

屋外の建材や物流の容器

テイクプラスの竹プラスチックは、すでに屋外で使う製品に採用されています。竹繊維を混ぜた材料の用途は、たけのこを運ぶコンテナ、道路側溝の蓋、デッキ材などです。水を吸いにくく寸法が変わりにくいため、雨や日差しにさらされる場所でも形を保ちます。石油由来のプラスチックの使用量を抑えながら、従来と同じ成形機で量産できます。

家電やIT機器の外装部品

短期に広がる用途は、家電やIT機器の外装です。これらの部品には、複雑な形に成形できることに加えて、燃えにくさと帯電防止の両方が求められます。竹の粉末を混ぜた材料なら、難燃剤の種類と量を調整することでUL94規格(米国の材料の燃えにくさの規格)のV-2からV-0に相当する水準まで高められます。静電気を帯びにくく、ほこりが付きにくい点も利点です。

竹林と地域産業の循環を目指す

テイクプラスは、竹を軸にした地域の資源循環を目指しています。竹を運び、繊維と竹酢液に分け、材料と農業資材として地域で使い切る流れができれば、竹林の手入れが続く理由が生まれます。竹酢液には黄色ブドウ球菌やセレウス菌の増殖を抑える働きが確認されており、農業や畜産の現場でも使える資材です。竹を厄介者から資源へと変える取り組みが進めば、里山の景観と防災の機能を保ちながら、地域に新しい仕事が生まれます。

会社概要|合同会社テイクプラスの事業内容・設立背景

研究成果を事業化するため設立

合同会社テイクプラスは、九州工業大学の研究成果を社会で使うために、2014年12月17日に設立されました。母体は、科学技術振興機構(JST)の大学発新産業創出プログラム「START」の課題「未利用バイオマスからの高性能コンポジット開発プロジェクト」です。研究代表者は、九州工業大学大学院生命体工学研究科の西田治男氏です。本社は北九州市八幡西区にあり、東京事務所は杉並区にあります。代表社員を務めるのは三浦重信氏です。

採択・連携

技術の基盤は、九州工業大学が出願した特許第5656167号「竹繊維およびその製造方法ならびに竹繊維を用いた複合材の製造方法」です。発明者は西田治男氏、永田浩一氏、白井義人氏で、出願は2010年8月13日です。福岡県八女市には、市と九州工業大学、地元の企業が連携する「八女バンブーバレー実証研究センター」があります。同センターには竹の過熱水蒸気処理施設と粉砕・分級の装置があり、技術移転の拠点です。九州工業大学は、テイクプラスに法人社員(合同会社に出資して社員となる法人)として加わっています。

ライセンスを軸にした事業構造

事業の柱は、関連特許のライセンス提供と技術指導、そしてコンサルティングです。竹粉、コンポジット、成形品、竹酢液といった製品の企画開発と販売、輸出も手がけています。自社で大規模な工場を持たず、成形メーカーや自治体と組んで材料と工程を広げる形をとっています。

会社情報

会社名合同会社テイクプラス(TAKE-PLAS LLC)
所在地福岡県北九州市八幡西区大浦1-9-13。東京事務所:東京都杉並区高井戸東3-9-10-347
設立2014年12月17日
代表代表社員:三浦 重信。技術基点:西田 治男(九州工業大学大学院生命体工学研究科)
資本金800万円。法人番号 2290803002385
事業関連特許のライセンシング、技術指導、コンサルティング。竹粉、コンポジット、成形品、竹酢液などの企画開発、市場開発、販売、輸出
技術領域常圧の過熱水蒸気による竹短繊維の製造と竹プラスチックコンポジット。同じ工程で副生する竹酢液の製造・利用。特許第5656167号「竹繊維およびその製造方法ならびに竹繊維を用いた複合材の製造方法」(出願2010年8月13日)
連携九州工業大学(法人社員)。八女バンブーバレー実証研究センター(福岡県八女市)
採択科学技術振興機構 大学発新産業創出プログラム「START」(未利用バイオマスからの高性能コンポジット開発プロジェクト/研究代表者:西田 治男)
URLhttps://takechika.com/

編集後記|FrontJournal編集部より

手に余るとされてきた竹を、水蒸気の温度だけで扱いやすい材料に変える。この発想の潔さに引き込まれました。薬品も高圧の容器も使わず、温度帯を選ぶことで硬い竹がほぐれていく点が印象に残ります。

面白いのは、同じ工程から材料と液体の両方が同時に生まれるところです。素材を供給する会社ではなく、竹の処理工程そのものを設計する会社だと受け取ると、建材から農業資材までつながる広がりが見えてきます。この工程設計が、山の手入れと工場の生産を結んでいます。

山に積まれた竹が、暮らしの道具として戻ってくる日を楽しみに待ちたいと思います。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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