Innovare「天然ゴムの実バイオ燃料」を研究

Innovare株式会社(イノベア)

Innovare「天然ゴムの実バイオ燃料」を研究|技術領域=農園に残る実を・燃料の原料にする/強み=食料と競合しない・実を原料に活用/将来性=日欧米の顧客へ・供給を目指す

企業紹介|Innovare株式会社とは?

ゴム農園に残る実を燃料に変える技術として、Innovareが研究する「天然ゴムの実バイオ燃料」。Innovare株式会社は、その社会実装を目指す環境・エネルギー系ディープテック企業で、立命館大学の関連ベンチャーです。天然ゴムの実から作る燃料などの原料を、日本や欧州、北米の顧客へ供給する事業化に取り組んでいます。

キーワード「天然ゴムの実バイオ燃料」

「天然ゴムの実バイオ燃料」は、天然ゴムの木になる実から得た油を原料にした、再生可能な燃料です。特徴は、人が食べない非可食の実を使うため、食料と競合しにくい点にあります。ゴム農園に残された実が、輸送などで使う燃料の脱炭素化に役立つ原料になります。

市場課題|バイオ燃料の原料に残る、食料との競合

現状のバイオ燃料の原料の課題|現状は、食料と競合し原料が不足しやすい|食料や飼料と・原料が競合する/ゴムの実は使い道・がなく放置される

バイオ燃料は原料が不足しやすい

バイオ燃料(植物や廃食用油などから作る燃料)の原料は、食料や飼料と競合するため、不足しやすい状況です。たとえば廃食用油は、家畜の飼料などと競合して増産しにくい原料です。新しい原料の確保が、燃料づくりの課題になっています。

農園の実は使い道がなく放置

天然ゴムの木からはゴム製品の原料が採れますが、木になる実は使われないまま、農園に残されています。実には市場価値がなく、収入につながりません。天然ゴムの価格が下がると農園の経営も苦しくなるため、実を新しい収入にできる使い道が求められています。

他にも、燃料の脱炭素化に向けた需要の高まりへの対応、食料や飼料と競合しない新しい原料の調達先の確保、天然ゴムの価格変動による農園経営の不安定さ、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • バイオ燃料植物や廃食用油などの生物由来の資源から作る燃料である。化石燃料の代わりに使え、燃やして出る二酸化炭素を、原料の植物が育つ間に吸収した分と相殺して考える。

Innovareの強み|「天然ゴムの実バイオ燃料」を研究

Innovareが「天然ゴムの実バイオ燃料」を研究|現在は、ゴムの実の事業化を研究|食料と競合しない・実を原料に活用/農園から実を調達し・新しい収入に

食料と競合しない実を原料に活用

従来のバイオ燃料は、食用油や廃食用油が原料のため、食料や飼料との競合を避けにくい点が課題でした。

公式サイトによると、Innovareは、ゴム農園で使われずに残る実を原料にしています。実から採れる油から、バイオディーゼル燃料(植物油から作る軽油の代替燃料)や高品質のグリセリン(油脂から得られる液状の成分)などを作ることを掲げています。実は食用や飼料用に流通していません。そのため燃料の製造事業者は、食料の供給に影響を与えずに、原料の調達先を増やすことができます。調達先が増えれば、供給も安定しやすくなります。

実の調達で農園に新しい収入

ゴムの木は、樹液のほかに実をつけます。

公式サイトの循環型経済のページによると、実の調達によって、使われてこなかった資源が農園の新たな収入になる仕組みです。Innovareは、実の殻を熱分解(空気を絶って加熱する処理)してバイオ炭(植物を炭にして炭素を土壌などに固定するもの)にする構想も、公式サイトのカーボンクレジット(温室効果ガスの削減量を売買できる仕組み)のページで示しています。公式サイトは、これらを実の資源を無駄なく使う循環型の事業として紹介しています。

FrontJournalの解説
  • バイオ炭植物などの生物由来の資源を、酸素の少ない状態で加熱して作る炭である。炭素を多く含み、土壌に混ぜるなどして、炭素を長く固定する用途がある。

天然ゴムの実バイオ燃料の未来|農園の未利用資源から広がる応用

実から作るバイオ燃料が変える未来|農園の未利用資源から広がる応用|日欧米の顧客へ・供給を目指す/東南アジアの実を・調達の対象に/未利用資源の・活用を目指す

バイオ原料を日欧米の顧客へ供給

Innovareは、実から採れる油などのバイオ原料を、日本、欧州、北米の顧客へ供給することを目的に掲げています。2025年4月には、立命館ソーシャルインパクトファンドから、シードラウンド(創業初期の資金調達)の第1次クローズによる出資を受けたと発表しました。同ファンドは、シード前のプレシード段階(最初期)からInnovareの株主でした。資金は、ゴムの実を原料にした第二世代のバイオ原料(食料と競合しない原料から作るもの)の事業化と、実の調達に充てられます。

東南アジアの実を調達の対象に

Innovareは、東南アジアのゴム種子を調達の対象にしています。公式サイトは、タイで年100万トン、東南アジア全体で400万トン以上のゴム種子が利用可能と示しています。Innovareのメンバーは、日本、ベトナム、タイ、ミャンマーの出身者です。バンコクの拠点は、TISTR(タイの研究機関)内にあります。

農園の未利用資源の活用を目指す

天然ゴムの農園に残る実を燃料や化学品の原料に変え、農園の未利用資源の活用を目指すのが、Innovareの事業です。理念は、「グリーンテクノロジーで、青い地球を未来へつなぐ」ことです。社名は、「新しいものを導入する」を意味するラテン語で、イノベーションの語源にあたります。拠点は、大阪の本社のほか、タイのバンコクデスクにあります。

会社概要|Innovareの事業内容・設立背景

立命館大学の関連ベンチャー

Innovareは、経済産業省の大学発ベンチャーデータベースに立命館大学の関連ベンチャーとして掲載されている企業で、2020年4月に設立されました。代表取締役は川谷光隆です。本社は大阪市北区梅田にあり、資本金は3,610万円です。大阪商工会議所や関西SDGsプラットフォームなどにも加入しています。

コンサルから実の事業化へ

2020年に、日本企業の海外展開支援と、自治体の国際協力を行うコンサルティングから、事業が始まりました。2021年に、ゴムの実を原料にしたバイオリファイナリー(生物由来の資源から燃料や化学品を作る事業)の確立を目指すようになりました。現在は、ゴムの実の事業化が中心です。海外では、タイのバンコクにも拠点があります。

外部の選定と団体加入

2024年7月に、兵庫県・神戸市、NPO法人コミュニティリンク、2080Venturesが主催する「SDGs CHALLENGE 2024」に選定されました。同年10月には、Osaka Finance Forumで事業のピッチを行っています。2025年1月には、インパクトスタートアップ協会に加入しました。

会社情報

会社名Innovare株式会社
所在地大阪府大阪市北区梅田3丁目2-123
設立2020年4月
代表代表取締役 川谷 光隆
資本金3,610万円
調達立命館ソーシャルインパクトファンドからシードラウンドの第1次クローズ(2025年4月)
事業ゴムの実を原料にしたバイオ原料の事業化。コンサルティング
技術領域天然ゴムの実バイオ燃料。バイオディーゼル燃料。バイオ炭
採択SDGs CHALLENGE 2024に選定(2024年7月)
URLhttps://innovare.world/

編集後記|FrontJournal編集部より

バイオ燃料は、原料を食料と競合させないことが課題になります。Innovareは、ゴム農園で使われずに残る実という、これまで価値のなかった資源に目を向けた企業です。実の油を燃料などの原料に変える事業は、脱炭素化の選択肢を広げる取り組みです。

特徴は、実を燃料の原料にするだけでなく、農園から調達する形で、農園の収入にもつなげようとする点にあります。事業化はこれからの段階で、供給先や調達量がどう広がるかが注目点です。実の油が燃料として使われる場面が増えれば、農園の実の価値も高まります。

立命館大学の関連ベンチャーが、東南アジアのゴム農園の資源を燃料の供給網へどう結びつけるのか。実の調達から顧客への供給まで、事業の進み方を追っていく価値があります。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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