2026.09.23 東京大学ら 元発表:2026.09.14

東京大学ら、多発性骨髄腫の生存期間を動的に予測するAIモデルを開発

ニュース紹介

「多発性骨髄腫患者における動的マルチモーダル生存予測モデルを開発」

東京大学大学院理学系研究科の角田達彦教授、理化学研究所生命医科学研究センターの研究チームは、多発性骨髄腫患者の診断後1〜18か月の観察期間における検査値の推移から、その後の全生存期間を予測する動的予測モデルを開発したと発表しました。遺伝子発現データを画像化した情報と、10種類の検査項目の経時的推移、治療履歴を深層学習で統合する手法です。Multiple Myeloma Research Foundation臨床試験データ(患者752人)を用いた評価で、従来の静的モデルを上回る予測性能が確認されました。成果は学術誌Briefings in Bioinformaticsに掲載されました。

出典:東京大学大学院理学系研究科 2026年9月14日 プレスリリース/掲載誌:Briefings in Bioinformatics(DOI:10.1093/bib/bbag475)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/11222/

FrontJournalの解説

静的モデルでは捉えきれない経過

多発性骨髄腫は血液がんの一種で、骨髄の中で異常な形質細胞が増殖する病気です。治療法の選択や生活設計を考えるうえで、診断時点の余命予測は重要な情報ですが、従来のモデルの多くは診断時の1時点の検査値だけを使う静的モデルでした。実際には患者ごとに治療への反応や検査値の変化のスピードが異なり、診断後の経過を反映できないという課題がありました。

①遺伝子発現の画像化と検査推移を統合

研究チームは、遺伝子発現データを画像に変換したものと、血液検査など10種類の検査項目の経時的な推移、これまでの治療履歴という3種類の情報を深層学習で統合するマルチモーダルモデルを構築しました。診断後1〜18か月の観察データを使うことで、患者ごとの病状の進み方の違いを反映できる設計です。

②752人の臨床試験データで検証

評価には、米国のMultiple Myeloma Research Foundationが公開する臨床試験データ(患者752人)を用いました。診断時点のみの情報を使う従来の静的モデルと比較したところ、動的予測モデルのほうが残存生存期間の予測性能で上回ることが確認されました。治療経過の情報を追加するほど予測精度が向上する傾向も実証されています。

編集部からひとこと

今回の成果は、公開データセットを用いた検証段階の研究です。原文は、臨床現場での実装に向けた前向き検証や、他のがん種への応用可能性には言及していません。血液がんの予後予測にAIを組み合わせる研究は各国で進んでおり、治療方針の個別最適化につながる基礎データとして注目されます。詳細は東京大学の公式発表および掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

プレスリリース原文を読む ↗

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

この企業の方へ

内容に誤り・更新が必要な点があれば、可能な限り速やかに修正します。お気づきの点はお問い合わせまでご連絡ください。

掲載情報の修正・写真の追加・更新はこちら