2026.09.23 東京大学ら 元発表:2026.09.17

東京大学ら、AIで海洋細菌SAR11の未知遺伝子57個の機能を解明

ニュース紹介

「海洋細菌SAR11の"unknome"を読み解く」

東京大学大学院新領域創成科学研究科の研究チームは、理化学研究所・立教大学と共同で、海洋の微生物細胞の約25%を占める優占細菌SAR11について、機能が未知の遺伝子群(unknome)の役割を解明したと発表しました。ゲノムの文脈情報とAlphaFoldによるタンパク質構造予測を組み合わせ、機能未知の遺伝子108個のうち57個の機能を推定することに成功しました。分析した321ゲノムのうち約56%の遺伝子がunknomeに分類され、栄養化合物の取り込みウイルス防御機構に関わる遺伝子が多いことが分かりました。成果は学術誌mSystemsに掲載されました。

出典:東京大学大学院新領域創成科学研究科 2026年9月17日 プレスリリース/掲載誌:mSystems(DOI:10.1128/msystems.01026-26)
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0030566.html

FrontJournalの解説

海で最も多い細菌の「未知」の割合

SAR11は、海水中の微生物細胞の約25%を占めるとされる、地球上で最も個体数の多い生物群のひとつです。ゲノムサイズを極限まで切り詰めて省エネ型の生存戦略をとることで知られていますが、ゲノムが小さいぶん遺伝子の機能解析も進んでおらず、機能未知の遺伝子unknome)の割合が高いことが課題でした。海洋の炭素循環や生態系を理解するうえで、SAR11がどんな仕組みで環境に適応しているかを知ることは重要なテーマです。

①ゲノム文脈とAlphaFoldで機能を推定

研究チームは、遺伝子の並び順などゲノムの文脈情報と、AlphaFoldによるタンパク質の立体構造予測を組み合わせる手法で、機能が分かっていない遺伝子の役割を推定しました。321ゲノムを対象とした解析では、解析した遺伝子の約56%がunknomeに分類され、その中の108個について機能推定を試みたところ、57個で妥当な機能を割り当てることができました。

②省エネ型ゲノムでも維持される防御機構

機能が推定された遺伝子の多くは、栄養化合物の取り込みとウイルス防御機構に関わるものでした。SAR11は海洋環境への適応の過程でゲノムを縮小させてきたにもかかわらず、ウイルス防御遺伝子を維持し続けていることが分かりました。研究チームは、従来のメタゲノム再構成による解析では、こうしたウイルス防御機構を過小評価している可能性があるとも指摘しています。

編集部からひとこと

今回の成果は、計算科学的な機能推定の段階です。原文は、推定した機能の実験的な検証や、他の海洋細菌への応用範囲には言及していません。AIによるタンパク質構造予測を微生物ゲノムの謎解きに応用する研究は各国で広がっており、海洋生態系の理解を深める基礎データとして注目されます。詳細は東京大学の公式発表および掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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