CrowLab「カラス対策」を研究

株式会社CrowLab(クロウラボ)

CrowLab「カラス対策」を研究

企業紹介|株式会社CrowLabとは?

カラスの鳴き声でカラスの行動を変え、人への被害を減らそうとする「カラス対策」。株式会社CrowLabは、その社会実装を目指す、宇都宮大学発の環境系ディープテック企業です。カラスの音声コミュニケーションの研究をもとに、現場に合わせた鳴き声を再生するサービス「だまくらカラス」を提供しています。

キーワード「カラス対策」

「カラス対策」は、カラスによる糞害・営巣・食害などの被害を減らす取り組みです。同社は、カラスが警戒するときの鳴き声を再生し、カラスの行動を変えて被害を減らす方法に取り組んでいます。カラスの習性を踏まえ、現場ごとに音声と再生方法を組み立てる点が特徴です。

市場課題|カラスの被害は現場ごとに異なる

現状のカラス被害の課題

被害の現場が多様で難しい

カラスの被害は、果樹の食害、養鶏場や牛舎といった畜産現場、物流倉庫、電力設備への営巣、太陽光発電所でのパネルの破損など、多様な現場で起きています。同様の現場でも場所・環境・季節が異なれば効果に差が出ると、同社は説明しています。このため、対策が現場に合わなければ、被害が続くおそれがある状態です。

同じ音には慣れてしまう

カラスは、単純に音声を再生するだけでは、すぐに慣れてしまうといわれています。実際に、騒音機などの対策で効果が続かず、収穫前の桃を500個ほど落とされた時もあったとする桃農家の事例が、同社の公式サイトで紹介されています。対策を重ねても被害が再発し、費用と手間の負担が続くおそれがある状況です。

他にも、電力設備や建物の外壁への営巣、ごみ集積所の荒らし、場所や季節による効果の差、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 営巣鳥が巣をつくり、卵を産んでヒナを育てる行動である。カラスは電力設備や建物の外壁にも巣をつくることがある。

CrowLabの強み|「カラス対策」を研究

CrowLabが「カラス対策」を研究

現場に合う音声と再生

カラスに不自然と感じさせない音声と再生方法でなければ、対策の効果はすぐになくなります。

同社は、現場に適したカラスの鳴き声を組み合わせて音声を作成し、顧客から現場の状況を聞いたうえで、現場に適した音声パターンと再生方法を提案します。音声はカラスの鳴き声だけで、爆発音や電子音などの耳障りな音は含みません。鳴き声は数分流したあとに無音の間を置く方式で、周囲への騒音にも配慮できます。これにより、カラスに不自然と感じさせにくい形で警戒心を促しながら、現場に合った対策を顧客と一緒に作り上げます。

音声交換で慣れを解消

同じ音声を使い続けると、カラスは慣れて効果が薄れます。

同社は、慣れることを前提に、新しい音声パターンへ定期的に交換する月額制のサービス「だまくらカラス」を提供します。20年以上サンプリングしたストックの組み合わせから、無数の音声パターンを作り出せる点が特徴です。物流会社の事例では、飛来が増えた際に音声パターンを交換し、「今回使用している音声データが非常に効果があります」とのコメントが紹介されています。慣れるたびに新しい音声パターンが提供されるため、同じ現場でも長期的な被害軽減を続けることができます。

FrontJournalの解説
  • 音声パターン複数の鳴き声を組み合わせ、音響的特徴を加工して作る、再生用の音声の組である。同じ組を使い続けると、カラスは慣れる。

カラス対策の未来|多様な現場への応用と共存

カラス対策が変える未来

多様な現場で被害を軽減

「だまくらカラス」は、糞害対策・営巣対策・農業被害対策として、40以上の自治体に採用されたと、同社は紹介しています。果樹の食害・畜産・物流倉庫・太陽光発電所といった現場も、導入先です。採卵鶏200万羽を飼育する愛鶏園では、4か所の養鶏場の堆肥舎に導入され、カラスが7割ほど減ったとのコメントが同社の公式サイトに掲載されています。現場ごとに音声と再生方法を変えて導入されています。

群れの誘導技術を研究

同社は、鳴き声でカラスの群れを意図する場所へ誘導する技術を、シンガポール国立大学・東北大学と共同研究しています。山形県山形市での実験では、市役所の東側の木立にいた200羽ほどのカラスを、北側の裁判所や郷土資料館へ誘導できるかを試しました。同社の公式サイトによると、市役所周辺のカラスはほぼ全てが隣の裁判所か郷土資料館の方へ移動しました。誘導の精度が高まれば、居てほしくない場所から居てもよい場所へカラスを導く対策につながる可能性があります。

人とカラスの共存を目指す

同社は、居てほしくない場所から居てもよい場所へカラスを誘導できれば、カラスとの共存も夢ではないとしています。鳴き声による対策に加え、行動経済学のナッジ(行動を誘導する仕掛け)を活用しています。ごみの出し方を改善する掲示物の提供も、取り組みの一つです。同社は、カラスを捕らえずに被害を減らし、人とカラスが共存する社会を目指しています。

会社概要|CrowLabの事業内容・設立背景

2017年に設立

株式会社CrowLabは、2017年12月21日に設立された企業です。代表取締役の塚原直樹氏は、宇都宮大学で杉田昭栄教授のもとカラスの音声コミュニケーションを研究し、博士(農学)を取得しました。国立大学で20年以上カラスを研究してきた人物です。宇都宮市の支援を受け、取締役の永田健氏とともに創業しました。杉田教授は、研究顧問として迎えています。

受賞・連携

同社は、2018年6月に「第2回めぶきビジネスアワード」で奨励賞、同年10月に「第3回とちぎんビジネスプランコンテスト」で最優秀賞を受けました。研究面では、宇都宮大学と連携するほか、シンガポール国立大学、東北大学、木更津高専と共同研究を進めています。これらの連携は、鳴き声による誘導や、ロボット・ドローンを使った実験などの研究を支えています。

事業とサービス

事業は、カラス被害対策のコンサルティングと製品開発です。主要サービスは音声ライセンス「だまくらカラス」で、このほか、被害対策のコンサルティング、カラスの生態調査、講演・勉強会、受託研究を提供しています。講演や勉強会では、畜産現場での対策などをテーマに、カラスの生態を踏まえた対策を伝えています。資本金は300万円です。

会社情報

会社名株式会社CrowLab(クロウラボ)
所在地栃木県宇都宮市陽東7-1-2 宇都宮大学 産学イノベーション支援センター2階 プロジェクト実験室Ⅲ-1
設立2017年12月21日
代表代表取締役 塚原直樹
資本金300万円
事業カラス被害対策のコンサルティング・製品開発、生態調査
技術領域カラスの音声コミュニケーションを利用した行動制御
連携宇都宮大学、シンガポール国立大学、東北大学、木更津高専
採択とちぎんビジネスプランコンテスト最優秀賞(2018年)、めぶきビジネスアワード奨励賞(2018年)
URLhttps://crowlab.co.jp/

編集後記|FrontJournal編集部より

追い払う音を重ねても被害が続く現場があります。CrowLabの取り組みは、カラスが慣れることを前提に、音声を交換し続けるという発想に立っている点が印象的です。耳障りな音は含まず、鳴き声だけを使う点も、周囲への配慮といえる工夫です。

とくに注目したのは、被害を減らすだけでなく、群れの誘導まで研究を広げている姿勢です。野生の鳥と暮らす街の形を探る試みとして、今後の展開を見守りたい取り組みといえます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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