2026.09.18 理化学研究所 元発表:2026.09.17

広島大学・理化学研究所ら、ゲノムのデジタルツインを新たに構築

ニュース紹介

「ゲノムの構造と動きをコンピュータ上に再現」

広島大学RcMcD(粟津暁紀准教授、上野勝准教授、楯真一教授)、理化学研究所生命機能科学研究センター(新海創也上級研究員)、大阪大学大学院生命機能研究科(平岡泰教授)の共同研究グループは、分裂酵母の細胞核内で染色体がどのように動き、どのような構造をとるかをコンピュータ上に再現する「ゲノム・デジタルツイン」を新たに構築したと発表しました。このデジタルツインにより、細胞核内での染色体の動きを高精度に解析できるようになったとしています。研究成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されました(DOI: 10.1073/pnas.2612002123)。

出典:理化学研究所 2026年9月17日 プレスリリース
https://www.riken.jp/press/2026/20260917_2/index.html

FrontJournalの解説

「デジタルツイン」とは何か

デジタルツイン」とは、現実の物体や現象をコンピュータ上に再現し、シミュレーションによって解析・予測を行う技術のことです。製造業の設備管理などで実用化が進んでいますが、今回の研究では細胞核内という肉眼で直接観察しにくい微小な世界を対象に、染色体の構造と動きを再現しています。

①分裂酵母の染色体を丸ごと再現

研究グループは、分裂酵母という単純な構造を持つ酵母の細胞核内で、染色体がどのような立体構造をとり、どのように動くかをコンピュータ上のモデルとして構築しました。染色体の実際の動きや構造に関するさまざまな実験データを取り込むことで、現実の細胞に近いふるまいを再現したデジタルツインに仕上げています。

②高精度な解析を可能にする基盤

従来、細胞核内での染色体の動きは顕微鏡による直接観察に頼る部分が大きく、観察できる範囲や精度に限界がありました。今回構築したデジタルツインを使うと、コンピュータ上でさまざまな条件を試しながら、染色体の動きを高精度に解析できるようになります。将来的には、他の生物種ゲノム動態の解明にも応用できる可能性があります。

編集部からひとこと

今回の成果は基礎研究段階であり、発表内容に医療応用など具体的な用途への言及はありません。細胞核内という直接観察が難しい領域をコンピュータ上で再現する手法は、今後のゲノム研究の基盤技術として活用が広がる可能性があります。詳細な実験データ・論文情報は理化学研究所の公式発表およびPNAS掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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