2026.10.15 │ 東北大学・ケンブリッジ大学 │ 元発表:2026.10.14

東北大学ら、積層型電極で約1Vの光電圧を実現する光蓄電池を設計

ニュース紹介

「太陽光で充電する『光蓄電池』の新設計を確立 ―従来法よりも高い約1 Vの光電圧を実現―」

東北大学学際科学フロンティア研究所(金属材料研究所兼務)の下川航平助教らの研究グループは、英国ケンブリッジ大学との国際共同研究により、光蓄電池の電極構造に着目した設計を検証した。水系亜鉛電池を対象に、光吸収を担う層や蓄電を担う層などを分離して重ねた積層型の光電極を構築し、疑似太陽光の照射下で約1 Vの高い光電圧が得られることを実証した。

出典:東北大学 2026年10月14日 プレスリリース(掲載誌:Nano Letters/オンライン掲載 2026年10月13日(日本時間)/DOI: 10.1021/acs.nanolett.6c02373)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/10/item20261014-02-photobattery.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

太陽光を電気に変える発電と、その電気を化学エネルギーとして蓄える蓄電を、1つのデバイスにまとめたものが光蓄電池です。持続可能な社会に向けて、外部電源を使わずに動く小型のIoTデバイスや自律型センサーの電源として期待されています。

従来の研究では、光を吸収する材料と蓄電する材料を物理的に混ぜた電極(混合型)が広く使われてきました。しかし、電極の内部で電荷再結合(光で生じた電子と正孔が、電気として取り出される前に再び結合して消える現象)が起き、熱として失われるため、発生する光電圧が大きく制限されることが課題でした。

①光吸収層と蓄電層を分けて重ねる積層型の電極

研究グループは、水溶液を電解液に、金属亜鉛を負極に使う水系亜鉛電池を対象にしました。光吸収を担う層や蓄電を担う層などを分離して重ね合わせた積層型光電極を構築し、電荷が流れる経路を制御することで、光エネルギー変換の熱損失を抑える設計を検証しました。

プレスリリースによると、電極を層構造にして電荷の輸送経路を制御することが、熱損失の低減につながると明らかになりました。

②疑似太陽光の照射下で約1 Vの光電圧を実証

この積層型光電極を用いた光蓄電池は、疑似太陽光の照射下で約1 Vの高い光電圧を示しました。従来の混合型で課題だった電荷再結合を抑えられたことが、光電圧の向上につながったとしています。

研究グループは、この成果を、外部電源を必要としない小型IoTデバイスや自律型センサーの電源に向けた、光蓄電池の基礎的な設計指針と位置づけています。

編集部からひとこと

今回の成果は、光蓄電池の電極を「混ぜる」から「重ねる」へ変えるだけで、光電圧が大きく改善することを示した基礎的な設計指針です。実際の小型電源として使うには、蓄電容量、充放電の繰り返し耐久性、変換効率などの確認が必要で、これらの数値は発表では触れられていません。光蓄電池は、自律型センサーのように電池交換が難しい用途と相性がよいとされており、積層構造が実機でどこまで性能を維持できるかが今後の焦点になりそうです。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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