Taomics「先制医療」を研究

株式会社Taomics(タオミクス)

Taomics「先制医療」を研究|技術領域=オミックスとAI・健康のデジタルツイン/強み=体質に合う行動を・仮想空間で探す研究/将来性=10万人規模の・基盤を目指す

企業紹介|株式会社Taomicsとは?

病気の発症前から備える医療として、注目を集める「先制医療」。株式会社Taomicsは、その社会実装を目指す、山梨大学発のヘルスケア系ディープテック企業です。オミックス情報(遺伝子やたんぱく質などの分子情報)とAIを使う予防の仕組みを研究し、健康管理アプリ「Taohealth」を開発しています。

キーワード「先制医療」

「先制医療」は、病気の発症に先行して兆候をとらえ、発症を抑える医療です。同社は、オミックス情報(遺伝子やたんぱく質、代謝物などの分子情報)とAIを組み合わせ、この医療の実現を目指しています。診断後に治療する医療から、発症前に備える医療へ中心を移す考え方です。

市場課題|一律の助言では、生活習慣病の予防が進みにくい

現状の健康づくりの課題|現状は、一律の助言が中心で続けにくい|健診の助言は・一律になりやすい/指導後も医療費が・減りにくい

健診は一律の助言になりやすい

現在の健康診断は、血糖値など限られた項目の数値を点で見る形です。そのため、血糖値が高く糖尿病のリスクが高いという結果が出ても、食生活の改善といった一律の助言になりやすい面があります。体質に合う行動が分からないままでは、改善を続けにくい状況です。

指導後も医療費が減りにくい

山梨県では、特定保健指導(健診で生活習慣病のリスクが高いと判定された人への生活指導)を終えた人の割合が全国平均を上回っていますが、医療費や生活習慣病の患者数は思うように減っておらず、多くの人が通院と服薬だけで十分と感じやすい点も課題です。

他にも、予防が病院の受診に偏りがちなこと、健診が項目ごとの部分的な把握にとどまること、助言が一律になりやすいこと、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 特定保健指導メタボリックシンドロームのリスクが高い人に、医師や保健師、管理栄養士などが生活習慣の見直しを支援する制度である。特定健診の結果をもとに対象者が選ばれる。

Taomicsの強み|「先制医療」を研究

Taomicsが「先制医療」を研究|現在は、仮想の自分での試行を研究|デジタルツインで・改善策を試す/日々の記録で・改善を促す

デジタルツインで改善策を試す

従来の健診は、少数の検査項目を点で見るため、体質の違いまでは分かりません。

同社が参画する山梨の拠点の計画では、採血で得るオミックス情報と、スマートウォッチなどのIoT(機器をネットにつないでデータを自動で集める仕組み)が測る心拍や歩数を、AIで統合します。これにより、対象者の仮想コピーであるデジタルツインを作る構想です。そのデジタルツイン上で、食事、行動、薬、環境を変えた場合を試し、効果の高い改善策を選ぶ仕組みを目指しています。実際の体で試す前に結果を比べ、自分に合う行動を探すための研究です。

日々の記録で改善を促す

従来の予防は、健診や指導の機会ごとの助言が中心で、日々の変化が反映されにくくなります。

「Taohealth」は、健診結果、日々の生活記録、ウェアラブル機器(身につけて使う計測機器)のデータ、オミックス情報を集約するアプリです。山梨県内の215人が3か月間参加した研究では、214人が最後まで参加しました。血糖コントロールの指標であるHbA1c(過去1〜3か月の平均的な血糖の状態)が改善したのは、およそ76%の参加者です。この結果は、本格的な個別カウンセリングを始める前の段階のものです。

FrontJournalの解説
  • デジタルツイン現実の対象を、データをもとにコンピュータ上へ再現したものである。ここでは個人の体の状態を仮想空間に写し、食事や運動を変えた場合の結果を試せる。

「先制医療」の未来|健診から、行動を選ぶ出発点へ

研究中の「先制医療」が変える未来|健診から、行動を選ぶ出発点へ|情報管理の・国際認証を取得/1,000人規模へ・研究を拡大/10万人規模の・基盤を目指す

情報管理の国際認証を取得

同社は、2025年10月15日に、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ管理の国際規格)の認証を取得したと発表しました。オミックス情報や健診結果のように、特に慎重な扱いが求められる個人情報を扱う事業にとって、土台となる体制です。認証は、情報セキュリティの管理体制が国際規格に沿って運用されていることを示し、登録範囲にはアプリの開発・運用、医療・健康データ連携、オミックス検査、コホート研究(同じ人々を長期に追跡する調査)が含まれます。

1,000人規模へ研究を拡大

山梨県内の住民約1,000人を対象とする大規模な研究が、2026年6月6日に始まりました。同社が掲げる10万人規模の基盤づくりへ向けた、途中段階にあたります。規模が大きくなれば、体質や生活習慣ごとの違いを、より多くのデータで比べられるようになります。

10万人規模の基盤を目指す

同社は、2031年度までに10万人規模のヘルスケア・バイオバンク(生体情報の大規模データベース)の構築を目指しています。2024年の発表では、国内外の健診施設や自治体、診療所、企業へ「Taohealth」とオミックス検査を導入し、健康データを集約する構想を示しました。蓄積したデータの解析結果を製薬企業や研究施設と共有し、新薬の同定や新しいバイオマーカー(病気の状態を示す指標)の開発も進める計画です。実現すれば、健診は病気の有無を知る場から、自分に合う行動を選ぶ出発点へ変わる可能性があります。

会社概要|Taomicsの事業内容・設立背景

大学の研究から事業化

株式会社Taomicsは、2024年4月12日に設立されました。同日、山梨大学から大学発ベンチャーの第5号に認定されています。本社は山梨県中央市にあります。代表取締役の大岡忠生氏は、山梨大学大学院総合研究部医学域社会医学講座の准教授です。認定時の肩書は講師でした。

採択と協定で拠点を推進

2025年12月10日には、JSTの「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)未来共創分野(フェーズ1)」に、山梨大学を代表機関、株式会社Taomicsを幹事機関とする拠点が採択されました。49件の申請のうち3件の採択で、大岡氏がプロジェクトリーダーを務めます。2026年7月13日には、山梨大学、山梨県、中央市、株式会社Taomicsの4者が連携協定を結びました。

アプリと検査とAIが事業

主な事業は、健康管理アプリの企画開発と販売、オミックス情報等を用いた検査パネルの研究開発と販売、健康状態や病気をデジタル空間で分析するシミュレーションの研究開発等です。対象は、健診結果、日々の生活記録、ウェアラブル機器のデータ、オミックス情報です。これらを組み合わせ、個人の健康行動につなげる仕組みづくりを進めています。

会社情報

会社名株式会社Taomics
所在地山梨県中央市下河東1110
設立2024年4月12日
代表大岡 忠生
事業健康管理アプリ「Taohealth」の開発。オミックス検査の研究開発。デジタルツインによる分析
技術領域オミックス情報とAIによる健康状態のデジタルツイン
連携山梨大学、山梨県、中央市(連携協定、2026年7月)
採択JST COI-NEXT 未来共創分野(2025年12月)。ISO/IEC 27001認証取得(2025年10月)
URLhttps://www.taomics.ai/

編集後記|FrontJournal編集部より

健康診断の数値は、自分に何が効くのかまでは教えてくれません。株式会社Taomicsの「Taohealth」は、オミックス情報と日々の記録から、体質に合う行動を選ぶ手がかりを探る取り組みです。特徴は、研究で得たデータを、アプリと地域の拠点で住民の行動につなげようとしている点にあります。

病気になる前に備える医療は、結果が出るまでに時間がかかります。1,000人規模の研究がどのような知見をもたらすのか、今後も注目していきます。

FrontJournal編集部

出典:経済産業省 大学発ベンチャーデータベース2026

出典:「Gビズインフォ」(経済産業省)(2026年9月28日に利用)を加工して作成

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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